社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

6月25日(土)

2016年07月10日 13時25分16秒 | 2016年

  8時起床。温泉で汗を流してから朝食を頂く。

  今日は朝から雨が降っている。もう1度ビッグレッドファームへ伺おうと思っていたのだが、馬は傘を怖がるものだし、そうかといって傘を刺さずに歩き回るには雨が強すぎるので、予定を変更する。代わりに、新冠にある「太陽の森 ディマシオ美術館」へ伺うことにした。

  恥ずかしながら、これまでディマシオという画家のことは知らなかった。しかし、彼の作品の数々を目にして驚かされた。世界最大の油絵といわれている作品はもちろん、どの作品にもインパクトがあり、ついつい惹き込まれる。彼は作品にタイトルを付けないそうで、その作品が何を表現しているのかはそれを観た人によって異なる。古代なのか未来なのか、現実なのか幻想なのか、希望なのか絶望なのか。頭の中をフル回転させながら鑑賞する。こんなに刺激的な体験が出来るとは。

資料スペースの雰囲気が豪華。

  3時間ほど車を走らせ、帯広競馬場へ。雨が降っていたので寄り道も出来ず、運転は結構疲れた。

  帯広競馬場には、第1レースの直前に到着。相変わらず、迫力のあるレースが行われている。今日は雨で砂が水分を含んでいるので、いつもよりは楽にソリを引けて、レースのタイムも早くなるだろう。

  遅めの昼食に、豚丼を食べる。メニューに「名物」と書かれていると、つい注文してしまう。

  競馬場内を散策する。資料館があったり、ふれあいコーナーがあったりして飽きない。むしろ、私はとにかく馬そのものが好きなので、レースよりもふれあいコーナーのほうが楽しかったりもする。今日も、何度も人参を買ってしまった。

  雨の中、レースを観戦する。序盤のレースは2歳戦が多く組まれており、まだレースそのものに慣れていないため、パドックを回るだけでも一苦労。サラブレッドでも大変なのに、ばん馬に暴れられたら本当に大変である。それでも、実際のレースが始まれば、彼らも一生懸命ソリを引く。見ているほうとしては、勝負云々よりも、みんながきちんと怪我なくゴール出来るかが気になって仕方ない。だから、というわけではないが、今回も前回同様全く馬券は当たらなかった。

  空港へ戻る前に、「CAFE ROWA」に寄り、地元・十勝産の小麦を使って作られたパンケーキを食べる。もちもちとした食感が特徴で、シロップもそれほど甘くないので、ペロッと食べられる。

  帯広空港でレンタカーを返却し、帯広空港20時15分発のJAL576便に乗り、羽田へ戻る。東京は晴れていて、飛行機の窓から見る夜景がとても綺麗だった。

  羽田に着いたのが22時前で、帰宅は22時半前。空港から家が近いのはありがたい。


6月24日(金)

2016年07月09日 14時00分58秒 | 2016年

  6時起床。露天風呂にゆっくり浸かって目を覚ましてから、朝食。普段は朝食を食べない私も、なぜか旅行中は朝からお腹が空く。

  8時過ぎにチェックアウト。ここに泊まったのは正解だった。お世話になりました。

  三石にある乗馬牧場「MK Ranch」へ。乗馬や競走馬の調教・トレーニングを請け負う傍ら、一般向けに乗馬や馬とのコミュニケーション教室を行っている牧場である。私は、このコミュニケーションワークを受講するために訪問した。開講時間まで少し余裕があったので、受講前に生まれたての仔ヤギたちと戯れる。この仔ヤギたちがめちゃくちゃかわいくて、心底癒やされた。

  10歳牝馬のサラちゃんに協力してもらい、オーナーさんとマンツーマンで2時間みっちりと講義を受ける。基本的な馬の生態や身体的特徴、考え方について理解し、それらの情報を元にして、どのようにコミュニケーションを取るかについて考えた。当初私が想像していたよりも遥かに理論的な内容で、馬への近づき方や触れ方といったところ段階から、なぜそのように行動するのかということをしっかりとした根拠に基いて理解することが出来た。馬にとってどのような状況が心地よいのか、馬にとって重要なのは何なのか。テーマは、「安全」と「快適」。このふたつを提供することが出来れば、馬からリーダーとして認めてもらうことが出来る。リーダーは、馬の進む方向とスピードをコントロールする。つまり、人間がリーダーとして認められることで、馬の行動をコントロールすることが出来るようになるのだ。そしてその先には、手綱や鞭などを使わず、更にはゼスチャーすらも必要なく、馬と意思疎通が出来るようになる可能性が続いている。

