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4月28日(金)

2017年04月30日 20時01分01秒 | 2017年

  5時起床。今日は、2週間ほど前の休日出勤の振替休日を取って、一足早くゴールデンウィークの旅行(第1弾)へ出かける。最近は、4月から新しく担当することになった業務の影響で休日出勤の数が増えて、休日に仕事に出ては平日に振替で休むということが繰り返されている。今日のように平日に休めるのは嬉しいが、中には日曜日の19時から出張なんていう予定が入ったりもするから、それほどありがたくはない。

  6時過ぎに家を出て、新宿駅7時00分発の中央線特急スーパーあずさ1号に乗る。今回の旅行の一番の目的は、長野から松本を経由して南小谷へ向かうリゾート列車「リゾートビューふるさと号」に乗ることである。松本から南小谷までの大糸線の区間では、車窓から北アルプスを眺めることが出来るそうだ。しかしその前に、スーパーあずさ号からの景色もなかなか素晴らしい。

  定刻より少し遅れて、9時45分頃に松本駅へ到着。時間に少し余裕があるので、駅前にある和菓子屋「翁堂」の喫茶室でモーニングを頂く。プレートの一角にキャベツの千切りがドンと載っていて、それがとても甘い。一瞬、「これキャベツじゃないのかな?」と思ったくらいだ。

  松本駅へ戻り、10時41分発の快速リゾートビューふるさと号に乗る。この列車は臨時列車でGW期間の運転は今日からなのだが、今日はまだ平日なので乗客はほとんどいない。数日前に私が指定席を取った際には、2両編成の内1両は完全に空席だった。だから今回は、労せずして先頭車両の1番前の北アルプス側の座席(D席)を確保することが出来た。ここなら、自分の座席からはもちろん、目の前にある展望フロアからも自由に景色を眺めることが出来る。

  最初の停車駅は、穂高。列車はここで約30分間停車する。その間、希望する乗客は巫女さんの案内付きで穂高神社へ参拝することが出来る。私は先ほど載せた車両の写真を撮ったりしていたのでスタートに間に合わなかったが、穂高神社への参拝そのものはすることが出来た。

  ここから列車は、信濃松川、信濃大町、白馬、南小谷と進んでいく。進行方向左側には常に北アルプスが望め、白馬を過ぎた頃からは湖(仁科三湖)などの景色も眺めることができ、車窓から目が離せない。特に、北アルプスの険しい山々の景色は迫力があって、強く印象に残った。まさに、「リゾートビュー」の名にふさわしい列車である。松本からの乗車時間は、穂高駅での休憩時間を含めて約2時間。快速列車なので乗車券+指定席券(520円)で乗れ、これだけ素晴らしい時間が過ごせるのはありがたい。ただ、ひとつだけ難点を挙げるとするならば、終点の南小谷まで行ってしまうと、そこから先へ進むにも、引き返すにも、次の列車まで2時間近く待つことになる。スムーズな移動をしたい人は、終点までは行かないほうがいいかもしれない。

終点の南小谷駅が見えてきた。

  南小谷駅で途中下車(前述のとおり、そうする以外に選択肢はない)。予想通り、駅はとっても小さいし、駅周辺には小さな食堂くらいで、ほとんど何もない。駅のすぐ隣を大きな川(姫川)が流れていて、その対岸が住宅街になっている。

  対岸へ渡り、川沿いにしばらく歩いて、「おたり名産館」へ。ここで昼食をとることにする。地元のお母さんたちが運営しているお店で、店内は明るい雰囲気だ。注文は、名物の外二八蕎麦と、天ぷら。まず、天ぷらが出て来る。山菜の天ぷらだ。思わず笑みがこぼれてしまうほど美味しい。特にこごみが絶品(下の写真では隠れてしまっているが…)。そうそう、せっかくこういうところまで来たのだから、こういう地で採れたものを食べたいのだ。続いて、お蕎麦。これもまた、驚くほど美味しかった。私にとって蕎麦という食べ物は、最初の何口かは美味しく感じるものの、段々とくどさを感じてしまうものというイメージがあった。しかし、ここのお蕎麦にはそういったくどさが全くなく、すっきりした喉越しで、最後まで純粋にお蕎麦の香りや味を楽しむことが出来た。お蕎麦、特にざるそばをこれほど美味しいと思ったのは初めてかもしれない。

  姫川の水際まで下りて行って、次の列車の時間まで読書タイム。せっかくなので足を水に入れてみたら、めちゃくちゃ冷たかった。どんどん足が白くなっていき、10秒と入れていられない。しかし、その冷たさが癖になってしまい、日光で温まっている岩の助けを借りながら、足を水に入れては乾かし、入れては乾かしということを繰り返す。そんなことをしながらまったりしていたら、いつの間にか次の列車の時間が近づくと同時に、体全体が冷えていた。そそくさと足を乾かして靴下を履き、駅へ急ぐ。

