社会を見て、聞いて、感じる。

人生そのものがフィールドワーク。

9月7日(木)

2017年09月21日 23時39分19秒 | 2017年

  5時起床。今日は、日帰りでチェンライへ行く。バンコクからチェンライまでの距離は約700キロ。日本でいえば、東京・青森間の距離を日帰りすることになる。しかも、地図を見ればわかることだが、チェンライはルアンパバーンと近い。旅慣れている人からすれば、何という非効率な旅をしているんだと思われるだろう。その通りである。言い訳をさせてもらうとすれば、チェンライに行こうと決めたのは後からだったので、その時にはもうその他の行程のチケットを購入済みで、変更や払い戻しが出来なかったのだ。

  5時半にホテルを出て、タクシーでドンムアン空港へ。ぼったくられるのが嫌だったので、ホテルのボーイさんにチップを渡し、タクシーの運転手さんにメーターを使うように指示してもらった。が、しかし。いざ空港に着いたところで、運転手さんが「高速に乗ったから、高速代を入れると500バーツだ」と言ってくる。メーターは230バーツだったが、運転手さんがすぐに消してしまった。高速代がそんなに高いわけがない。そうか、高速代はその都度自分で払わなければならなかった。揉めるのもありだが、今回は飛行機に遅れるわけにはいかなかったので、これも勉強代だと思うことにした。これだから、バンコクのタクシーは嫌いだ。そう考えると、日本のタクシーは外国人旅行者でも安心して乗れるのだろうな、と思う。ぼったくりや犯罪などの心配をせず、安心してタクシーに乗れるというのは、インバウンド観光に力を入れる国にとっては結構重要なことだと思う。

  気を取り直して空港に入り、搭乗口近くの売店で珈琲と肉まん的なものを購入。中の具が赤く、何かよくわからない香草の香りが充満している。美味しいともまずいとも言えない、不思議な味である。

  ドンムアン空港7時20分発のエアアジアFD3203便に乗り、チェンライへ。所要時間は約1時間20分。機内はほぼ満席に近かった。

  空港からタクシーに乗る。今度はきちんとカウンターで定額制のタクシーに申し込んだので安心だった。

  まずは、「ワット・ロン・スア・テン」へ。現地では、「Blue temple」でも通じる。私がチェンライに行こうと思ったきっかけになった、一番の目的地である。呼ばれている名の通りここは青を基調としたお寺で、お寺というよりも芸術作品に近い。中に入った瞬間の衝撃はなかなかのものである。これほど鮮やかな青色に囲まれると、普通のお寺とはまた違う意味で神秘的なものを感じる。また、柱や扉、絵など、細部にもかなりのこだわりが見られ、素直に「これはすごい!」と思えた。このお寺に仏教的な価値がどれほどあるのかはわからないが、ここに来ただけでも、わざわざチェンライまで来た甲斐があったと思う。

  このお寺にはタクシーやトゥクトゥクが待機していなかったので、大通りまで出て探し、たまたま見つけた小さなトゥクトゥクに乗る。このおじさんのトゥクトゥクが来なかったらと思うと、ちょっと怖い。次の訪問地でも帰りの交通手段を見つけるのに困ったから、おそらく多くの観光客はタクシーやトゥクトゥクをチャーターして移動しているのだと思う。私のような初心者は、本当はそうしたほうがいい。

  続いての目的地、「ワット・ローン・クン」に到着。別名、「White temple」。恐らく、チェンライで今一番熱いスポットなのではないだろうか。他のお寺と比べて圧倒的に人が多く、しかもタイ国内からの来訪者が多かった。

  着いたはいいものの、結構雨が降っているのと、たまたま近くの食堂でカオマンガイを見つけたので、先に昼食を頂くことにする。「カオマンガイありますか?」「あるよ」「よっしゃーーー!」という会話を経て席につく。出て来たカオマンガイは、鶏肉の量こそ控えめだが柔らかくて美味しいし、ご飯にもちきんと鶏出汁の味が染み込んでいて、私が期待していたそのものだった。スープも、鶏ベースの美味しいものだ。また、ちょっぴり甘辛いタレをつけて食べるのも、パンチがあって美味しい。ちゃんとカオマンガイが食べられて、本当に良かった。

