一韶の俳句ブログ

俳句を詠うのは自然・私・家族・夢や希望・社会など。読む時はどんな解釈が浮かぶか読み手の経験や生活によって様々

3005  岩戸句会 7月

2023年08月15日 | 

今日揚羽きのうカナブンあなたなの     おぼこ

一椀にじゅんさい故郷父母よ       〃

 

炎天や帰宅園児の大鞄         豊狂

水垢離の山雀三羽垣越に        〃

  

夕涼み百合一輪と白うちわ       黒薔薇

駅ホームクルクル手持ち扇風機     〃 

 

炎天下暗渠でスイスイ鮠の群      吠沖

蝉しぐれアブダカダブラ第九波     〃

 

朝明けの大樹も揺るる蝉しぐれ     信天翁  

夕立ちの叩く雨音流る音         〃

 

夏草の中に遺跡を見つけたり      伊豆山人

今の世は言葉も人もカビやすし      〃

 

柔らかに闇を切り裂く蛍かな      紅

ハンカチを握りなおして待合室     〃

 

夏潮や一直線に定期船         吟

ひと筋の蜘蛛の糸あり不動前      〃

    

水垢離の肌清めたる白き布       流水

夏の夕アンドゥトヮアンドゥトヮワルツかな

 

涼やかな野球小僧に釘付けよ      コトリ

水風呂やジッジジッジと夜の蝉      〃

 

水垢離や消しゴムカスに溺れそう     心 

サングラスマスクに日傘どちら様     〃

  

何気ない歩みの下に蟻がいた      余白

生きてればミミズつまんで日陰下     〃

  

緑陰やワンマン列車走りおり      翠風 

真夏日に砂丘海辺を歩きけり      〃 

 

朝涼やつるりと剥ける桃の皮      釣舟

神よりも君を頼りに合歓の花      〃

ビヨウヤナギ(美容柳、未央柳)

  

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3004   風鈴に一茶の蠅を吊るしけり  釣舟

2023年08月06日 | 

  風鈴の起源は、中国から僧侶が持ち帰ったものが青銅製の大きな「風鐸」であり、ガランガランという鈍い音には厄除けの意味があったらしい。その後小型化した風鈴にも呪術的な意味もあった、という。風鈴は、法然が「ふうれい」と名付けたことに由来すると言われている。

 風鈴は、おわん型の「本体」を糸で吊るし、内側に鳴らすための「舌(ぜつ)」を吊るし、風を受ける「短冊」を吊るす。構造的には3つの部品と糸の4つである。その短冊にどんな俳句を書こうか、と俳を作る私は考えた。

 風鈴の俳句としては「くろがねの秋の風鈴鳴りにけり 蛇笏」を思い出すが、風鈴の句はふさわしくないだろう。

「やれ打つな蠅が手をすり足をする 一茶」

「閑さや岩にしみ入る蝉の声 芭蕉」

「滝の上に水現れて落ちにけり 夜半」

とっさに思いついた夏の句を3句。上げ出したら切りがないのでこれ以上やめておくが、この中では、やはり一茶の蠅が面白いかなと、私は思った。あなたならどんな俳句を選びますか。

風鈴ではないが、風によって鳴るチャイム

 

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3003  蜜蜂の巣箱見に行く梅雨入りかな  釣舟

2023年07月23日 | 

  昨年、友人が「日本蜜蜂の巣箱を置かして欲しい」と頼まれた。昨年は、入らなかったが、今年の5月25日、蜜蜂数匹がうろうろしているのを発見。その後、確実に入ったことを確認。

 ミツバチは、春になって次の女王蜂を産むと、母親は働きバチを半分連れて巣を出て行くそうである。そこで誘引剤を巣箱に付けて女王蜂を誘うのである。

 巣箱を設置してから毎日観察するのが日課になったが、ある日巣箱の屋根に大量の蟻が巣を作りつつあるのを発見。蟻にとって蜂蜜のある巣箱に巣を作るのは、好都合に違いない。女王を中心に王国を築くのは、蜜蜂も蟻も同じ。絶対に近づけてはならないだろう、とばかりに掃討する。

 蜜蜂を狙うのは蟻ばかりではない。怖いのはスズメバチ、特にオオスズメバチらしい。

オオバギボシ(大葉擬宝珠)

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3002  藪からしジパングに日は沈みゆく  吟

2023年07月14日 | 

  「藪枯らし」は、別名ビンボウカズラ(貧乏葛)、ヤブタオシ(藪倒し)などと呼ばれ、雑草の中の嫌われ者である。一方、十六~十七世紀頃、マルコポーロの「東方見聞録」などで、中国大陸の東方にありアメリカ大陸の西にある独立国をジパング(日本)、という記述があるそうである。つまり、当時の欧米では、世界地図に「ジパング」が記載されていたのである。

