散日拾遺

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ふるさとの海もまた良し

2019-06-26 22:39:26 | 日記
2019年6月26日(水)
 今次滞在中の写真から。


 家のすぐ下を河野川が流れ、その向こう側の斜面を半ば上がったところから西を見はるかす。瀬戸内ほど静かな海が世界中にあるものかどうか。
 あのバカでかい海原を Pacific Ocean (平和の大洋)などと呼ぶのは悪い冗談で、父母の代にはこの海で日米の青壮年が血で血を洗う戦いの末、数十万人が命を落とした(Pacific War !)。わが伯父もその一人である。真に平和な瀬戸内の海へ命ながらえて戻ることを、23歳の若者はどれほど夢見たことか。
 土曜日にお目にかかったM先生が御家庭の昔話をしてくださった。岡山に住んで竹を商っていらした祖父上は、愛媛県長浜町(現・大洲市)あたりで切り出した竹を筏に組み、はるばる岡山まで海上を運んだそうである。やがて長浜の女性と家庭を営み、御子息は満州に渡って医者となった。その余の話はあらためて紹介させていただこう。


 母が作業室に使っていた北側の部屋が、夏は涼しくて快適である。窓を開ければ目の前に鮮やかな朱色の花。父に尋ねると「ザクロ」と即答が返ってきた。毎年そこばくの実を味わっていたが、花の季節に帰省することが少なかったのである。
 この霊妙な果樹の原産地は諸説あって定まらず、東方へもたしたのは前漢・武帝の命を受けて西域を踏査した張騫との伝説があるらしい。わが国には9~10世紀の到来、中国から直達したか朝鮮半島経由か定かでないという。
 面白いのは「ザクロス山脈原産説」で、ペルシア湾北岸の同山脈地域に産した果実を、「柘榴(ざくろ)」と音訳したというのである。ギリシア神話のペルセポネー(プロセルピナ)が毎年4ヶ月を冥界で過ごさねばならなくなったのは、勧めに応じてうっかり4粒の柘榴を口にしたからだが、逆にペルセポネーの帰還と共に春が訪れることから、ローマ神話では復活の象徴とされるのだとも。


 6月の富士山はこの通り黒々している。
 う~ん、カメラ買っちゃおうかな・・・腕が悪くちゃ意味ないか。

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