社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

3月5日(土)

2016年03月14日 22時24分57秒 | 2016年

  6時半起床。今日は、競馬部のメンバーで、中山競馬場へ行く。7時過ぎに家を出て、関内へ。駅前で集合し、支援先のYさんと先輩の車に分乗して中山競馬場へ向かう。

  中山競馬場には、9時過ぎに到着。今回は、4階のA指定席を予約した。ゴールから150メートルほど手前の良い場所である。

レースに先立ち、部長から唐揚げの差入れ。私も、昨日支援先で購入したマドレーヌを配った。

今日は、藤田菜七子騎手のJRAデビュー戦もある。

  その藤田騎手のデビュー戦は、第2レース。3歳の未勝利戦、ダート1200メートルのレースで、所属先の根本厩舎のネイチャーポイント号に騎乗する。パドックには、藤田騎手の姿を一目見ようと、たくさんの人が押し寄せていた。

  このレースで、藤田騎手は観客を大いに沸かせた。ネイチャーポイントは、デビュー以来9着、5着、10着と、正直なところあまり期待の出来る馬ではなかった。しかし、スタートを上手く決めて好位を取ると、周囲のハナ争いが激しくなると判断するやすぐにしっかりと控える。その後はしっかりと足を溜め、最後の直線を迎えた。そこでは、ダントツ1番人気のペニーウェディングが余裕で先頭を走っていた。それを見て私が「ああ、これは固い決着だなー」と思っていたら、徐々に会場がどよめき始める。そこでふと後続に目をやったら、藤田騎手とネイチャーポイントが猛然と追い上げて来ていた。会場は、もう大盛り上がり。全員が藤田騎手に声援を送り、地鳴りが起こる。ネイチャーポイントの追い上げと会場の雰囲気に、私は背筋がゾクゾクした。そして、ネイチャーポイントは1頭だけ怒涛の追い上げを見せ、惜しくも1着馬(ペニーウェディング)を差すことは出来なかったものの、見事に2着で入線した。この結果に、会場は拍手喝采。もちろん、私たちも大きな拍手を送った。これは、本当にすごいことである。先日の川崎でもそうだったが、決して馬質に恵まれているわけではないのに、きちんと掲示板や馬券圏内に持ってくるのだから、大したものだ。ちなみに、私は応援馬券と1点買いした馬連を当てた。藤田騎手、ありがとう。でも、この馬券は払戻しせず、記念に保管しておきます。

  昼食は、ピザ。午前中は、藤田騎手の馬券以外は全く当たらなかった。

  午後も、メインレースまで全く当たらず。

  どうせ当たらないので(というわけではないのだが)、第10レースからパドックに陣取り、メインの第11レース、オーシャンステークス(G3、芝1200メートル)に出走するスノードラゴンの登場を待つ。スノードラゴンは、2014年10月5日の新潟競馬場で行われたスプリンターズステークス(G1、芝1200メートル)で1着に入り、私に過去最高の配当をもたらしてくれた馬である。私が彼を応援し始めたのはそれより半年ほど前、2014年3月30日に中京競馬場で行われた高松宮記念(G1、芝1200メートル)の時だった。当時は雨で馬場が悪かったので、過去にダート戦で結果を残している彼を穴馬として馬券を買った。そして、彼は見事に2着に入った。その時から、彼を応援し続けることにした。だから、スプリンターズステークスの時も、単勝13番人気だったことなど全く気にせず、単勝馬券を買うことが出来た。そしてそのレースで私は、お金と共に、好きな馬を信じて応援し続けることで得られる大きな感動をプレゼントしてもらった。

  しかし、その後香港スプリントに出走した彼は、脚部不安により長期休養に入ってしまう。何度か復帰に向けた動きがあったものの、結局は約1年3ヶ月もレースから遠ざかることとなった。そして今日、8歳になった彼が、ターフに戻って来るのである。パドックには、私の他にも彼の帰りを待ち望んでいた人がたくさんいた。