  雨も弱まったので、「ワット・ローン・クン」に入る。何より、最初に見た時のインパクトがすごい。単に真っ白なお寺、というレベルではなく、その白色がとても煌びやかで、金色以上に輝いて見える。しかも、装飾もかなり緻密で、細部に目を凝らせば凝らすほど驚きがある。また、お寺に通じる橋の手前には地獄を模したような光景が広がっていて、それにも目を奪われた。なんだこの世界観は。私の想像の遥かに先を行っている。ちなみに、所々にこのお寺を制作しているチャルーンチャイ・コーシピパットさんの写真パネルが置かれているのだが、失礼ながらこんなお寺をデザインしたとは思えないような普通のおじさんだった。人は見かけによらないものだ。そういえば、先ほどの「ワット・ロン・スア・テン」(青いお寺)は、この方のお弟子さんが制作されているそうだ。確かに、色は全く異なるが、根本的な発想には近いものがあるように感じる。

この方が制作者。失礼ながら、本当か?と疑いたくなる。ごめんなさい。

  再びぶち当たった交通手段問題を、休憩中のソンテオ(乗り合いバス)をチャーターさせてもらうという方法で何とか乗り切り、チェンライの街の中心部へ移動する。あまりスピードが出ないので、後ろから来た車にガンガン抜かれる。運転手さんはわからないだろうが、こちらは後ろが丸々空いているところに座っているので、結構怖い。でもまあ、乗せてくれただけでありがたかったのだが。

  チェンライで最も名高いお寺、「ワット・プラケオ」へ。エメラルドの仏様が納められていることでも有名なお寺である。境内に入ると多くのお坊さんがいて、独特の空気感を醸し出している。参拝者の雰囲気も、どことなく神妙だ。このお寺がタイの人々にとって特別なものであるということが、何となく伝わってくる。ただ、個人的には、エメラルドの仏像には少し違和感があった。慣れの問題かもしれないが、やっぱり木の仏像のほうが温かみというか、何かが宿っているような気がする。

お供え物やお花も、日本では見られない珍しい形をしている。

  歩いて、「ワット・プラ・シン」へ。ここはチェンライにある同名のお寺と兄弟寺だそうで、確かに向こうとお堂の形が同じような気がする。お寺の敷地が結構広く、見所も多い。私の想像を超えるような豪華な装飾がなされているところがあったりして、驚きの連続だ。また、私とほぼ同じルートで回っていたタイ人のお姉さんがとても熱心にお祈りをしていて、私もつられるようにいつも以上に丁寧にお祈りをした。タイの人のお祈りの仕方は、自然体だがとても丁寧で、仏様への敬意がにじみ出ている。

野良犬。それにしては、お行儀の良いワンちゃんだ。なぜか、私の後ろをちょこちょこと付いてきた。

  チェンライでの目的地は全て周り終えたので、ここからは気軽にお散歩。街の中心に市場があって、その周囲には商店が立ち並んでいる。日本でいえば、商店街に該当するのだろうか。また、確かチェンマイがそうだったように記憶しているが、そこに近いこのチェンライも金が有名なようで、貴金属のお店が目立った。お寺の装飾を見れば、タイの人たちにとって金色という色に特別な意味があるというのは想像に難くない。

  中心部にある市場に入る。入った瞬間に目の前で生きた蛙が売られていたことに始まり、虫だったり、何かわからない魚介類だったり、なかなかディープな光景が広がっていた。一応、本当に気持ちの悪いものの写真はここには載せないが、日本に帰ってから見ると「うわっ」と目を背けたくなるようなものも、現地で見ると思わず顔を近づけて見てしまうんだから、不思議なものだ。

  そのまま歩いて、時計塔を見に行く。大きな交差点のど真ん中に金色の時計塔が建っている。何だこの世界観は。ちなみに、この時計塔は先ほどの白いお寺を建てたあのおじさんの設計だそうだ。ああ、それならわかるような気もする。

  時計塔の近くにあるお洒落なカフェに入り、休憩。スイカのスムージーを飲む。見た目も色鮮やかで綺麗だし、何より味がスイカそのものの甘さで溢れていて、めちゃくちゃ美味しかった。私はスイカのスムージーが好きで、東南アジアを旅した際にはメニューに見つける度に飲んでいるのだが、これまで飲んだ中で今回のものが一番だと思う。

  スムージーがあまりに美味しかったので、昼食もここで頂くことにする。注文は、カオソーイ。チェンマイに行った時に食べて美味しかったカレーラーメン風の食べ物で、チェンライでも食べられると聞いていたので、前々からこれを食べようと決めていた。このお店のカオソーイは、香草の利いたカレースープに柔らかめとパリパリ系の2種類の麺が入っていた。そのままでも美味しいし、付け合わせの生の玉ねぎを入れると更に刺激的な味になる。その後、ダメ押しで今度は林檎のスムージーを頂いた。これも林檎の味がそのままスムージーになっていた。これだけ美味しいなら、他のスムージーも飲んでみたかった。メロンとか。