  南小谷駅14時43分発の普通列車糸魚川行きに乗る。先ほど南小谷に着いたのが12時47分だから、やはりちょうど2時間くらいは経っている。ここから先は非電化区間になるため車両もキハ120系という一般気動車となり(先ほどのリゾートビューふるさと号はハイブリッド気動車だった)、同時にJR西日本の管轄区間になる。南小谷から糸魚川までの所要時間は約1時間。予想どおり、乗客はほとんどいない。私と一緒にリゾートビューふるさと号に乗ってきた鉄道マニアと思しきおじさん2名と、地元の方が2名ほどだったように思う。この区間の景色も素晴らしいので、観光で大糸線に乗る際には、糸魚川まで乗られることをおすすめしたい。

  糸魚川駅で、えちごときめき鉄道に乗り換え、今日の宿がある名立を目指す。北陸新幹線開通後に第3セクターの「えちごときめき鉄道」へ移管されたこの路線。JR線ではないので事前に首都圏で切符を購入することが出来ず、現地(今回は車内)で購入することになる。車内で車掌さんから切符を購入すると、なかなか珍しい形態の切符を発行してくれる。最初は現地購入なんて面倒だなと思っていたのだが、こんな切符を手に出来るなら大歓迎である。

この写真は名立駅に着いてから撮影した。

やけに華やかな座席だ。

サイズは大きいが、発駅と着駅がわかりやすい切符になっている。

  名立駅に到着。駅から日本海方面へ10分ほど歩いて、今日の宿である「うみてらす名立ホテル光鱗」に到着。ここは純粋なホテルではなく、道の駅に宿泊施設を併設させた形態の宿である。しかし、部屋はオーシャンビューで間取りも広く、下手なリゾートホテルより過ごし良さそうだ。

名立駅は川の上にある。

ここから、海沿いに向かって歩く。

今日の宿。結構大きな道の駅である。

  今回の宿泊プランでは、夕食のお造りと焼魚を、道の駅の中にある鮮魚コーナーで実際に並んでいる魚の中から自分で選ぶことが出来る。私は、お造りにはマトウダイ、焼魚にはホウボウを選んだ。しかし、実際には選んだというよりも、選択肢が3種類(残りの1種類は普通の真鯛)しかなく、ほとんど選択の余地がなかったといえる。マトウダイのホウボウも良い魚だが、少々釈然としない。

上がマトウダイで、下がホウボウ。

  夕食の時間まで、海辺を少し散策する。今日の海はとても穏やかで、日本海とは思えない。風もほとんどなく、散策には絶好の気候だ。しかし、すぐ近くにある風力発電機は少し寂しそうに見える。風がびゅんびゅん吹いて、風車が勢いよく回っている様子も少し見てみたかった。

  夕食は、先ほど選んだ魚たちを中心に、新潟牛のしゃぶしゃぶや天ぷらなど、思っていたよりも豪華だった。マトウダイのお造りはねっとりとした食感が特徴で、ほうぼうの塩焼きはそれなりに脂がのっていた。しかし、一番美味しかったのは、結局のところ牛肉だったように思う。魚ももちろん美味しいのだが、海沿いで地魚を食べているにしてはそれほどでもない、というのが正直なところである。

  夕食後、道の駅に併設されている入浴施設で汗を流す。温泉ではなく、古いスーパー銭湯といった感じだが、やはり広い湯船につかると体が軽くなる。

  先ほど、宿について(特に食事について)少し不満を述べてしまったので、良いところも書いておこうと思う。スタッフの皆さんの対応は素晴らしく、心癒されるものがある。マニュアル的にそうしているというよりも、とても自然体で、本当に歓迎されているんだなと思えるのだ。本当の「おもてなし」というのは、こういうことを言うのだと思う。これは一朝一夕に真似できるものではなく、この宿の大きな強みだと思う。

  入浴後は、部屋でまったりと本を読んで過ごす。最近は、道中に本を読むのが旅行の楽しみのひとつになっている。旅行の時以外にまとまって本を読む時間が取れない、というネガティブな理由もひとつにはある。しかし、非日常の空間で本を読むという行為そのものが、何かとても貴重な体験のように思えるのだ。同じ本でも、読んでいる自分が置かれている環境によって感じたり考えたりすることが変わってくるのではないかと感じる。時には、読みたい本を買ってもすぐには読まず、「これは次の旅行の時に」とストックしておくこともあるくらいだ。今回の旅行には文庫の小説を3冊持ってきて、もうすぐ2冊目を読み終える。少しオーバーペースなので、今晩は予定より早く寝ることにした。確か、22時過ぎだったと思う。ちょうど、瞼も少し重くなってきたところだった。