  ド素人なので当たり前のことだが、馬との信頼関係を構築することは本当に難しくて、とにかく苦労した。しかし、最後には私の指示も聞いてくれるようになり、その瞬間は心から嬉しかった。そして、2時間はあっという間に過ぎ去ってしまった。しかし、とても充実した2時間だった。馬とコミュニケーションを取ることの難しさ、奥深さ、そして楽しさを学んだ。サラちゃん、オーナーさん、本当にありがとうございました。

  そのまま少し牧場に残って、馬やヤギたちと遊ぶ。先ほど習ったばかりの内容を意識しながら接することで、彼らがより身近な存在に感じられた。彼らもそう感じてくれていればいいのだが。

今年生まれたばかりの幼駒。小さくてかわいい。

ポニーなので小さくてかわいいが、立ち去ろうとするととても大きな声で鳴く。

草が食べられるようになっても、お乳も飲むのか。

頭が痒いのかな。

  移動中、新ひだか町の庁舎(三石庁舎)に、フランスのイスパーン賞を勝ったエイシンヒカリを祝う看板が出ていた。エイシンヒカリを生産した木田牧場がこの地域にあるのだろう。それにしても、役所に競馬関係の看板が大々的に掲げられているというのは面白い。今回は海外G1制覇だから、感覚的には地元出身のスポーツ選手がオリンピックで金メダルを獲得したようなものなのだろう。

  昼食は、昨年も訪れた静内駅近くの料理屋「天政」で、ムキガレイの煮付け(定食)と時鮭の握りを頂く。カレイは思っていた以上に脂がのっていて煮付けのタレとの相性が良く、時鮭も甘みのある脂が印象的だった。

  荒木克己育成牧場へ伺う。ここでは、本業である競走馬の育成(生産もやっているのだろうか?)だけでなく、「荒木牧場功労馬サポーターズ」という組織を構え、引退後の競走馬の繋養を行っている。元々はネーハイシーザーの繋養を目的に創設されたそうだが、オリオンザサンクスやトーシンブリザードなど、他の功労馬もここでお世話になっている。また、残念ながら閉場してしまった日高スタリオンから、スキャンがこちらに移動してきていた。

  事務所にご挨拶をすると、お仕事中にも関わらずお母さんが出てきて下さって、「あそこにいるのが○○で、○○はあっち」とか、「そこにいるのはもうすぐセリに出る仔たちなんだよー」とか、色々と丁寧に教えてくださった。牧場全体の雰囲気ものどかで素晴らしく、馬たちも本当にリラックスしていた。日頃から愛情を込めて大切に育てられているのだろう、私のような一見でも、人間に対する警戒心が全くないように見受けられた。特に、若駒たちは人懐っこくて、私の後を延々と追いかけてきて、遊んでくれとせがんでいた。おかげで、滞在時間は予定をはるかにオーバーした。それくらい居心地の良い牧場だった。お世話になりました。ありがとうございました。

もうすぐセリにかけられる若駒たち。ずっとくっついて来る。

とにかく人懐っこい。

功労馬たちも、若駒に負けじと寄ってきてくれる。

まずは手の匂いをクンクンして。

手をはみはみ(甘噛み)。

服の匂いも気になる。

そしてパーカーをはみはみ。

2人でクンクン。

一応撫でさせてくれるが、それよりもクンクン、はみはみが好き。

  道の駅みついしに立ち寄り、少し休憩。梅のソフトクリームを食べる。北海道とは何の関係もない味のチョイス。

  車の中で、1時間ほどお昼寝。窓を開けて、涼しい風を感じながら眠る。

  夕食は、日高のオーベルジュ「ナチュラルリゾート・ハイジア」へ。自然の中にあるオーベルジュで、牧場地帯、田園地帯を通り、最後は山道を抜けて到着する。敷地内の放牧地で馬を2頭飼い、周囲の山も所有していて料理で出す野菜の大半は自家栽培しているという、高級店。泊まると高いので、今回はビジターとしてディナーだけを予約した。