  トゥクトゥクに乗り、空港へ戻る。

  チェンライ16時25分発のエアアジアFD3208便に乗り、バンコクへ戻る。定刻は先の時間だったのだが、実際に搭乗を開始したのは定刻を30分ほど過ぎた頃だった。しかし、その旨のアナウンスがあったのは定刻を10分以上過ぎた後。日本だったらありえないが、なぜか東南アジアだと何とも思わない。むしろ、30分で済んで良かったじゃんと思ったほどだ。

  18時過ぎにバンコクに到着。朝のことがあるのでタクシーには乗りたくなかったので、バスで戻ることにする。このバスがまた面白かった。列を作って順番に乗るという概念がないようで、バスが到着して扉が開くと、みんな我先にとバスに乗り込んでいく。私も、一瞬面食らったものの、すぐに参戦し、何とか無事に座席を確保することが出来た。たまたま私がいた場所の近くでバスが扉を開けたのが幸運だった。車内は満席で、その人混みを掻き分けておばちゃんが切符を売りに来る。これだけ混んだ車内で、片方の手の指の間に大量のお札を挟み、反対の手で切符を作って手渡している。テキパキと簡単にこなしているが、職人技だと思う。

  終点のバス停で降り、BTSに乗り換えてサヤーム駅へ。駅前のショッピングモールに入っているレストラン街で見つけた何かはよくわからない麺物屋さんで、夕食を食べる。これまた写真で見ても何かはよくわからない麺物と、アイスティーを注文。麺物は、トムヤムクン風味のとんこつラーメンといった感じの代物で、結構美味しかった。麺はいかにもレトルトな感じがするのだが、それがまたスープの味と合っている。また、ここで飲んだアイスティーが抜群に美味しかった。濃いめの紅茶に、大量の甘いミルク。かつてチョンノンシー駅で何度も買ったタイのアイスティーの味だ。最後の最後で、この味に出会えたことに感謝。

  チョンノンシー駅までBTSに乗り、コンビニで飲み物を買ってからホテルに戻る。明日はもう日本に帰るだけだ。


9月6日(水)

2017年09月20日 22時46分05秒 | 2017年

  5時起床。ルアンパバーン最後の朝なので、もう1度托鉢を見るために早起きした。外はまだ真っ暗だ。

  今日は、一昨日とは違うメイン通りにも行ってみた。改めてじっくりと眺めてみると、この地域にはすごい人数のお坊さんがいるんだなと驚かされる。しかも、若い人が多い。もしかすると彼らは修行僧で、全員がそのままお坊さんになるわけではないのかもしれない。しかし、日本のお寺の多くが後継者問題に悩んでいる一方で、こちらにはこれだけ多くの後継者候補がいるというのは面白いものである。社会における仏教、宗教の位置づけが全く異なるのだろう。また、施しをする住民の側の年齢層も幅広い。中には小学生にも満たない小さな子がお母さんと一緒に行っていたりもする。托鉢僧への施しは功徳を積む行為なわけだが、そういう考え方や行動が世代を超えて受け継がれていく様を見たような気がして、とても感慨深かった。葬儀の際のお坊さんをインターネット通販で呼べるような我が国とは全く異なる価値観が目の前に広がっていた。このように書くと私が日本の現状に苦言を呈しているように捉えられるかもしれないが、私はインターネットでお坊さんを呼べるシステムが出て来た今の日本の現状を歓迎している。日本のお坊さんの中には高級車を乗り回したり、ガンガンに酒を飲んだり、寄付を強要したりする人たちがいるのも間違いないし、檀家だ何だというしがらみや法外に高いお布施についても意味が分からない。本人が許してくれれば、自分の親の葬儀では私が戒名を考え、お経を上げようかと思っているくらいだ。だから、ラオスは良くて今の日本はダメだ、というのではない。単純に、宗教への信頼が厚く、日々の生活に根付いているラオスの文化が羨ましいのだ。

  托鉢が終わると、街はまた朝の静かな空気に包まれる。さあ、朝ご飯を食べに行こう。

  朝食は、昨日と同じ「Zurich Bread Factory & Cafe」へ。今度はクロワッサンを使ったハムチーズサンドを食べる。やっぱり、美味しい。ふわふわでほのかにバターの香りのするクロワッサン。このカフェが自宅か職場の近くにあったら、間違いなく頻繁に通うだろう。ただ、値段はラオスの物価からするとかなりお高めである。飲み物のアイスカフェラテも含めて、日本円で確か750円くらいの値段だったと思う。日本だったら普通かもしれないが、一昨日の朝に屋台で食べたフー(牛肉入り米粉麺)なら5杯は食べられる金額だ。かなり豪華な朝食なのである。