  パドックで待つこと約50分。ついにパドックに入ってきた彼は、ゆったりと落ち着いて歩いていて、何なら眠そうなくらいだったしかし、それは以前と同じ。彼は前から、パドックでは競走馬とは思えないほどおとなしかった。そういう意味では、休養前と変わらない姿である。唯一変わったとすれば、年を取って白くなったことくらいだろう。そして、その姿はとにかく愛らしい。

  縁起を担いで、一昨年のスプリンターズステークスと全く同じ馬券を購入。これほど長期の休み明けで、しかも重賞レースとなれば、いきなり馬券圏内に入ってくることはまずない。しかし、そんなことは関係ない。

  本馬場入場後も、相変わらずおとなしいスノードラゴン。ゲートに入った後も、いつものように左右の馬に目をやって、ゲートが開いたらきちんとスタートを切った。その後は中段の後ろに位置取り、最後の直線で馬群の外に出ると、鞍上の鞭に反応して脚をしっかりと使い、なんと3着に食い込んだ。最後の直線に入ってから、私は彼の姿をずっと追いながら声を上げて応援していたが、ゴールした時は正直「うそ!?」と思った。何度も繰り返すように長期の休み明けだし、馬体にもまだまだ緩さがあったので、まさかここまで走るとは思っていなかったのである。スノードラゴンも、大野騎手も、御見それしました。これで、次の高松宮記念に大きな期待を持つことが出来る。この一叩きの効果で、次はもっと素晴らしい走りを見せてくれるだろう。

  最終の12レースまでしっかりと観戦してから、帰途につく。素晴らしいレースを見ることが出来たし、馬券的にも良い思いをさせてもらったので、大満足である。

  関内へ戻ってみんなでカレー屋で反省会をしてから、電車で実家へ戻る。その後、友人と銭湯からのファミレスコース。久しぶりに会ったので、いつも以上に話が弾んだ。


3月3日(木)

2016年03月03日 22時20分09秒 | 2016年

  7時起床。いつも通り会社へ出勤する。

  午前中に出張へ出て、そのまま午後から時間休暇を取り、川崎競馬場へ行く。今日は、今年騎手試験に合格し、3月1日付で騎手免許を取得した新人女性騎手、藤田菜七子騎手がデビューする。通常、JRAの新人騎手は3月の最初の週末にデビューするが、JRAでは16年振りとなる女性騎手の誕生ということもあって、所属厩舎の根本康広調教師が「3月3日のひなまつりにデビューさせてあげたい」と考えた。その考えに、多くの馬主や他の調教師も賛同・協力し、今日いきなり6つのレースに騎乗することになった。これは、観に行かないわけにはいかない。

  川崎競馬場に着いたのが14時前。私のような競馬ファンがたくさんいるようで、川崎競馬場とは思えないような混雑っぷり。休日のG1レースならまだしも、今日は大きなレースがひとつもない平日の昼間だ。公式の発表によると、7,214人の来場があったらしい。確か、平均の入場者数が5,000人弱だし、これには人が入りやすい重賞やナイターの入場者数がかなり影響していることを考えれば、間違いなく「菜七子フィーバー」の成果だろう。

  さっそく、この後彼女が騎乗する3つのレースの馬券を買う。彼女の名前にちなんで、単勝を700円ずつ購入した。

  私が見る最初の彼女のレースは、第8レースである。前3走で全て3着に入っているポッドジョイ(牡4歳、父マーベラスサンデー、母父ジエイドロバリー)に騎乗。

川崎競馬場のパドックがこんなに混むなんて、嘘みたい。

既に横断幕が用意されている。

しかし、パドックでの周回はせず、すぐに本馬場入場。

本馬場のほうも大混雑。

  結果は、最後の直線で大外から追い込んでの5着入賞。入賞ということで、それほど悪い結果ではないのだが、スタートが悪くて後方待機の大外一気勝負となってしまったのが残念だった。ただ、最後まできちんと追って1頭だけ別格の末脚を繰り出させていたことは良かったと思う。

  続いては、第10レース。所属している根本厩舎のレガリアシチー(牡6歳、父ロージズインメイ、母父シルバーフォーク)に騎乗。そもそもの馬の実力的に、このレースは難しい。

