散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

男の嫉妬/「人並み」の無意味

2018-08-29 11:26:06 | 日記

2018年8月29日(水)

 「考えてみれば解ることですよね。妬む気持ちを前向きなパワーに昇華できないのは、大概、男性だというのに。」

湊かなえ『ベストフレンド』

***

 男の嫉妬は、女のそれよりはるかに怖くてタチが悪い、よくよく気をつけなさいというのが母の教えの中にあった。思いあたることが確かにいくつか、人生の中であったようだ。体格のことを絡めて辛辣に論じた誰かのエッセイも記憶にあるが、これは書かずにおく。

 「嫉み」と「羨み」、第10の戒め(貪るな)については既に書き散らしてきたが、一度まとめておかないといけない。重要な参考書の晦渋が悩みの種である。

*****

 「勉強もスポーツも楽器の腕前も容姿も、すべて人並みな自分に、生まれてきた意味などあるのだろうかと、夜中に無性に泣きたくなったこともあります。」

湊かなえ『罪深き女』

***

 「すべて人並み以下の自分」とあるなら、すんなり読み過ごせるところである。「人並み」は無意味?ほんとうに?

 筆がすべったか、確信的にか、後者であろう。人並みでは満足しない、誰も彼もが人並み以上を求める ~ 遠く目指すのではなく、性急に要求するパラドックスが現実となり、「人並みの幸せ」というよく聞かれたフレーズは気がつけば死語である。「人並み」では幸せになり得ない。アジア学院の留学生の頭上にまた「?」の並ぶことだ。

 「妬み」が解消不能にもなるわけである。

Ω