現在スリランカをカヤックトリップ中ですが、一番上の写真がぼくの全ての荷物で、2つのバックパックを足したら35キロくらいあります。まあ結構重いけれどおれも一応、気合入ってるカヤック旅人なのでこれくらいはどうってことはないです。と言いたいところですが、確かにしんどいことはしんどいですね、特に暑い場所では。
で、こいつを前後に背負って満員のローカルバスとかに乗り込んでいくわけですが、まずこの中身がカヤックだとは誰も想像つかないようです。バスの乗客全員が「なんだこいつは?」みたいな感じになりますが、そこで引いたら負け。まあスリランカ人はみんな親切なので、手助けしてくれたり、「ここに置いたらいいよ」と空間をあけてくれたり、かなり旅しやすいですね。
海辺で組み始めると周囲のオッサンらが興味津々で寄ってきて、アルミの棒がカヤックに変わっていく姿を見るとみんな目を丸くしてびっくりする。そういうのも面白いですね。子供達にも非常に受けがいい。
漕ぎ始めると完全にスイッチが切り替わります。
吹く風や波と対話しながら進んでゆくと、
よそ者とか外国人とかそういうアウェイ感はなくなるというか、
ひとつの生き物になったように自然場所と同化しますね。
カヤックほどその土地土地の自然のこまやかな息づかい、またはダイナミックな鼓動に敏感な乗り物はないわけで、ということはカヤックほど世界各地の自然場所を旅するのに適した乗り物もないと思います。
世界最強のトリップツールだとぼくは思っています。
地球は水の惑星であり、
水がある場所ならどこへでも行けるのがカヤックなわけですから。
下の写真は、ぼくがいつもカヤックトリップに持っていく、ライアル・ワトソンの「風の博物誌」って本です。以前この本についてこのブログに書いたので詳しいことは割愛しますが、この本では世界中の土地土地にまつわる「風」という現象について、科学、歴史、宗教、哲学、文学、音楽・・・様々な見地から考察され、興味深い話が展開されていて、カヤックトリップ中に読むとかなり心に染みてくるものがあります。
ぼくのひとつの旅のバイブルですね。
ちなみにこのライアル・ワトソンという人は、エセ科学者だとか嘘つきだとか色々揶揄されてやがて読まれなくなったイギリスの作家ですが、否定する人は読み方を分かってない。スケールの大きさと詩的な表現とを両立させた、いわば「地球」を主人公にした小説家だと捉えて読むべき作家で、その想像力の飛躍のさせ方とか表現の美しさとかが面白いんだよね。自然の見方がとても豊かになる読後感がある。
こんなに詩人肌の科学者はなかなかいないし、こんなに自然について博学な小説家もいない。今こそ読まれるべき人だよ。
ちなみにこの本について書いた過去記事はこちら。興味ある方はどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/islandstream/d/20120127