  ホテルに戻ってしばし休憩し、身支度を整え、10時過ぎにホテルをチェックアウト。今回宿泊した「The Belle Rive Hotel」での滞在は、すこぶる快適なものだった。本当に、お世話になりました。

  トゥクトゥクでルアンパバーン国際空港へ。航空券の発券機が故障していてEチケットがなかなもらえないというハプニングはあったが、その後はびっくりするくらい簡単な出国審査を経て、待合室に入る。ここにもバンコクエアウェイズのラウンジがあるので、待ち時間を快適に過ごすことが出来た。

このチョコレートケーキがサクサク甘々でめちゃくちゃ美味しかった。もちろん、オレンジジュースもかなり甘め。最高だ。

  ルアンパバーン12時45分発のバンコクエアウェイズ942便に乗り、バンコク(スワンナプーム国際空港)へ。相変わらず滑走路を歩いて飛行機に乗るのだが、ちょっと先を離陸に向かう大型機が走っていたのには驚いた。しかも、機内に入ると、70人乗りの飛行機に乗客が10人ちょっとしかいないという状況。そんなにローカル路線ではないはずなのだが。

先に離陸していく飛行機たち。

乗客が全然いない。

川に挟まれて半島のようになっているの部分が、ルアンパバーンの中心地。この出っ張り部分はほとんど歩き尽くした。

機内食が美味しい。野菜も新鮮だし、ハムやチーズ、デザートのケーキ的なものも良かった。まあ、ケーキ的なものは超甘党の私にとって、という意味だが。

  15時過ぎにスワンナプームに到着。エアポートレールリンクに乗り、終点のパヤータイ駅へ。いつの間にかエアポートレールリンクの急行が廃止され、各駅停車しか運行されなくなっていた。

これが切符。

  パヤータイ駅でBTSに乗り換える。乗り換え通路のところに、昨年10月に亡くなったプミポン国王の祭壇が設置されていた。そうか、タイはまだ服喪期間なのだ。祭壇の写真を撮るのは不謹慎かとも思ったが、別に国王を軽んじているわけではないので、手を合わせてから撮影させて頂いた。

これが切符。

ホームドアが設置されるようになったらしい。

乗り換えで、一気に混雑する。

  懐かしのチョンノンシー駅で降りる。今回は、5年前に来たときと同じホテルに泊まるので、この駅まで来てしまえば後は迷うことはない。一方で、5年間の間に駅周辺は更に発展しており、新しい高いビルが建っていたり、スラム街風だった地域の一部が再開発用地になっていたり、時の流れも感じさせられた。

コンビニの数も増えていた。しかも、セブンやファミマが多い。

結構広い範囲が再開発の対象になっている。奥に見えるツインタワーがホテルである。

  今回の宿、「Oaks Bangkok Sathorn Hotel」にチェックイン。今回は普通の部屋より1,500円ほど高いワンランク上の部屋を予約してみたら、びっくりするくらい大きな部屋だった。リビングもめちゃくちゃ広いし、ベッドルームやバスルームは2つある。こんなに豪華な部屋に泊まれるのはもちろん嬉しいが、1人では完全に持て余す。むしろ、部屋が広すぎて動き回るのが大変だ。ただ、部屋に洗濯機が付いているのはありがたかった。

広いほうのベッドルーム。こっちを使った。

広いほうのバスルーム。

2つめのベッドルーム。こっちは手つかず。

窓からチョンノンシー駅方面を眺める。

バルコニーも無駄に広い。

  荷物を置いて、散策に出掛ける。道路は夕方のラッシュが始まっていて、道路の混雑がすごいことになっていた。また、BTSの駅にも入場するための行列が出来ていた。空港からホテルに向かっていた時にも感じたが、BTSってこんなに混むものだったっけ。

  BTSには乗らず、駅を越えたところにある、5年前に初めてカオマンガイを食べたフードコート(?)へ。しかし、今日はもう店じまいしてしまっていた。残念。ここのカオマンガイを食べるためにタイに来たと言っても過言ではなかったのに…。ちなみに、今回の旅行ではこのお店の営業時間に合わせて訪問することが出来ず、結局ここでカオマンガイを食べることは叶わなかった。