 「俳句は、取り合わせを考えよ」と言われる。例えば、衣服の場合、帽子、上着、ズボンやスカート、靴などどう取り合わせるのか、という美的センスが必要である。建築や料理、茶道など日本文化のあらゆるものに共通している。

  さて、藪枯らしという卑小なものに、「ジパングに日が沈みゆく」という地球規模の大きなものをぶつけ、欧米から俯瞰させたことが、この句の取り合わせの妙、面白さと言える。

ハンゲショウ(半夏生)別名 カタシログサ(片白草)、三白草

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3001  492回 岩戸句会  6月

2023年07月06日 | 

藪からしジパングに日は沈みゆく   吟

人なげやりなカラスの声よ梅雨深し  〃

 

ふるさとや弾む語らい柿の花     信天翁

噴水のしぶきに踊る子等の群     〃

  

鉢巻の折り目正しき夏祭り      豊狂  

新調の法被肩張る夏祭        〃

    

歓声や田植えの子らの汗眩し     心 

紫陽花や叱ってくれる師のありて   〃

     

完璧は叶わぬ齢胡瓜もむ       紅

たおやかに宙に伸びゆく立葵     〃

 

わさび田の蛍眺むる父の日に     流水

新緑に精気賜り深呼吸        〃

 

梅雨晴れ間汐風野点母上に      翠風

海上のお日様金魚となりにけり    〃

 

紫陽花が活けて活けてとせっつくの  コトリ

床柱大山蓮華佇みぬ         〃

 

時の日や数字を持たぬ時計草     伊豆山人

父の日に父想う家に父は亡し     〃

 

雨上がり雲間にきらら梅雨の月    黒薔薇

帯の蝶々が華やぐ祭かな       〃

  

喧噪は海へと沈む祭り後       吠冲

裏庭に舞いとぶ蛍二つ三つ      〃

     

雨の中ミミズ這い出しどこに行く   余白

初孫を胸前に抱き藤の花       〃

 

風鈴に一茶の蠅を吊るしをり      釣舟

サービスの五月雨洗車してをりぬ    〃

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3000  通奏低音丸花蜂のホバリング  釣舟

2023年07月03日 | 

 蜂と言えば、スズメハチ、大スズメハチなど刺されたら大変なもの。アシナガバチ、日本ミツバチ、西洋ミツバチ、のように刺されても大したことのないもの。そして、マルハナバチのようにほとんど刺さないものがある。

 マルハナバチは、大きくて毛がモフモフしたとても可愛いハチなのです。体の割りに羽根が小さく、畑の周りで、よくホバリングをしています。

 ところで昨年、日本蜜蜂の巣箱を設置したところ、今年ようやく入りました。

ニホンミツバチ(日本蜜蜂)

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2999  硝子窓手を広げ逆さま守宮  黒薔薇

2023年06月06日 | 

 ニホンヤモリは、シーボルトが日本で発見したため、(学名:Gekko japonicus)とされているが、ユーラシア大陸からの外来種であり、準絶滅危惧種である。人家内外の害虫(ゴキブリなどの虫類)を捕食することから家を守るとされ、漢字では「守宮」「家守」と書かれ、よく似た名のイモリ(井守)とともに、有益な動物として古くから親しまれている。

 ヤモリの足には吸盤のようなものがあり、ガラスに張り付いて自由に行動することができる。作者は、たぶん有益な動物として、「とても可愛い」と思っているのではないだろうか。

ヒメジョオン(姫女苑)

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2998  第490回 4月 岩戸句会

2023年05月17日 | 岩戸句会

ミサイルが着弾します四月馬鹿    ルパン

ピンポーン竹の子二本届きけり

  

雨に打たれ広がってゆく桜草     流水

雨やどり目玉で会釈雨蛙       〃

 

風光るサッカー少年の大リュック   マープル 

かくれんぼの鬼残される落花の中 

  

風光るダンプの前のミニバイク    豊狂  

風光る稚児舞簪揺らめきし 

    

春眠や深度三百のシーラカンス    吠沖

新緑や山も心ももふもふに      〃

 

気を付けて「ね」に心こめ花の宵   蠍 

大丈夫元気になるよしょうぶ咲く

 

春眠や待合室の老男女        心

句碑に名を刻みし母や桃の花     〃

 

蒼天へ自由奔放花ミモザ       さくら

ヨチヨチがパパ振り払って青き踏む  〃

 

空をゆくひとかたまりの花吹雪    黒薔薇  

ジャンプして陽炎に紛れこむ

          

イベントの疲れ回復菖蒲の湯     淡白

さえずりに見上げた先のツバメかな

 

