神の留守作り置きして旅に出る パピルミ
冬の海中鰯キラキラ頭上を通る
烏瓜飾り路上の生活者 薪
短日や兎土偶に尻の穴
冬の朝ぐっと近づくランドマーク さくら
咲き初めて石蕗に移ろう季節かな
冬晴や三界一望透かしをり 沙会
息止めて又咳ひとつ枯芙蓉
コスモスや遠い記憶の廃校よ 鞠
ゆっくりと踏むサクサクと落葉かな
朝夕の温度差知りぬ冬始め イヨ
からからと風と去り行く落葉あり
秋風や豆腐コトコトネギ生姜 裕
湯豆腐もいつもの鍋で無精者
休航のマスト奏でる北風かな 海人
目白鵯雀集いし子守柿
喜より怒を俳句にせんと冬の旅 炎火
なけなしのスタミナを削ぐ濡れ落葉
今朝の冬レジに居並ぶ婆と爺 豊春
枯蟷螂呼び鈴抱え動かざる
面取りのやや雑となり鰤大根 歩智
終活の準備せよとの妻の声
さざんかや咲き乱れては散りたがる 洋子
ひと筋の蔦にすがるや烏瓜
老夫婦手を取り運ぶ冬野菜 余白
陽だまりの子規庵囲むラブホテル
草花にかすかな湿り今朝の冬 稱子
一刀両断薪一回転の着地かな
初氷割るや小鳥の水飲み場 雲水
小鳥来る旅立つ夢の実万両