  タニヤ通りまで歩き、両替をする。当時はここの両替所のレートが良いと教えてもらったが、今もそうなのかはわからない。

  通りの奥にある屋台を物色し、夕食をとる。たくさんあるおかずの中から3品を選んでご飯に乗せてもらう。ピリ辛の炒め物がとても美味しくて、汗をダラダラかきながら一気に平らげた。タイ料理はやっぱり美味しい。

この中から適当に料理を指さしてご飯にのせてもらう。

よく考えたら、目玉焼きと煮卵は卵かぶりだったな。

ごちそうさまでした。

  チョンノンシー駅の売店でアイスティーを買い、コンビニでも追加でジュースやお菓子を買って、ホテルへ戻る。タイのめちゃくちゃ甘いアイスティーは、やっぱり素晴らしい。なんでこれを日本で売らないんだろう。

  せっかくなのでお風呂にお湯を張ってゆっくりと浸かってから、ソファーでゴロゴロとテレビを見る。日本のテレビはNHKしか映らないが、ちょうどやっていた特集が面白くて見入ってしまった。


9月5日(火)

2017年09月19日 23時07分35秒 | 2017年

  7時起床。朝食は、「Zurich Bread Factory & Cafe」へ。ラオスはフランスの植民地だった時代があるので、パンが美味しい。注文は、店員さんがおすすめだというBLTサンドとアイスティー。具材もそうだが、パンが本当に美味しい。味、香り、食感、どれを取っても日本で食べるものよりレベルが高い。特に、香ばしい味わいが癖になりそうだ。これほど美味しいパンは、日本ではなかなかお目にかかれない。

  洗濯屋さんに昨日までの衣類を預ける。1キロで約150円という安価な値段で、朝出せば夕方には受け取ることが出来る。ルアンパバーンにはこういう洗濯屋さんが結構ある。おかげで、今回の旅行はかなり荷物を減らすことが出来た。

  トゥクトゥクをチャーターし、郊外にある「セー滝」へ向かう。片道30分ぐらいで、前半は普通の街中を走るのだが、後半から山道に入り、最後は舗装されていない道を走るので、車が上下に揺れる。まあ、これは運転手さんのドライブテクニックによって大きく変わりそうだが。

  トゥクトゥクを降りると、今度はボートに乗る。こちらは10分くらい。しかし、随分簡素な船で揺れるし、途中で2度ほどエンジンが止まるというトラブルもあった。これだけでも、結構な観光要素がある。

エンジンを再稼働するおじさん。

  雨季ということもあって、セー滝は想像以上に迫力があった。滝というよりは、森全体が川になっている感じだ。水の流れもそうだが、それによって発生している音や風も含め、その場一体の空気がとにかく爽快だった。目を瞑っていても、迫力を感じられる。一方で、事前情報では場所によっては泳げるとのことだったが、流れがすごすぎてとてもそんなことが出来る状況ではなかった。一瞬入ってみようかとも思ったのだが、結局は躊躇した。また、上流へ向かって歩いている途中の段差を登った時に、昨日ナイトマーケットで買ったパンツの股の部分が裂けてしまった。思いっきり裂けた訳ではなかったのが不幸中の幸いだが、ちょっと恥ずかしい。

  船で元の場所へ戻る。帰りは船のエンジンもご機嫌だった。

  トゥクトゥクで市街地へ戻り、市場で新しいパンツ(今度はストレッチ素材のものにした)を購入して、その場でお着替え。その後、歩いてホテルへ戻る。その途中で朝にお願いした洗濯屋さんを覗いてみたら、私の衣類がきちんと干されていた。想像していたよりもはるかにアナログな干し方だが、それがまた良い。

ちなみに、右端のファンキーな花柄パンツは私のものではありません。

  ホテルの近くにある電気屋さんも覗いてみると、韓国製の家電ばかりが並んでおり、日本製はかろうじて東芝の洗濯機が1台置かれているだけだった。海外展開の難しさよ。

  正午前にホテルに戻り、しばし休憩。今日も暑くなってきた。体調はすこぶる良いのだが、食欲があまりないので、昼食はカット。

  14時にホテルを出る。午後は、ちょっと奮発をして船を1チャーターし、「パークウー洞窟」へ行く。この洞窟へは行きたいが、通常のツアーで他の観光客と一緒に片道2時間船に乗るのは鬱陶しいなと思っていたところ、ホテルを通してチャーター便を手配してもらうことが出来たのだ。チャーター便なので、ホテルの目の前まで船が迎えに来てくれる。ただ、思っていた以上にちゃんとした船で、ベッドもあったりして、1人では完全に持て余した。

