五月雨や熊本城の天守閣 沙会
濃淡の阿蘇の新緑描く筆 〃
ふんわりと産毛残して巣立ちたり 歩智
梅雨どきとはいえ昨夜の豪雨かな
あじさいやエンディングノート書き直す 洋子
夏みかん唇指もしたたりて
夏空や右折車線は渋滞中 光子
蜥蜴居て一オクターブ上がるキャー 〃
鶯もお国訛りや三千院 凛
ガーベラに見つめられてる昼下がり 〃
トマトの輪切りボヘミアガラスの皿 炎火
紫陽花の国道を切る配管工
遠き日の我と行きかふ夕焼雲 さくら
回り道して万緑の中に入る 〃
蝶の口出水の後の土を吸う 薪
販売車の弾む音楽万緑へ
さえずりに揺れて応える若楓 鯨児〃
麦嵐波涛につるむ風の神
野原でスキップランラン夏来たる 一煌
花間近為朝ユリの息づかい
夏の蝶屋根越す毎に裏返る 豊春
万緑や森に溶け込む石仏 〃
静けさの万緑の寺鐘の音 イヨ
穀雨来て野道賑わい風渡る 〃
初夏になり鮎川戻り海静か 鞠
一面に蜜柑の花や香水瓶 〃
公園の泉水跡に八重桜 余白
妻拝す月下美人に何願う
日が暮れて命のかぎり蝉時雨 忠人
雨に濡れ香り色付く牡丹かな 〃
万緑や赤傘野点沢求め 黄玉
野薔薇道越えて歓声溢れけり 〃
逃げ延びた金魚を売って下さいな 雲水
新茶汲む二煎三煎八雲もち 〃