メニューは1コースのみで、地元産の食材を使用した料理が並ぶ。調理方法も凝ったものばかりで面白く、それでいて素材の味がしっかりとよくわかるものばかり。これまで食べたことがある食材でも、「え?これってこんな味すんの?」という発見があったりもする。サーブして下さった支配人さんの話や説明も興味深く、楽しみながら時間を過ごすことが出来た。敷居が高いかなと思っていたのだが、思い切って背伸びをしてみて良かった。

ツブ貝のアヒージョ。火が出ているのは演出。

自家焼きのハーブフォカッチャ。

左側の自家製カッテージチーズにつけて食べると、驚くほど美味しい。なんだこのチーズは。

日高産真ダコのカルパッチョとチーズの盛り合わせ。蛸が絶品。ソースも自家製野菜で作られている。

女神・ハイジアの愛したスープ。濃厚でとろとろとしたヴィシソワーズに、野菜のソースが掛けられている。ソースの混ぜ具合に応じて味が変わる。

日高沖本マスのポワレ ヴァンブランソース(白ワインソース)。マスのほくほくとした食感とソースの口当たりがよく合う。

えりも産短角牛のロティと日高産蝦夷鹿肉のロティ。これが一番の衝撃だった。短角牛ももちろんだが、鹿肉がこんなに美味しいとは。鹿肉に対する認識がひっくり返った。

日高昆布のロールケーキ。ぷちぷちとした食感の昆布が若干の塩味を加えていて、甘さが引き立つ。

  今日の宿泊先は、静内駅近くのホテルローレル。正式には、「さくらの湯 ホテルローレル」というらしい。なるほど、サクラローレルにかけているのか。チェックインしてすぐに温泉に浸かり、疲れを取る。やはり、泊まるなら温泉がついている宿がいい。


6月23日(木)

2016年07月07日 22時54分27秒 | 2016年

  5時半起床。6時半前に家を出て、羽田空港へ。5月の休日出勤の振替休日を利用して、今日から2泊3日で北海道へ馬旅行に行く。

  羽田07時40分発のJAL573便に乗り、帯広へ。東京も帯広も地上はあいにくの天候だが、当然ながら雲の上は快晴。真っ白な雲の上を走っているような感覚になり、目が釘付けになる。

  定刻通り9時過ぎに帯広に到着。着いた瞬間、気温の低さに驚かされる。14℃なのだ。東京と10℃以上も違う。夕方から夜になると、更に下がって1桁になるから驚きだ。パーカーを持ってきて本当に良かった。

  帯広空港でレンタカーを借り、さっそく日高地方へ向かう。所要時間は約3時間。しとしとと雨が降っている。

  昼過ぎに浦河の街に到着し、まずは昼食。国道沿いに見つけた料理屋「松山」に入る。注文は、本日の焼魚で鰊を選んだ。「これから焼くので20分くらい掛かります」とのことで、社長さんから浦河名物だというカレイの話を伺いながら待つ。カレイにこんなにたくさんの種類があるとは知らなかった。そして、出てきた鰊は、とにかく大きかった。鰊蕎麦などで出てくる甘露煮のイメージが強かったので、驚かされた。味も、ホクホクした身がたくさん詰まっていて、美味しい。鰊の塩焼きがこんなに美味しいとは知らなかった。

  新冠まで移動して、ビッグレッドファームへ。馬旅行で、この場所は外せない。以前とは少し見学のシステムが変わっていて、来場者用のネックホルダーが用意されていたり、歩き回れるスペースが制限されていたりした。これは他の場所で聞いたのだが、今年ゴールドシップが入厩したことで来場者が一気に増え、マナー違反も目立つようになってしまったため、見学の自由度が制限されるようになったらしい。ゴールドシップの尻尾の毛やたてがみを抜いていくような人もいたそうだ。自由に見学させてくれている牧場側の好意を無下にする人がいるなんて…。牧場にとって種牡馬がどれほど大切なものなのかをわかっていないのだろうか。