  というわけで、操縦士の若いお兄さんと2人の船旅がスタート。往路は、メコン川を上る。船から見ると、メコン川の雄大さが更によく分かる。これは、すごい。

半分ほど行ったところで、川に橋を架ける工事が行われていた。どうやら、中国が行っている工事らしい。善意による支援、ではないんだろうな。

魚の養殖場のようだ。

後半になると、雲行きが怪しくなってきた。しかし、それもまた迫力があって良い。何だか、魔界にやってきたかのようだ。

  しばらく進んだところで、少し雨が降ってくる。すると、船が川岸の森に突っ込み始めた。「え?」と思った次の瞬間、船内に木が飛び込んでくる。操縦士のお兄さんが船首に出たり操縦席に戻って操作をしたりと、忙しく動き回っている。何事かと思ったが、どうやら一度船を止めるようだ。随分思い切った停泊の仕方である。10分ほど掛けて船を着岸させると(これを着岸と言っていいのかは疑問だが)、こちらへやってきて雨除けを下ろし始める。ここでようやく彼の意図を察した私も協力し、全ての雨除けを下ろし終わってすぐ、急にものすごいスコールがやってきた。お兄さん、ナイス判断。それにしても、よくスコールが来ることを察知したものだ。その後、その場でしばしの雨宿り。

  スコールは、10分ほどで通り過ぎていった。再び慌ただしくお兄さんが動き回り、運航再開。目的地はもうすぐである。

  運航再開から20分ほどで、目的地の「パークウー洞窟」へ到着。もう夕方の4時を過ぎていたので、他に船はない。安定感の全くない桟橋を渡り、洞窟に入る。

  パークウー洞窟の中には、所狭しと仏像が並んでいる。船がないのだから当然観光客も誰一人おらず、結構怖い雰囲気。しかも、結構壊れている仏像が多く、それが余計に不気味さを醸し出している。神秘的、という表現のほうが適切なのだろうが、それは良く言い過ぎのような気がする。ただ、仏像1体1体をじっくり見たり、手を合わせたりする内に、気持ちはどんどん穏やかになっていった。

  船へ戻り、帰途につく。帰りは川の流れに沿って下るので、それほど時間は掛からない。また、ホテルの方曰く、夕方にはとても綺麗な夕日が眺められるよ、とのことだったが、残念ながら雲で全く見えなかった。しかし、天候の違いによるメコン川の雰囲気の変容も体験することが出来たし、大満足のクルージングだった。

洞窟の全体像。随分すごいところにある。

一応、夕日が沈むタイミングの写真。残念ながら、ほとんどわからない。

ルアンパバーンの中心に戻ってきた。

お世話になりました。

  夕食は、初日のお昼に食べた「カフェ・バーンワットセーン」で再び水牛のステーキ。どうしてももう一度これを食べたかった。この日記を書いていたら、また食べたくなってきた。日本で食べられるお店はないだろうか。

  これまた初日に行った「レモングラス・サウナ&トラディショナル・マッサージ」へ再訪し、今度はラオスの伝統マッサージを受ける。タイの古式マッサージを少しマイルドにした感じで、結構強めのマッサージだ。しかし、強く押されているのにそれがとても心地よく、ウトウトしながらリラックスした時間を過ごすことが出来た。

  ナイトマーケットでお土産を購入。じっくり見ると魅力的な品物がたくさんあって、ついつい必要以上に購入してしまった。その後、洗濯屋さんで衣類を受け取り、ホテルへ戻る。あんな干し方だったのに(と言っては失礼だが)、衣類はふわふわでとても良い香りがした。


9月4日(日)

2017年09月18日 22時13分33秒 | 2017年

  5時起床。身支度を整え、早朝の托鉢を見に出掛ける。この時間、中心地の至る所で托鉢が行われており、それがルアンパバーンの名物になっている。実際に見るまで、私は托鉢をかなり神聖な儀式で、厳かな雰囲気の中に行われるものだと思っていた。しかし実際には、住民たちはかなり気楽な感じで、中にはお喋りをしながらポンポンとご飯を投げ入れている人もいた。当たり前といえば当たり前なのだが、彼らにとって托鉢僧に施しをするのはごくごく普通の日常に過ぎないのだ。もちろん、1人で黙々と行って、終わった後には祈りを捧げているような、私の想像していた通りの人たちもいたが、それもまた特別な行為ではなく、日々淡々と繰り返しているものとして行われているようだった。仏教、というか宗教や信仰といったものが身近にあるというのはこういうことなのか、と新鮮な驚きを持って眺めることが出来た。ちなみに、この托鉢は観光客に大人気なのだが、比較的観光客の少ない裏路地で、早い時間に行くとゆっくりと見ることが出来る。5時半過ぎから行くのが良いだろう。6時頃になると他の観光客が増えて来る。それはそれで興味深い光景ではあるが。

