メリークリスマス。
寒いクリスマスにはゴスペルがよく似合う。
心の奥深くから放射される人間らしいぬくもりをエッセンス化したような、ソウルミュージックだからだろう。
ゴスペル界の大御所「ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ」と、気鋭のソウル音楽家「ベンハーパー」が、黒人音楽の殿堂「アポロシアター」でジョイントセッションしたDVDは最高にいい。
ブラインドボーイズオブアラバマは10年くらい前、神戸のフィッシュダンスホールでライブを観たことがある。全員盲目のジイサンなんだけど、ノリノリになってくると、マイクを持ったままステージから降りてきて、観客席を練り歩きながら大絶唱するという面白い癖がある。それがこのDVDでも堪能できる。ちなみに当時はファイブ・ブラインドボーイズ・オブ・アラバマと名乗っていたが、このDVDでは4人になっている。ひとり亡くなったのであろう。
ベンハーパーはいまやセレブレティって感じの大物になったけれど、デビューしたての頃、大阪心斎橋のクラブクアトロでガラガラのライブを観たことがある。自分の内部に深く沈潜してゆき、コツンと奥底に行き当たった瞬間、ドカーンとパッションを爆発させるという感じの、特有のソウルフルな表現スタイルがいいと思った。以来ずっと大ファンだ。また小さな箱で観たい。ベンハーパー・オフィシャルHP
ゴスペルという伝統によって、年寄りと若手の心がひとつに結ばれる。幸福な香りのするDVDだ。
ところで黒人のゴスペルは、日本で言えば、仏教に通じる部分がすごく感じられる。