散日拾遺

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貽厥嘉猷 勉其祗植/省躬譏誡 寵抗極 ~ 『千字文』 088、089

2014-08-03 08:13:16 | 日記
2014年8月3日(日)

○ 貽厥嘉猷 勉其祗植 
この段はやや文法上の無理があるみたいだ。
音を当てれば「イケツ・カユウ ベンキ・シショク」となるのか、音だけあてても仕方がない。
「貽」は「(子孫に)残す」、「嘉猷」は「立派な計画・はかりごと」、「厥」は「それ」という指示代名詞だそうで、「その嘉猷を貽(のこ)し」と読み下すところだが、四文字のセットを『詩経』の「貽厥孫謀」から転用しただろうという。

後段も類似の意味なんだろうが、はっきりしないところがある。
「祗植」は出典不明、「善行」のことかと思われるけれども、文脈にぴったりしないというのである。
「千字文」という構造上の制約が、このあたりで作者を悩ませたのだろう。

「正しく良い道を子孫に残し、それが長く保たれるよう努める」と解説されている。

 もうひとつ行っちゃおう。

○ 省躬譏誡 寵抗極
これは読み下すほうが良い。

 躬を省みて譏誡(キカイ)すべし
 寵がせば抗が極まる

「譏誡」は「いましめる・いさめる」の意。「機械」二字の木ヘンを言ベンに換えた作りが面白い。
「抗」は抵抗・反抗の「抗」だが、作りから分かるように(⇒ 甲状腺機能「亢」進症)もともと「挙がる・高ぶる」の意で、つまり高慢のことである。

 これは金言だ、暗誦。
「寵せば抗極まる」に関連して、下記の句が紹介されている。

「足ることを知れば辱めあらず、止まることを知れば殆(あや)うからず」
(『老子』第44章)

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