托鉢僧が来るまでの待ち時間は、住民たちの憩いの時間になっているようだ。みんなでワイワイとお喋りを楽しんでいる。

6時頃になると、こういう感じで観光客が増えて来る。

この子は施しをするのではなく、逆にお坊さんから品物を分けてもらっていた。これもセーフティネットのひとつの形なのだろうか。

  そのまま、ルアンパバーンで一番有名なお寺、「ワット・シェントーン」へ。豪華だが落ち着きや威厳を感じられる、素晴らしいお寺である。全体の迫力だけでなく、細部へのこだわりも見事で、建物の近くに寄って眺めるとついつい惹きこまれてしまう。また、早朝なので人がほとんどおらず、朝の凛とした空気の中で参拝すると、とても清々しい気持ちになった。

  続いて、国立博物館へ。かつて王宮だった建物が博物館になっており、実際に王族が使用していた部屋や家具、調度品などが展示されている。宗教儀式に使われる部屋や客人と接見する部屋が豪華に飾られているのに比べ、王や王妃の寝室や食事の部屋などがシンプルなのが印象的だった。展示されている品々も単に豪華とか綺麗というだけでなく、実際に使用されていたものが多く、当時の生活が臨場感を持って伝わってくる。また、他国から贈られた品物も数多くあり、日本から贈られた陶器なども結構な数が展示されていた(内部は撮影禁止なので、写真は外観しかない)。

  朝食を求めて、地元の人向けの朝市を覗いてみる。肉や魚、野菜、穀物など、ありとあらゆるものが並んでいる。店先に裸で並んでいるので衛生面を考えると少し不安にもなるが、どれも新鮮で美味しそうだ。ただ、鶏の内臓が売られていたり、店先でおばさんが包丁を斧のように振りかざして魚をさばいている(というよりは、ぶった切っている)様子は結構衝撃的だった。

肉だけでなく、内臓も売り物になっている。

  昨日夕食を食べた屋台街に足を伸ばし、牛肉の入った「フー」(米粉麺)を朝食にする。実は昨日もこれを食べたかったのだが、牛肉が売り切れになっていて諦めたのだった。昨晩とは違って全く人がおらず、営業していないのかと思いきや、仕込みをしていたおばちゃんが優しく迎え入れてくれた。麺も太いものと細いものが選べ、私が迷っていたら半々にして作ってくれるという優しさ。出て来たフーはスープの味がとても優しく、米粉麺もツルツルしていて、朝食にはもってこいだった。半生の牛肉もちょっと怖いが、味は抜群。私が「美味しいー!」という表情をしていると、隣の席で仕込みを再開していたおばちゃんもニコニコしていた。ご馳走さまでした。

  トゥクトゥクに乗り、郊外にあるお寺へ向かう。運転手のお兄さんがなかなかのイケメンだった。しかも、この手の乗り物にしては結構な安全運転。ありがたし。

  まずは、「ワット・タートルアン」へ。かつては王室の火葬場として使われており、王様の遺灰も埋葬されているお寺である。今はちょうど建物を増築しているようで、若いお坊さんたちが木を切り出して運んでいるところだった。みんな骨格だけの屋根に上って作業しているのだが、当然命綱なんかはしていないので、見ているこちらが落ち着かない。

  本堂の扉が開いていなかったので、ダメ元でお寺の方に中を見せてもらえないかとお願いしたら、快く鍵を開けて中へ案内して下さった。そして中に入った瞬間、勇気を出してお願いしてみて良かったと心から思った。薄暗い堂内で輝きを放っている仏様の姿が、圧巻なのだ。神秘的とも妖艶ともいえる雰囲気で、目の前に腰を下ろすとその場の空気に包まれている感覚になる。私と一緒に5歳くらいの小さな子どものお坊さんも入ってきて、ここでお祈りするといいよとか、その方法などについて優しく教えてくれたのもありがたかった。

