今月の兼題「香水」の俳句には、大きく分けて二つのタイプがあった。日本人は欧米人と比較して、体臭が強くなく、毎日風呂に浸かり、とても清潔好きであるから、体臭を打ち消す香水を余り必要としない。つまり、香水に対して否定的な句。例えば掲句以外にも
過ぎたるは異臭となれる香水かな 光子
すれ違ふかの香水にまわれ右 凛
香水はいらぬ自然な妻がいい 裕
一方、肯定的な句もある。
香水と二人連れなる夜の街 沙会
香水に力得て言ふI love you 沙会
亡き人のなつかしい香水 鞠
さて掲句。香水をつけたのが自分なら、嫁ぐという特別な日に、特別な香水をつけて自分が自分でないように感じたのだ。勿論、身内の誰かのことかもしれない。
又、そのどちらにも当てはまらない句もある。
舶来の香水瓶のレトロ感 さくら
毒という香水に酔いしあの時代 鯨児
香水や妻の遺せし十五年 雲水