桃の花童女になりし叔母卒寿     吟

嫁ぐ娘と最後の散歩桃咲く日     〃

 

清明や野道の光りひねもすを     信天翁

鳴く鳥の姿隠して若葉舞う      〃

 

年一のタラの芽サクッと揚がりけり  コトリ

釣りたての鯵を捌くや桃の花     〃

 

春暁や太陽女神訪れて        翠風

トンネルの向こうで待ってる桃の花  〃

 

昭和の日世界和せない令和かな    伊豆山人

味噌汁にふかみどりなるワカメかな  〃

 

今という時間はゼロや風光る     釣舟

空海忌モーター廻す蓄電池                   〃   

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2997  雨に打たれ広がってゆく桜草   流水

2023年05月16日 | 

 春と言えば桜。桜と言っても色々ある。桜の種類を言い出したら切りがないのでここでは省略するが、桜以外では、芝桜、桜草。植物以外では、桜鯛、桜海老、桜烏賊、桜鱒、桜貝、桜漬け、桜鍋。植物や食べ物以外でも、うば桜、日産 SAKURA、さくら市等々。いずれにしても日本人は、美しいものに桜を付けるのである。

 サクラソウは、日本の原野に自生しているのが日本桜草であり、園芸店で販売されているのはほとんどが西洋桜草だという。

 さてこの句、雨に打たれて広がってゆくのが「桜草」だという。「広がる」とは、桜草の花そのものが開いてゆくのと、花や葉の桜草全体が成長してゆくことの両方を示している、又はそうなっていくであろうことを予測している。そして春の雨こそは、植物にとって成長を促す正に恵みの雨なのである。

タツナミソウ(立浪草)

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2996  ミサイルが着弾します四月馬鹿 ルパン

2023年05月15日 | 

 Jアラートは、弾道ミサイル攻撃に関する情報やその他の緊急情報を、人工衛星及び地上回線を通じて全国の都道府県、市町村等に送信し、市町村防災行政無線等を自動起動することにより、人手を介さず瞬時に住民等に伝達するシステムである。

 しかし、例えば北朝鮮のミサイルは、発射からおよそ十分で日本に着弾するから、ミサイル発射を確認し、Jアラートを伝達しても、手遅れなのである。では何故日本政府は、そのような無能なJアラートシステムを開発し配備するのか、又、撃ち落とすことの出来ない地対空ミサイルパトリオットや旧式トマホークを大量購入するのか。

 いずれにしても日本が、アメリカに勝てないことが分かっていても太平洋戦争に突き進んだように、政治家は国民の命や平和、日本の将来のことなどは全く考えておらず、時の経済界の権力者の言いなりになっているだけなのである。

 ロシアとウクライナの戦いを見て分かる通り、権力者は敵を作って殺そうとし、国民を戦争に駆り立てて殺されることを平然と行うのである。権力者は国が滅びようが、人類が滅びようがどうでもよくて、今だけ、金だけ、自分だけなのである。

 岩戸句会第五句集のはしがきに書いたように、ホーキング博士の「人類に残された時間は、百年しかない」という言葉が、増々現実味を帯びてきた。

タツナミソウ(立浪草)

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2995 ものの芽や乳呑み児胸に若きパパ  豊狂

2023年04月04日 | 

 三十年前から日本の将来は、少子化が進むと言われていたが、政府は、ほとんどこの問題を無視し無策を貫いた。若者の賃上げ、教育費の無償化、低家賃の公営住宅建設など多くのやるべきことをやらなかった。未だに掛け声ばかりが大袈裟で、根本的な政策は打ち出せていない。一方、アメリカの言いなりに、防衛費などは一気に増やし、古いトマホークを大量購入するらしい。

 さて、男が育児休暇を取り、イクメンなどと言われ持て囃されているが、若者たちにとって現実は厳しい。若者切り捨ての、子育てできない低賃金が続いているからだ。この句のパパのように子育てに参加して行けるのは、残念ながら大企業の社員や一部の恵まれた若者のみである。少子化は止まらない。

ミヤマシキミ(深山樒)

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2994  WBCものの芽達も小躍りす  コトリ    

2023年04月03日 | 

 「女性自身」のアンケート調査によると、現在、日本で最も人気のある男性は、「大谷翔平選手」で、特に40代以上の女性に人気が高く、原因は二刀流の野球選手としてよりも、さもありなむ、人柄人格の素晴らしさなのだそうである。

