作者は先日、三井記念美術館で行われている特別展 「文明の十字路・バーミヤン大仏の太陽神と弥勒信仰」を観て来たそうである。
アフガニスタン・バーミヤン遺跡には、イスラム原理主義組織タリバンによって破壊された、高さ五十五メートルの東の太陽神と西の弥勒菩薩の二体 の大仏がそびえていた。展覧会では、バーミヤンの石仏とインド・ガンダーラの仏像、そして日本の法隆寺な ど奈良の古寺をはじめ各所に伝わる仏像や仏画等で、そのお顔立ちの違いなどを辿ることができるそうだ。
古代中国の五行説で金は秋にあたることから、秋風を「金風」と呼ぶ。やはり、五行思想で、「春」は「青春」、夏は「朱夏」、秋は「白秋」、冬を「玄冬」と言ったので、秋は白とも言われる。
さて、この句は、作者が展観してきた「弥勒菩薩」に「金風」を採り合わせただけである。私情を挟まず、見たもの聞こえたものに季語を斡旋する。俳句の原点のような句と言えるだろう。
ヨメナ(嫁菜)