プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

龍良山

2021-11-23 22:58:00 | 黒潮文化の旅

















 対馬の白嶽、龍良山、御岳と立て続けに三つの山に登った。そのうち、南部にある龍良山は国内でも最大級の、縄文古来の照葉樹に覆われた極めて希少価値の高い原生林の山だが、それにまつわる話が面白い。
 どこからか小舟でこの地に流されてきたシャーマンの女性が太陽光線によって受精し、産んだ子が天道法師で、その子の住処がこの山だったという。そこは誰も入ることが許されず、「オソロシドコロ」と呼ばれるイカツイ名の祭祀場所もあったりするゆえ、犯罪者が入りこんでも追跡できなかった。そういう森だったからこそ手付かずで残された。

 一方北部にある御岳も聖なる山で、モミの木の原生林にはキタタキという50センチくらいになる固有のキツツキが生息していたが、この山は禁足地ではないゆえ、ジャンジャン人に荒らされ、キタタキは昭和初期に絶滅した。

 天道法師とキタタキ、山の精という意味で通じてるように思う。前者は禁足地だったおかげで稀少な照葉樹の原生林として残されたが、そうではなかった後者の象徴キタタキは滅んでしまった。

 これらの話からわかるのは、龍良山のオソロシドコロというのは、本当はそのイカツサとは真逆の、清らかなるもの、美しいもの、夢、ロマンディシズムなどのことであり、そういうものは得てしてすぐに踏みにじられ、壊されてしまうものなので、それを守るための鎧としてイカツイ命名にしたのだという気が、ぼくにはしてならなかった。


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海から詣でゴール

2021-11-23 10:09:00 | 黒潮文化の旅













 和多都美神社を海から詣で、対馬一周完了。
 山の化身ヒコホホデミと海の化身トヨタマビメが結婚した場所。そしてその孫が初代神武天皇であるというのが日本神話。ここに今の時代に響く、深い意味が隠されてると思う。

 森は海の恋人と言われるように、海と山とのつながりとは、オオワシもミジンコもバッタもクジラもマムシもタツノオトシゴも、すべてのものが有機的に絡み合ってハーモニーを奏でるエコシステムの象徴であるってことだけど、それがそもそもの日本的自然観の基本だとも言える。
 この神話は今的に、そういう風に読める。
 それを忘れて20世紀から21世紀にかけて水銀や放射能汚染水を垂れ流すという愚を繰り返すこの国はどこでどう逸れて行ったのか?  
 
 と、そういうことに触れるのが、他のアクティビティにはない、シーカヤッキングの真髄なんだと思う。ただのレジャーだけではなく。他のスポーツで、古事記とか参考にする奴はいないだろうし。

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