校庭のタイヤの遊具やんま来る 薪
白内障術後きらきら夕の虹
夢覚めて独りの闇や鉦叩 凛
還らざるものを想いて星仰ぐ
枝豆に少々という塩加減 さくら
汗散らし突き上げガッツポーズかな
蟋蟀や積んどく本とキイボード 豊春
吾子の如犬抱く男ちちろ鳴く
鬼灯の豊かな実り店先に イヨ
夕暮の鐘の音遠し盂蘭盆会
指先に心を込めて大根播く 洋子
ねじれても寄り添っている水引草
蝉しぐれ少し黙ってくれないか 裕
降るような秋蝉に耳盗まれて
立秋や女は南へ男は西 鯨児
猫じゃらしくすぐったくて逃げる雲
雨上がり月の匂ひの晩夏かな 沙会
夏が過ぎ風清かなる夕の暮
バラバラ事件の被害者あぶら蝉 炎火
八月や今や先制攻撃論
誰彼と話したくなる鰯雲 光子
無花果を見つけ迷わずレジかごへ
僧侶の棚経もなく盆過ぎる 鞠
涼月のすべて浄化を願いけり
海の風純白の百合届けたい 黄玉
全力のクロウリハムシと初対話
ガラス戸を拭き秋空も磨きけり 歩智
ビルの間に橋架け進むインパルス
夏の犬首に氷のう乳母車 パピ
川端に早一輪の彼岸花
邯鄲をはらからとして余りあり 雲水
落蝉の細かな波紋止みにけり
コバギボウシ(小葉擬宝珠)