2019年6月15日(土)
> 現代語訳をつけてください。でないと・・・
えー、そうなんですか~?
『枕草子』だの『大鏡』だのと違って、まんまだと思うんだけど。しぶしぶ・・・
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その昔、帝釈天の奥方は舎脂夫人という女人だったが、このお方はもともと羅睺(らご)阿修羅王の娘であったのを、父王の許しなく帝釈天が強引に妻にしたのである。阿修羅王は怒って娘を取り返そうとし、帝釈また断じて譲らず、互いに飽くことなく合戦を繰り返していた。
ある時、帝釈が負け戦となって逃げ出し、阿修羅がこれを追うことがあった。須弥山(しゅみせん)の北側から帝釈が逃げようとしたところ、前途に蟻がうようよ這い回っている。これを見て帝釈、
「今日の戦いに敗れ、阿修羅にしたたか痛めつけられることになったとしても、戒を破るわけにはいかない。このままこの道を逃げたなら、どれほど多くの蟻を踏み殺すことになるだろうか。不殺生戒を破ったのでは、天上界や人間界など善所への転生は望めないし、まして仏道を成就して輪廻から解脱することも叶わない。」
帝釈はこう言って踵を返した。
さて阿修羅王、逃げる帝釈に背後から襲いかかろうとしたが、帝釈が決然と振り返るのを見て「さては大勢の援軍を得て、反撃に転ずるつもりか」と驚き慌てた。これは一大事と逃げ帰り逃げ回り、泥にもぐってレンコンの穴の中に逃げ込んだのである。
帝釈は戦に負けて逃げるところだったが、蟻を殺すまじの一念のおかげで、かえって勝利を得た。「戒を持(たも)つ者は三悪道(註: 地獄道・餓鬼道・畜生道の三道)に落ちることなく、むしろ難を遁れるであろう」と釈尊が説かれたのは、このようなことだと語り伝えられているそうな。
・・・お粗末さま
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