散日拾遺

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トカゲにアゲハ、空の青さに「帰ってきます」

2018-08-11 14:06:15 | 日記

2018年8月10日(金)

 軒下に置いてある草刈り機に手をかけると、決まって小さな黒いトカゲが飛び出してくる。すっ飛んで逃げるという表現がぴったりの慌てようで、飛び出したとみるや物陰に姿を消してしまい、写真を撮る暇などまったく与えてくれない。このあたりをねぐらにしているのか、どうもお騒がせして申し訳ないことである。

 トカゲは爬虫類の例に漏れず気味悪がられることの多いものだが、日本の領土内に住むトカゲはいずれも小型でしなやか、至って臆病である。人間に害はなく、小昆虫を補食するから益獣といってもよい。先ほどの黒いのはまだ子どもだろうか、成長後は種によって虹色の金属光沢があったり、落ち着いた土色だったり、それぞれの意匠で装っている。夕食時にガラス窓の外側で、室内照明の余光を頼みに餌を待つヤモリもトカゲのイトコ筋、いずれもこの屋の同居人といった気分で親しみ深い。

 離れ地の草むらでは、例によってアゲハチョウがひらひら飛んでいる。甘夏や八朔など蜜柑類が植えてあり、アゲハチョウには格好の産卵場なのだ。幼虫の食欲はすさまじく、こちらは明確に害虫の扱いだがムキになって駆除するほどの話ではないし、そもそも農薬不使用が大原則である。

 空が青い。

 当たり前の青空にありふれた白雲が散在するだけの眺めだが、空の青がはっとするほどくっきり鮮やかなのである。

 午後はいつも通り、ヘルパーのYさんが来てくれた。5人のお子さんが一斉に夏休みでさぞ忙しいだろうに、様子はいつもと変わらない。息子さん2人とその友達を1人連れてきて、仕事のあいだ前の川で遊ばせている。

 仕事が終わって帰りがけには、いつも通り「それじゃ、帰ってきます」と明るく挨拶された。

 「行ってきます」は全国どこでも同じだが、「帰ってきます」はここでしか聞かない。「帰ります」と違ってまた来ることを前提とした表現で、「さようなら」が "Leben Sie Wohl" ならこちらは "Auf Wiedersehn"、とても可愛らしく愛嬌に溢れている。

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