プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

ガイドの庇護を取っ払って海に出てみる自由の味

2017-06-20 23:07:57 | スクール

 最近ぼくはよくこのブログで、カヤックや海の危なさ、怖さについて色々書いていますが、その理由は、カヤックフィッシャーやSUPの人が近年増えて、また気軽にカヤックツーリングを始めようとする人が増え、だけどあんまり危機意識や状況判断能力が備わっていない人が多いなと、危機感を覚えるからです。また責任も感じるからです。

 まあ、最低限の部分を踏まえてりゃいいんだけど。
 それさえできない人が増えている。

 ぼくなんかはシーカヤックを始めたとき、誰にも教わらず、全く一人で独学で始めました。
 というか、教わろうにも、教わる人がいなかった。
 海、やっぱり、怖かったですね。だけども海に、シーカヤッキングに、本当に魅力を感じていました。なのでかなり勉強しました。アメリカからビデオ(当時はDVDではない)を取り寄せて食い入るように、すり切れるくらいまで見ましたし、また気象予報士の資格を取ろうかというくらいにまで気象・海況について勉強しました。海について、自然についての本もかなり読みましたし、まあガリ勉君みたいな感じで勉強しました。
 日本一周の海旅も、結局武者修行であり、ガイド業の勉強のためでもありました。シーカヤッキングの本当のところは、旅しないと分からないと思っています。四六時中、海に対して神経を研ぎ澄ませ、向き合い続けなければ分からない要素があるからです。アマチュアならともかく、プロガイドならば最低限数ヶ月の海旅経験は必要だと考えています。人間にとって都合の良い自然だけではなく、都合のよくない自然にも向き合わないと、人様を海に連れ出すくらいの状況判断力は磨かれないからです。

 今でも、海に対する怖さを実感していますし、畏怖感を持ち続けています。

 これまでそれほど危機管理について書かなかったのは、ツアーに参加するお客さまに対して、たとえどんなにカヤッキングや海に関して無知であったとしても、それをガイドが全面的にカバーし、怖さ危なさを感じさせないように努めているからでした。
 お客様には「楽しかったー」という思いだけ持ち帰っていただければそれでいいと。

 別に舞台裏まで見せる必要はなかろう、ということです。

 しかし、ツアー客だった立場の人が自分で海に出るとなると・・・。
 こちらが日頃神経を使っている状況判断を、自分自身でしなければならなくなります。
 そうすると、やはりちゃんと自分で勉強するか、きちんとスクールに入って教わるかしないと、どうしようもないわけですね。

 時代は変わりました。ネットショップなどで気軽にカヤックやSUPを購入し、あまり知識もないまま意識も低いまま海に出る人が増えてきた以上、言わなければならなくなってきたなと感じます。
 ここ数年でガラッと時代が変わったのです。

 また、時代の流れなのか、基本的な海の知識すら持っていない人も増えている。
 たとえば波はどのように生じるのか、うねりと波はどう違うのか? 海流と潮流の違いは? 干潮と満潮について、波打ち際ではなぜサーフが発生するのか・・・、そのあたりのことも知らないというのは社会全体の自然に対する意識、海に対する低下もあるでしょう。つまり子供の頃に自然や海で遊ぶ機会がほとんどない(親もどう遊んでいいのか分からないので連れて行けない)とか、学校でもそういうことを教える機会もないし、教えられる人間もいないということなのでしょう。

 ぼくらが想像する以上に、海を知らない層が増えている現状は知っておく必要があります。 
 想像以上に、というのは外せないひとつのキーワードです。

 そういう人でも、プロガイドのツアーならば楽しめますし、回数をこなすとある程度のパドリングスキルは身につくものです。ですが・・・、海での状況判断能力は・・・・。

 ぼくはよく「パドリングスキルももちろん大事だけど、ナヴィゲーションスキルはもっと大事だ」と言いますが、それは結局、ツアーならばある程度のパドリングスキルさえあれば、ガイドの力量次第でかなり難易度の高い場所でも行けるけれど、それを自分で行くとなると、ガイドがかなり神経をすり減らしてやってるナヴィゲーション/状況判断を、自分自身でしなければならなくなるからです。それができないと、かなりのパドリング技術があっても、ろくなツーリングができません。で、シーカヤックって面白くないな、と疎遠になっていくわけです。

 もちろん海は誰の物でもなく、自由な世界ですが、
 自由には実力と責任が伴います。
 海に対して真摯に、謙虚に向き合い、少しずつ実力を上げてゆき、
 少しずつ自由度を高めてゆくというのが筋なのです。

 そこに本当の面白さ、奥深さ、素晴らしさ、神秘、感動、発見があります。
 全ての生命は海から生まれたわけだし、海って究極の世界ですからね。

 ガイドの庇護を取っ払って海に出てみる自由の味とは、果たしてどんな味か。時として苦く、時として素晴らしいものに感じることでしょう。だけど甘い物ではないということはよく分かるかと思います。


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SUPもライフジャケットを着用しよう

2017-06-20 22:32:45 | 日記

 結構沖まで漕ぐカヤッキングの際、ライフジャケット(正確にはPFDという)を着用することは当たり前のように浸透していますが、SUPではかなり沖まで漕ぎ出すにもかかわらず、なぜか着用しない人も結構多いようです。
 最近特によく見かけます。

 とても危険です。反論として「リーシュを付けているから大丈夫だ」という人もいますが、リーシュのヒモが劣化していて千切れたり、外れたりすることって割とあります。ライジャケならばちゃんと着用していれば脱げないですが、リーシュって結構心許ないところがあるものなのです。

 ライジャケなしで沖にこぎ出し、途中で風が吹き付けてきて波も出てきて戻れなくなった。リーシュのヒモも千切れてしまった。ボードは流されていきました。
 さて、どうなるでしょうか?
 あまり頭を使わずとも、分かることですね。

 これからの水温の高い夏場、もし何かあってもライジャケさえ着用していればなんとかなりますので、そこのところよろしくお願いいたします。

 ちなみに当店アイランドストリームにはSUPは6台あり、スクールを2回以上受講した方にはレンタルしようかなと一時考えていましたが、しばらくはレンタルなしにしたいと思います。世の中には色んな方がおられますし、安全管理しきれないところがあるからです。
 SUPスクール、ツアーなどのプログラムはやっておりますので、どうぞご参加くださいませ。
 http://islandstream.la.coocan.jp/sup.html

 それ以外で自分で海に出たい方は、マイSUPをご入手の上、お楽しみください。


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