4時起床。今日は、札幌競馬場へ行く。今年度の仲間内のPOG(Paper Owner Game)で私が指名した2頭が同じ新馬戦に出走するので、それを生で観ることが目的である。前回の日記が福島競馬場で今回が札幌競馬場だが、一応他の日はきちんと育休男子らしく育児をしています、と言い訳しておく。
横浜線の始発を待っていると時間ギリギリになってしまうので、家からタクシーで京急線の仲木戸駅へ出て羽田空港へ向かい、6時30分発のJAL501便に乗って新千歳空港へ。関東地方へは大型の台風がおかしな経路で接近しているが、なんとか飛行機は飛んでくれた。
空港の売店で空弁「鮭のルイベ漬盛り海鮮弁当」を買い、快速エアポート号の指定席をとって、移動中の車内で朝食にする。なかなか塩味濃いめだが、ご飯は進む。ただ、これはルイベなのだろうか。ルイベを謳うからには、もう少し冷凍っぽさが欲しかったのだが。
札幌競馬場の最寄駅である桑園駅(札幌駅の隣駅)に到着し、駅前からバスに乗って札幌競馬場へ。今年度の札幌開催初日なので、結構な人の数である。
札幌競馬場は、これぞ北海道の競馬場といった感じの広々とした競馬場である。この時期でも涼しく、日差しの温かさと風の爽快さが気持ち良く感じられる。もし私が馬で夏場にレースに出走しなければならないとしたら、間違いなく札幌がいい。中京や小倉はもってのほかだし、新潟や福島だって何だかんだ言って暑い。それに比べて札幌(おそらく函館も)は、桁違いに過ごしやすい。競馬場の話に戻ると、コース付近の観戦場所の大半が芝生になっていて、家族連れやカップルたちがシートを敷いてピクニック感覚で過ごしているし、2階のテラスになっている観戦スペースもとても開放的で、とにかく居心地の良い場所が多い競馬場だなという印象を持った。私が今まで訪れた競馬場の中で、居心地の良さという点ではここが一番ではないだろうか。
本日初の馬券購入は第2レース。前回の仲間内のPOGで指名していたダノンチェリーの応援単勝馬券を購入する。結果は5着。デビュー当初の感じに比べれば随分と良い走りが出来るようになったものの、この時期の3歳未勝利戦は競走馬としての存在意義を賭けた勝負になるので、そう簡単には勝てない。勝てなくても良血の牝馬だから繁殖に上がれて命は守られるのだろうが、それでも1勝しておくことは重要である。当然ながら、競走成績の良し悪しは繁殖牝馬としての価値に大きく影響するし、その価値によって扱いも大きく変わってくるのだから。
競馬場グルメとして、もつ煮とソフトクリームを頂く。もつ煮は一般的なものと味の感じがだいぶ違って(どう違うのかはうまく説明できない)、個人的には少し苦手な感じ。ソフトクリームは、北海道だけあってさすがに美味しく感じられる。気分的な問題なのか、やっぱり素材が良いのかは定かではない。
ターフィーショップ(グッズ売場)で、娘にスタイ(食事用前掛け)を購入。おがわじゅりさんという、馬のイラストを数多く手掛けていらっしゃる方の作品で、私は彼女のほのぼのとした馬の絵が大好きなのだ。
昼前になると人が増えて、場内もどんどん活気に満ちて来る。あんまり混むのはつらいが、競馬場はこれくらい人がいたほうがいい。
私にとってのメインレースは、昼休み明けの第5レース、メイクデビュー札幌(新馬戦・芝1,500m)である。今年度の仲間内のPOG(Paper Owner Game)で私が指名した2頭、アルママ(2歳牡馬、父・オルフェーブル、母・ホエールキャプチャ、母父・クロフネ)とレーヴドカナロア(2歳牝馬、父・ロードカナロア、母・レーヴドスカー、母父・Highest Honor)のデビュー戦だ。同じレースに2頭が出るということは、少なくともどちらか1頭は負けるということなので、あまり嬉しいことではない。ただ、観戦する上では、一度に2頭を見られるというのはありがたい。
パドックで、2頭の姿を眺める。彼らにとってはパドックも初体験だが、たくさんの人に驚いて落ち着きをなくす馬が多い一方で、とても落ち着いて周回していた。もちろんどちらもまだ身体は子どもで競走馬としての成長はこれからといった感じだが、贔屓目を抜きにしても他の馬たちとは少しレベルが違う感じがする。特に、アルママには父と母の面影が強く感じられ、私の隣で一眼レフカメラを構えていた見ず知らずのお姉さんと、「馬体は小さいけど雰囲気あるわね」「そうですね、(父の父である)ステイゴールドがしっかり出てる感じですね」「そうそう、毛色はお母さんそっくりだし、良いところが合わさってる感じ」という会話をしながら、その姿に見入っていた。
私の予想では、アルママが勝つだろうと思っていた。レーヴドカナロアはまだ少し身体が緩すぎるように感じられた。しかし、結果はレーヴドカナロアが1着でアルママが2着。最後の直線で先に抜け出したアルママを後ろから来たレーヴドカナロアが豪快に差し切った。あの馬体で勝ってしまうとは。レーヴドスカーの子どもはやっぱりよく走る。ただ、身体が弱い血統なので、何とか無事に来春の大一番までいってくれればと思う。一方のアルママは、2着に来たとはいえ終始騎手が促していて、かなりズブい(反応が鈍い)ように見えた。彼にとっては少し距離が短かったのかもしれない。まあ、新馬戦は幼稚園の駆けっこのようなものだと言われているから、この1戦で何かを判断することは全く出来ないのだが。何はともあれ、指名した馬2頭のワンツーフィニッシュを見られたのは良かった。ちなみに、馬券は3連単が当たってもトリガミだった。3着に人気薄が来てくれればなー。
