さてさて、今年の初漕ぎとしてフィールド調査を兼ねてまた四国南岸(足摺~宇和海エリア)をシーカヤッキングしてきました。この一帯は黒潮のダイレクトにぶち当たるエリアで、亜熱帯の鮮やかな色彩感覚と温帯特有の海景のきめ細やかさとが共存していて、非常に気に入っている。そして黒潮のエネルギーにパワー負けしてたまるかといわんばかりに海に向かってそびえ立つ断崖絶壁の、ハートにガツンとくるワイルドな世界・・・。海の世界において「極める」なんて言葉は傲岸不遜な表現で実際ありえないんだけれど、たとえばどこにどんな入り江があってどんな岩が転がってるのかってレベルでまでできるだけ徹底的に漕ぎまくって知りつくしたい気分にさせられるフィールドです。
アイランドストリームの通常のツアーでも催行しますが、どちらかというと四国のフィールドは、「オーダーメイド・カヤックトリップ」というスタイルでやりたいですね。3日とか5日とか1週間、あるいは10日とか1ヶ月でもいい、3,4人までの完全少人数で海、山、川あちこちを、引率者というより旅のパートナーとして、一緒になって、めぐる。散文的観光ではなく、それぞれ自分自身が主演し、つむぎ上げる物語。思い出というより、ひとつの深い人生経験となるようなトリップ。ぼくはその裏方。
大量に撮った写真のごく一部ですが、よろしければクリックして拡大し、ごらんください。
ワイルドな断崖絶壁の水際に洞窟をたずさえた場所が無数にある。
ワイルドな断崖絶壁のキワの洞窟の中に入ると、山全体が自分にのしかかってくるような、へヴィな畏怖感を覚えることがある。
これなんかもすごいね。白い岩の表面に、岩の底から染み出してきたかのようなピンクやオレンジがにじんでいたりするその色彩感覚もすごいなと思った。
むこうのほうで黒っぽい時雨雲が流れてゆくのをバックに、一瞬背後の太陽光線が白い岩々をブライトに照らし出した。何かしら神々しいものを感じた瞬間。
これなんかも写真でみると「すごいね」くらいな感じだろうけれど、実際その場に身を置くと、遠近感のぶっ飛び感と異様なまでのリアルな生々しさが脳みその中でスパークし、ヘンになりそうになるのだった。なんだそりゃ?って感じだろうけど行ってみりゃわかります。
これなんかはピカソっぽい柄だ。下のほうのやつなんかはどう見ても足だ。
これなんかは上から見たら細いけど、海から見たら太いんだよね。
ロッククライミングの聖地でもある一帯。
どうしても写真にしたら迫力が失われるが、断崖絶壁はすごい。
そして洞窟の中でドッカーンと炸裂する波濤は、
中に入って聴くとハートの鼓膜が破れそうになるほどすごい。
もしロックンロールが岩で、おれがアリならば、
でかいスピーカーのウーファーが震える真横で、
フルボリュームでロックンロールを聴くアリだ。
AC/DCの「バック・イン・ブラック」みたいなへヴィロックとかな。
強烈な断崖絶壁の下でおれはアリだ。
・・・このアリは今回同行したM川君。
そんな濃ゆい断崖絶壁が続くかと思えば、穏やかに美しい入り江も無数にある。すぐビーチエントリーできるところにたくさんのサンゴがあったりするのでシュノーケリングが面白い。
天井も開いている変わった洞窟。
入り江の中の島々の、夕暮れ時の美しいたたずまい。
人間でも自然でも、気品のあるたたずまいに、惚れてしまう。