報道陣の数もすごい。60社以上が訪れたそうだ。

今回もパドックの周回はせず、馬場へ先入れ。

  予想通り、結果はブービーの13着。騎乗云々の前に、そもそも馬の力的にどうしようもなかった。ただ、こういう馬を馬券に絡ませられると一目置かれるようになると思う。

  アイス最中を食べながら、ちょっと休憩。今週は明後日も競馬観戦の予定が入っているので、これ以上お財布を軽くしないように、今日は彼女が出るレースしか観ない(観ると馬券を買ってしまう)。

  最後のレースは、最終の12レース。前3走が全て5着のポッドライジング(牡4歳、父ヴァーミリアン、母父ステイゴールド)に騎乗する。

  私が競馬場に着いてから、初めてパドックで彼女の姿を観ることが出来た。

6レース目ということで慣れてきたのだろうか。表情に余裕が出てきたようにも見える。

これだけの報道陣が川崎競馬場に来ることは、これからも、この先も、ないだろう。

  私が観た3つのレースの中で、このレースが一番素晴らしかった。好スタートを決めて2番手につけ、3コーナーで一度は両側から後続馬に捲られて追い抜かれたが、そこから捲りかえして最後の直線で先頭に立った。最後は2頭に抜かれて3着となったが、この積極的な騎乗に会場は大いに盛り上がった。特に、好位を確保した最初の直線と、捲り反して先頭に立った最後の直線では「うぉー!」というおじさまたちの歓声が起こり、私も背筋がゾクゾクした。にわかファンも常連も関係なく、スタンド全体が彼女を応援していた。結果的には勝てなかったが、多くの人が拍手を送り、私のとなりの常連らしきおじさんは、「この子、ちゃんと見せ場作るね。良い騎手になるぞ。」と呟いていた。私も、完全に同意である。

  最後に素晴らしいレースを観ることが出来て、大満足で帰途につく。私が観られなかった前半の3レースも含めると、彼女のデビュー戦は6戦して2着1回、3着1回、4着1回、5着1回と、4回入賞し2回馬券に絡んだ。これは、十分に素晴らしい成績である。もちろん、初勝利を挙げることが出来なかったのは悔しいだろうし、地方と中央(JRA)では環境的に大きく異なるので、今日の成績がそのまま今週末からの中央のレースにつながるかどうかはわからない。見ている側としては、大外に出す(出さざるをえない?)ことが多くて馬群を割るような騎乗が出来るのかどうか不安もあるし、新人なので当然ながらまだまだ技術的な未熟さもあるのだろう。それに、完全にと言っても過言ではないくらい男社会である競馬界の中、しかも体力や筋力(パワー)が求められる騎手という仕事で女性が戦い続けることの困難さも計り知れない。しかし、今日という日は、藤田菜七子という1人の騎手にとって、とてつもなく大きな1日になったに違いない。これからたくさんのことを学び、吸収していけば、きっと1人前の騎手として活躍できるだろうし、そうなることを願っている。そして、周囲の人には、今のフィーバー状態が終わった後も、引き続き彼女の成長を見守り、支えていって欲しいと思う。

【藤田菜七子騎手 2016年3月3日 デビュー日の全成績】

第1レース  コンバットダイヤ(牝3、浦和・工藤伸輔厩舎) 8着
第4レース  シンフォニーヒルズ(牝9、川崎・河津裕昭厩舎) 4着
第5レース  ミスターナインワン(牡7、浦和・牛房栄吉厩舎) 2着
第8レース  ポッドジョイ(牡4、川崎・八木正喜厩舎) 5着
第10レース  レガリアシチー(牡6、美浦・根本康広厩舎) 13着
第12レース  ポッドライジング(牡4、川崎・八木正喜厩舎) 3着

  19時前に帰宅。今日は良い1日だった。直前まで迷ったが、やっぱり競馬場に行って良かった。そして、「藤田菜七子を観に行くので休ませてください!」という私のお願いを聞き入れてくれた、競馬部のメンバーでもある上司に感謝である。