 WBC優勝を成し遂げたサムライジャパンが、日本プロ野球を更に発展させて欲しいし、大谷選手がエンジェルスで仲間たちを鼓舞し、今年の優勝へ導くことを切に祈る。

 当然3月の岩戸句会でも、WBCに関する俳句があり、以下の通り女性に多かった。

侍は旅立ち行かん花筏         吟

サムライに燃えた奮えた彼岸かな    心

雄叫びのWBCや花も満ち       信天翁

故障の春げんなおしするペッパーミル  吠冲

侍芽日本中飛び回りけり        翠風

グラブ放り帽子も放り花吹雪      雲水

ヒメオドリコソウ(姫踊子草)

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2993  グラブ投げ帽子も投げて花吹雪  雲水

2023年04月02日 | 

 今年の、栗山監督率いるサムライジャパンの活躍は見事だった。ダルビッシュ有、大谷翔平、今永翔太などの投手陣。ヌートバー、近藤健介、吉田正尚、村上宗隆などの打撃陣も素晴らしかった。

  監督は、MLB経験の長いダルビッシュをその気にさせ若い選手達を、特に投手陣を指導した。又、ヌートバーの才能と性格を見抜き、1番に据えた。2番近藤、3番大谷の次に当たっていない4番村上を最後まで信じ切り、打撃開眼させた。いずれにしても栗山監督のもと、チーム全員が明るく楽しそうに、真剣に集中して日本を勝利に導いた。

 それにしても、サムライジャパンの野球に取り組む純粋さとついつい比べてしまうのが、自民党政権である日本政府の国民や議会に対する態度である。腐敗しきっているとしか言いようがない。議会や委員会を軽視し、真剣な答弁をせず平然と嘘をつく。特に最近の高市大臣の「捏造発言」は、ひどい。日本政治は絶望的である。

ホトケノザ(仏の座)

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2992 第319回 岩戸句会

2023年03月31日 | 岩戸句会

風やわらさあ春蘭を探しましょう    蠍

カステラをぶ厚く切りて花見せん

 

ものの芽や地底のマグマ母として    吟

春風も軽トラックに積み込んで    

 

ものの芽や乳呑み児胸に若きパパ    豊狂

木の芽雨榾木艶めく夕間暮

      

山椒の芽またひとりめぐり雨の朝    吠沖  

人影なきかあごめかごめ夕桜 

 

花の色常なる日々は奇跡なり      コトリ

春満月犬と私の長い影        

 

白木蓮午後五時という昏さにも     さくら

蒼蒼と田老産なる和布かな      

 

芽吹くときかすかな吐息あるような   おぼこ

つなぐ手に笑顔に花の散り止まず

 

ものの芽や子等の足音聴いており    心

フリージア一輪挿しが窮屈に     

 

歩かない老犬抱いて桜見る       マープル

踏切に鳴り出す鉦や夕桜

    

花吹雪笑顔のイカスラガーマン     ルパン

啓蟄や花壇の手入れいたしおり

 

ふらここや私心もゆーらゆら      黒薔薇  

ものの芽やほぐれほぐれて大和魂

      

ボタン押すバスの車内にバラが咲く   淡白

思い出は卒業日でのボタン取り

 

春疾風袴のすそも祝ひ舞        流水

春雨も思い出となる卒業式      

 

雄叫びのWBCや花も満ち       信天翁

花咲くを風の間に間に川の音     

 

春の夢なつかしき人に出会う旅     伊豆山人

ウグイスがベランダに来て声ならし  

 

枝垂梅酔心宴に誘われて        翠風

枝垂梅ライトアップに円舞曲     

 

青き踏む百人一首諳んじつ       釣舟

春雷や欹つ耳の二二ンが四      

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2991  春立てり波の潮目に吹く風に  吟

2023年03月09日 | 

 飛鳥時代から江戸時代まで、日本の暦は、いわゆる旧暦の「太陰太陽暦」だった。地球を回る月の運行は、29,5日なので、ひと月を29日、又は30日と決めていた。一方、太陽を回る地球の運行は、一年365,25日で春夏秋冬が決まる。従って、月の運行で一年を決めていると、季節が合わなくなっていく。その誤差を修正するために、閏月を設けなければならず、2,3年に一度、一年に13カ月の年があった。

 明治5年に明治政府は、太陰太陽暦を太陽暦に改めた。おかげで四年に一度の閏年だけで済むようになったが、太陽の運行による新暦の24節気と、月の運行による旧暦の節句とがあって混乱してしまった。

 未だに年賀状に「新春」と書くのは、旧暦では一年の始まりが立春の頃だったからだ。従ってこの句は、作者が旧暦の元旦を迎え、潮目や風に新年の神々しさを感じ取った句だ、と言えるだろう。

シキミ(樒)別名「シキビ」「ハナノキ」「ハナシバ」「ハカバナ」「ブツゼンソウ」「コウノキ」「コウシバ」「コウノハナ」「マッコウ」「マッコウギ」「マッコウノキ」

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