プリミティヴクール

シーカヤック海洋冒険家で、アイランドストリーム代表である、平田 毅(ひらた つよし)のブログ。海、自然、旅の話満載。

感覚的情報の豊かさ

2017-09-22 10:52:34 | マインドフルネス

 先日、と言っても少したちますが、中紀の某所でツアー。
 湯浅湾とはまた違う、より緑濃く、また黒潮の影響も強くなるエリア。

 湯浅湾全般から日ノ岬あたりまでが俗にいう中紀エリアとなりますが、中紀一つとっても、場所ごとに海岸線は微妙に植生が違うし、海に入ると(シュノーケリングすると)魚種の生態も違うということがわかる。そして空気感、五感で捉えるフィーリングが違う。岬一つ、川の河口一つ、島一つ、港一つ越えるごとに少しずつ、あるいはガラッと変わる感覚を肌身で感じることができる。

 まるでソムリエがワインをテイスティングするように、その微細な違いを身体でキャッチすること。それはおそらく、カヤックが最も適していると思う。動力船ではだめだし(特に自然音がエンジン音でかき消されるから)、SUPでは移動距離が足りないし、ヨットでは身体と水面との距離がちょっと遠い。歩きでは磯場を移動できないし、車では論外(もちろんそれぞれに魅力と世界観があるわけで、優劣を言っているのではなく、肌感覚という側面を言っているので誤解ないよう)。

 ぼくはよく「自然の息吹、鼓動に対して最も敏感な、楽器のような乗り物」とカヤックについて形容しますが、紀伊半島のエリアはまさにそんな感覚を試すのに、自然に対してよくレスポンスする身体を磨き上げてゆくのに適したフィールドなのですね。

 自然と向き合いつつ、心と身体の声に耳を傾けること。
 自分自身もひとつの生物になったかのように生態系の中に溶け込みつつ、ゆっくりのスピードで、でもそこそこの距離(10~50キロ)を移動してゆくこと。そこで得られる感覚的情報の豊かさ、リッチさって、色んなアウトドア遊びと比べてみてもすごく純度が高いと思うんですね。特にこれからのAI・人工知能の時代、価値が高まってくると思います。

 もちろん、それを実感するにはある程度漕げるようになる必要があります。でもある程度でいいんですよ。今年シーカヤックを体験して面白かったなと思ったならばまずは10回、やってみてください。そうするとより余裕を持って、漕げる距離も少しずつ伸びてきます。そしてそこから見えてくるものがあります。さらに、ぼくの言っているようなこともだんだん分かってくることでしょう。ですが、1回2回やっただけでは、まず分からないものです。それでももちろん楽しいんですけどね。だけど色々分かってくるようになるとさらに、楽しい、プラス興味深い、面白いというように進化してゆくのです。


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