4012年5月1日(木)
映画ばっか見て、仕事してるのか!
いえ、家族が見てるもんだから、つい横から・・・
『シェフ』 原題は "Comme un chef"
タイトルから知れるとおりのフランス映画で、出てくる料理が美味しそうだし、ストーリーは楽しい。エスプリの切れ味がよくて、フランスものの面目躍如だ。
途中で男二人が日本人の夫婦になりすまして、キモノ姿で「分子料理」のレストランを偵察にいく場面、これは腹を抱えて笑った。ムシュー野口は日本人かと思うぐらいサマになってるが、御丁寧にチョンマゲを結っている。マダム野口は、まあ振り袖の化け物である。フランス人は浮世絵の時代から日本への関心が強いんだが、こんな場面にちゃんと使ってくれるんだね。
『モネ・ゲーム』 原題は・・・忘れた。どうでもいい。
キャメロン・ディアスがテキサスのじゃじゃ馬娘を演じている。15分ほど見て、もう止めようかと思ったが、それもシャクで最後まで見てしまった。イギリス人のユーモアは卓抜だが、ここでは空振っている感じだ。「それって、面白い?」と言いたくなる間抜けでわざとらしい小ネタが延々と続くうえ、下ネタ中心である。BBC制作の「モンティ・パイソン」シリーズを思い出した。
イギリス人画商のライバルとしてここにも日本人の集団が出てきて、途中では少々不快なほどコケにされている。もっとも、アメリカ人、ドイツ人、それにイギリス人自身も容赦なくエスノロジカルに風刺されていて、これがイギリス流ではあるんだろう。
イギリス映画の良さは別にあって、たとえば次のものである。
『アンコール』 原題 "Song for Marion"
何となくアメリカ映画のつもりで見始めたが、英語がしっかりイギリスのそれで、それだけで何となく安心してしまった。高齢者のコーラスグループが露骨にセックスを扱った歌やヘビメタ仕立ての曲を楽しむというのは、実はイギリスではありえても、アメリカでは考えにくいことだったりする。
これはじっくりとした佳作で、自分の周囲のこととも重なり、涙なしには見られない。癌で先立つ最期の日まで歌うことを楽しみ、夫のために歌って(True Colors ~ シンディ・ローパー)旅立っていく女性、その妻をこよなく愛している、不器用でつきあい下手の男、いずれ劣らぬ好演と思えば、それぞれバネッサ・レッドグレーヴとテレンス・スタンプだった、道理で。
エンディングロールで名前を見て、特に前者に驚いた。「きれいなおばあちゃん」と見ほれていたが、あの女優がこんな美しい老女になっていたのか。『ジュリア』でジェーン・フォンダと競演した姿が、僕の印象には今でも強い。実生活でフランコ・ネロと連れ添っていたとは、今日まで知らなかった。何と存在感のある素敵なカップルだろう!
妻に先立たれた後、男の心が次第にほぐれて「楽しむことを教えてほしい」と願うようになる。ただし英語の楽しむ enjoy は奥が深い。ウェストミンスター小教理問答、第1問に次のようにある。
Question: What is the chief end of man?
Answer: Man's chief end is to glorify God and to enjoy him forever.
男もまた、映画の最後で歌う。
We must all go, but lullabies go on and on. They will never die, like you and I.
I と die はライムするのか・・・
妻の死後、ずっとソファで寝ていた彼が、歌うことを enjoy して再びベッドで寝るようになる。妻と共に眠り、妻がそこで息をひきとったベッドである。
これもイギリス映画だ。泣かされた。
映画ばっか見て、仕事してるのか!
いえ、家族が見てるもんだから、つい横から・・・
『シェフ』 原題は "Comme un chef"
タイトルから知れるとおりのフランス映画で、出てくる料理が美味しそうだし、ストーリーは楽しい。エスプリの切れ味がよくて、フランスものの面目躍如だ。
途中で男二人が日本人の夫婦になりすまして、キモノ姿で「分子料理」のレストランを偵察にいく場面、これは腹を抱えて笑った。ムシュー野口は日本人かと思うぐらいサマになってるが、御丁寧にチョンマゲを結っている。マダム野口は、まあ振り袖の化け物である。フランス人は浮世絵の時代から日本への関心が強いんだが、こんな場面にちゃんと使ってくれるんだね。
『モネ・ゲーム』 原題は・・・忘れた。どうでもいい。
キャメロン・ディアスがテキサスのじゃじゃ馬娘を演じている。15分ほど見て、もう止めようかと思ったが、それもシャクで最後まで見てしまった。イギリス人のユーモアは卓抜だが、ここでは空振っている感じだ。「それって、面白い?」と言いたくなる間抜けでわざとらしい小ネタが延々と続くうえ、下ネタ中心である。BBC制作の「モンティ・パイソン」シリーズを思い出した。
イギリス人画商のライバルとしてここにも日本人の集団が出てきて、途中では少々不快なほどコケにされている。もっとも、アメリカ人、ドイツ人、それにイギリス人自身も容赦なくエスノロジカルに風刺されていて、これがイギリス流ではあるんだろう。
イギリス映画の良さは別にあって、たとえば次のものである。
『アンコール』 原題 "Song for Marion"
何となくアメリカ映画のつもりで見始めたが、英語がしっかりイギリスのそれで、それだけで何となく安心してしまった。高齢者のコーラスグループが露骨にセックスを扱った歌やヘビメタ仕立ての曲を楽しむというのは、実はイギリスではありえても、アメリカでは考えにくいことだったりする。
これはじっくりとした佳作で、自分の周囲のこととも重なり、涙なしには見られない。癌で先立つ最期の日まで歌うことを楽しみ、夫のために歌って(True Colors ~ シンディ・ローパー)旅立っていく女性、その妻をこよなく愛している、不器用でつきあい下手の男、いずれ劣らぬ好演と思えば、それぞれバネッサ・レッドグレーヴとテレンス・スタンプだった、道理で。
エンディングロールで名前を見て、特に前者に驚いた。「きれいなおばあちゃん」と見ほれていたが、あの女優がこんな美しい老女になっていたのか。『ジュリア』でジェーン・フォンダと競演した姿が、僕の印象には今でも強い。実生活でフランコ・ネロと連れ添っていたとは、今日まで知らなかった。何と存在感のある素敵なカップルだろう!
妻に先立たれた後、男の心が次第にほぐれて「楽しむことを教えてほしい」と願うようになる。ただし英語の楽しむ enjoy は奥が深い。ウェストミンスター小教理問答、第1問に次のようにある。
Question: What is the chief end of man?
Answer: Man's chief end is to glorify God and to enjoy him forever.
男もまた、映画の最後で歌う。
We must all go, but lullabies go on and on. They will never die, like you and I.
I と die はライムするのか・・・
妻の死後、ずっとソファで寝ていた彼が、歌うことを enjoy して再びベッドで寝るようになる。妻と共に眠り、妻がそこで息をひきとったベッドである。
これもイギリス映画だ。泣かされた。