散日拾遺

日々の雑感、読書記録、自由連想その他いろいろ。
コメント歓迎、ただし仕事関連のお問い合わせには対応していません。

ものごとの定義

2019-06-04 21:18:04 | 日記
2019年6月4日(火)
 「ひきこもり」の定義は何か?どういう条件を満たす場合に「ひきこもり」と呼ぶのか?
 それに一言も触れることなく、「ひきこもり」と名のつく情報を節操なく収集しては撒き散らすメディアの知的水準と良識を疑う。偏見を抑止するどころか、不安と誤解を増大させ、対立と矛盾を深刻にするばかりだ。
 広く通用している定義は「仕事や学校に行けず家に籠り、家族以外とほとんど交流がない人の状況を指す」というもので、厚労省は「このような状態が6か月以上続いた場合」という条件を加える。この定義では、そのような状況に陥った原因は問われていないから、たとえば精神疾患に起因するケースも当然ながら(大量に)含まれることになる。
 たとえば統合失調症の症状のために外出できない人とそうでない人とでは、事態の性質がまったく違う。他の疾患についても同じことであり、疾患以外にも考慮すべき条件はほとんど無数にあるだろう。
 これらをよりわけることなく、十把一絡げに「ひきこもり」と括って報じることにどんな意味があるか?それが無意味だというのではない、有害で破壊的な意味があるというのである。今夜この時間帯にも、公共の電波に載せて無思慮と無節操がばらまかれている。
Ω