  馬たちはみんな放牧地に出ていた。種牡馬たちにとっては、種付けの時期も終盤に差し掛かり、今年の仕事もそろそろ終わりという頃だろうか。

ゴールドシップ。現役時代はボス気質と気性の荒さがあるイメージだったが、めちゃくちゃ優しい目をしている。

ロージズインメイ。ひたすら草を食んでいる。

アイルハヴアナザー。米国2冠馬で、今年初年度産駒がデビューした。既に新馬を勝ち上がった馬もいる。

ジョーカプチーノ。こちらも今年初年度産駒がデビュー。

タイムパラドックス。個人的に名前も見た目(小さい)も好き。

アグネスデジタル。3年目にして初めて近くに寄ってきてくれた。ありがとう。

コスモバルク。今年も元気そう。むしろ、年を重ねるごとに毛艶が良くなっている気がする。

ロサード。休憩中。随分イケメンになったね。

  残念なことに、ハイアーゲームとスウィフトカレントが別の牧場に移籍してしまっていた。特に、ハイアーゲームは私のお気に入りの馬だったので、残念。移籍先は見学を受け入れていない牧場なので、もう会うことは出来ない。どうか、大切にされてずっと元気で長生きしてね。

  私の大好きなスノードラゴンを生産したイワミ牧場の前を通ったら、母馬ととねっこが仲良く草を食んでいた。生まれたばかりの仔馬って、こんなに小さいのか。2年後に競走馬としてターフを駆け巡ると想像すると、不思議な感じがする。

  優駿メモリアルパークで少し休憩。マヤノトップガンが相変わらず元気に歩きまわっている。でも、ちょっと痩せたかな。

  名馬のお墓が並んでいる場所で、パシフィカスとナリタブライアンのお墓が隣同士に置かれている。親子が隣同士で埋葬されるというのは人間の世界では当たり前だが、馬の世界では珍しい。

  道の駅サラブレッドロード新冠に立ち寄り、お土産を購入して郵送する。未だに、馬旅行で買うお土産の正解が何なのかわからない。これといった定番品がないので、毎回迷うことになる。ちなみに、今回は「馬糞饅頭」を買ってみた。かぼちゃ風味のお饅頭らしい。これが正解でないのはわかっているが、旅行の趣旨との整合性はある。

  静内にある料理屋「あま屋」で夕食。前回この近くに宿泊した際に来ようと思っていたお店で、その時はたまたま定休日だった。人気のあるお店らしいので、開店と同時に入店。一番のお目当ては、高級魚の地元産松川(カレイ)を始めとしたお刺身である。カレイというと煮物のイメージがあるが、この地域ではお刺身で食べることも出来る。味は見た目通りあっさりして、舌触りはなめらか。口に入れると、脂が広がっていく。これは美味しい。また、北寄貝が驚くほどミルキーで、思わず唸るほど美味しかった。

お通しは、日高昆布のお出汁。すっきりした味わい。昆布だけでこの味が出るとは。

昆布パン。もちもちした食感。海藻嫌いの私でもおいしく食べられる。

北寄貝(日高産)、松川カレイ(静内産)、ツブ貝(静内産)のお刺身。

北海道産黒毛和牛のランプステーキ。脂っこさは抑えめでもかなり柔らかく、濃い目のソースとよく合う。でも、半分くらいは塩だけで食べてみたかった。

金時豆のかたらーな。クリームブリュレ的なデザートで、甘さが控えめ。大きめの金時豆が良いアクセントになっている。

とろ生ミルク豆腐。柚子風味のシロップをかけて頂く。このシロップが美味しくて、最後まで飲んでしまった。

  宿泊先は、「新冠温泉 レ・コードの湯 ホテルヒルズ」。以前日帰り入浴をして泉質が素晴らしかったので、今回はゆっくり泊まることにした。相変わらず温泉が気持ちよくて、肌はスベスベ、体も軽くなってゆっくりと眠ることが出来た。