JALのホームページで確認したところ、台風の影響で、新千歳から羽田へ向かう飛行機は夕方までの全便で欠航が決まった。私が乗る予定の便(20時発の羽田行き)が運行できるかどうかは未定となっており、振替や払い戻しの受付をしている。明日以降の便の空き状況を見ると、既に多くの人が振替済みのようで、明日の便は全便満席、明後日の便も夕方18時の便がわずかに空いているだけという状況だ。更に、札幌周辺の宿にも空きはない。さて、どうするか。一か八かで空港へ行って飛行機が飛ぶことに賭けるか、安全策を取るか。競馬場から札幌駅へ戻りながら色々と考えた結果、妻に連絡して許可をもらい、明後日の便に振替をした。空港へ行ったはいいものの飛びませんでした、近くに泊まるところもありません、というのが一番怖かったのだ。
結果的に明後日まで北海道にいることになったし、札幌周辺に泊まれるとこはないので、レンタカーを借りて日高地方へ行くことにした。日帰り競馬の予定が、2泊3日の馬三昧旅行に早変わりである。妻に聞かれると怒られるだろうが、正直なところラッキーだ。
札幌駅地下街にある「MISUZU CAFE」で昼食。江別にあるトンデンファームという牧場とのコラボレーションメニューだという「ソーセージカレー」を頂く。ジューシーで旨みの引き締まった味がするソーセージはもちろん、失礼ながら想像に反してカレーそのものがとても美味しくて驚かされた。適当に見つけて入ったお店だったが、当たりである。
電車で新札幌へ移動する。レンタカーの予約時間までに少し余裕があったので、駅ビルのショッピングセンターに入っているカフェ「宮越屋珈琲」で休憩。ティラミスモンブランなるものを食べる。ティラミスというよりもホワイトチョコレートの味に近いモンブランで、しっかり甘いがすっきりした味わいだ。これは美味しい。また、店員さんがとても気さくでお店の雰囲気がとても良かったのも印象的だった。どうせなら、もっとゆっくり過ごしたかった。
16時過ぎにレンタカーを借りて、日高方面を目指す。日高自動車道という有料道路を通って、以前は日高門別というインターチェンジが終点だったのだが、現在は日高厚賀というインターチェンジまで延びていて、日高地方へのアクセスが良くなっていた。いずれはこれが静内まで通るらしい。そうなったら、空港から牧場地域まであっという間に行けるようになるだろう。
18時前に今日の宿(牧場見学の際には毎回のようにお世話になっているホテルである)、静内エクリプスホテルに到着。ホテルに着くと、ロビー前にたくさんの出店や人が集まっていた。聞いたところ、今日はちょうど地域のお祭り「新ひだか夏祭り」が開催されているそうだ。
部屋の窓から大きな虹が見えた。とっても綺麗。
せっかくなので、お祭りを見に外へ出る。街を歩くと至る所に宴会場があり、歩行者天国になった道にもたくさんの人が歩いている。会場も道1本ではなく、中心商店街から駅のほうまで結構な範囲に広がっている。更に、周辺の飲食店などのお店が店前に臨時売場を出したりしていて、以前歩いた際には場末感たっぷりだった道すらも活気に満ちている。これまでに何度か訪れているが、「この街、こんなに人いたんだ」と驚かされた。19時からは阿波踊りパレードが始まり、自衛隊静内駐屯地の皆さんに始まり、保育園・幼稚園児、商工会、福祉施設など、たくさんの団体が踊りを披露していた。特に自衛隊の皆さんの踊りは圧巻で、統一感と迫力がすごかった。また、私も父親になったからだろうか、以前ならそれほど興味を持たなかったであろう子どもたちの踊りもとても微笑ましく感じられ、自然と手拍子で応援している自分がいた。
私は仕事柄、地域の活性化について考えることがある。そういった面からも、今日体験したお祭りには考えさせられるものがあった。比較的都会な(もしくは都会に近い)神奈川とこの場所では環境が全く違うし、単純な規模でいえばもっと大規模で人の集まるお祭りやイベントもたくさん知っているのだが、まだうまく整理して言葉にすることが出来ないものの、今日感じたことから学べることや発見があるような気がする。何となく、「地域の集団凝集性」がキーワードになるような、ならないような…。うーん、現時点ではやはり考えがまとまらない。
ホテルへ戻り、レストランで夕食。つぶ貝の刺身、日高産ししゃもの天麩羅、エゾシカの七輪焼きを頂く。どれも地元の食材を使った料理だ。サラブレッドだけでなく、この地域には食においても地域資源が数多く存在するのである。私も、これらの美味しい名産品たちがなかったら、おそらくここまで毎年のように頻繁にこの場所を訪れてはいないだろうと思う。
つぶ貝刺身。コリコリとした食感が癖になる。この地域へ来ると、必ず1度は食べている気がする。
今回初めて食べた日高産ししゃもの天麩羅。これまで食べたししゃもとは全く違って、身がしっかり柔らかい。
エゾシカ肉はこれぞ赤身という感じ。また、レバーのような風味もある。独特の臭みも少しあるが、私はそれがたまらない。
満腹で部屋へ戻る。部屋には、馬産地の情報誌「うまレター」が置いてある。これを読むのも楽しみのひとつである。シャワーを浴びて歯磨きを終え、いつでも寝られる状態になってから、ベッドに寝転がってこれを読む。そして、いつの間にか寝てしまう、というのが幸せなのだ。
ちなみに、今日私が乗るはずだった飛行機は、45分の遅延があったものの、結局きちんと飛んだらしい。まあ、そういうこともあるでしょ。