  少し歩いて、「ワット・マノーロム」へ。ここは壁画が有名なお寺である。建物自体も豪華でかなり大きい。壁画を間近で見ると結構凹凸があって、絵というよりも彫刻や粘土細工に色を塗ったものといった感じだった。しかも、それが「上手い!」と言えるようなものではなく、親しみを感じるタッチで描かれているのが面白い。小学校の教室の後ろの壁、みたいな感じなのだ。ちなみに、ここも堂内への扉は閉まっていたが、お寺の方が見当たらなかったので中に入ることは出来なかった。

  トゥクトゥクに乗り、ホテルへ戻る。今度は少し近代的なデザインのトゥクトゥクである。遊園地の乗り物みたいだ。ただ、可愛らしい見た目に反して、スピードはかなり出る。

  ホテルの目の前にやってきたアイスクリーム屋さんで、アイスを購入。ヨーグルトベースのアイスクリームにゼリーが乗ったもので、さっぱりとしていて美味しい。てっきり甘ったるい味を想像していたので、良い意味で予想を裏切られた。ちなみに、このアイス屋さんや前述のトゥクトゥクの運転手さんたちもそうだが、ラオスの人たちは「写真を撮ってもいい?」と聞くと、ちゃんとポーズを取ったりキメ顔をしてくれる。決してグイグイ来る感じの人たちではなく、どちらかというとシャイな部類に入ると思うのだが、カメラを向けるとサービス精神旺盛なのだ。このギャップが何とも愛らしく、今回の旅行で私は結構色々な人にカメラを向けて写真を撮らせてもらった。

  ホテルの近くにあるメコン川沿いのレストランで、昼食をとる。注文は、スイカのスムージーと、鶏肉のラープとカオ・ニャオ。ラープとはラオスを代表する料理のひとつで、お肉や魚を野菜や香草と一緒に炒めた料理のこと。カオ・ニャオとはもち米のことで、竹を編んで作られたおひつで出て来る。カオ・ニャオを指で取って少し握って固め、中心にくぼみを作ってそこにラープを挟んで食べる、というのが一般的な食べ方らしい。そして、これがかなり美味しい。香草や柑橘系のさわやかさとお肉のジューシーさ、唐辛子の辛さが絶妙で、そこにもち米のもちもち感が加わると、いくらでも食べられる気がする。正直なところ、料理が出て来た当初は「これはかなり量が多いな…」と思ったのだが、食べ始めると最後まで手が止まらなかった。ただし、当然ながらもち米はお腹に溜まるので、食べ過ぎには注意が必要である。実際、私はこの日の夕食に悪影響が出た。

  ホテルに戻り、お昼休憩。気温が最も暑くなる時間帯は、ホテルの部屋に避難するに限る。近所の商店で買ってきたラオスの煙草を吹かしながら休憩していたのだが、これが結構強くて頭がクラクラした。ただ、味は想像に反して結構美味しい。

  陽が傾きかけた頃から活動を再開し、夕食を取りにメイン通りにあるレストラン「ココナッツ・ガーデン」へ。お目当ては、水牛のサイウア(ソーセージ)である。一緒にサラダとご飯(今度は普通の白米)、ノンアルコールのピニャコラーダを注文。昨日食べた水牛のステーキが絶品だったので期待していたのだが、水牛のサイウアは正直なところ微妙だった。若干の臭みもあるし、私にはちょっと粗挽きで肉々し過ぎた。あと、見た目がちょっと…。また、お米を頼んだのも失敗だった。昼食のもち米が胃の中を占拠しており、最後まで食べきることが出来なかった。すいません。

  昨日に続いてナイトマーケットを歩き、明日着る用の上下の服を購入してから、昨日と同じフルーツスムージーの屋台でレモンスムージーを購入。店員のお姉さんが私を覚えていたようで、昨日以上に優しく対応してくれた。

  20時過ぎにホテルに戻り、昨晩同様まったりモードへ。海外、しかも暑い国に来たときには、早寝早起きが体調管理の最重要項目である。まあ、それでもお腹の調子は狂うのだが。


9月3日(日)

2017年09月18日 00時59分24秒 | 2017年

  今日の日記は、深夜から始まる。前日(2日)の夜22時過ぎに家を出て、羽田空港へ。今日から、ラオスのルアンパバーンとタイへ一人旅である。

  羽田空港0時40分発のバンコクエアウェイズ4152便に乗り、バンコクへ。JALからのコードシェア便なので安心感はあるが、満席で真ん中の席だったので、結構つらい時間だった。結局、ほとんど眠れなかったし。

  スワンナプーム(バンコク)には、朝の5時前に到着。乗り継ぎまで5時間以上あるのがつらいなと思っていたのだが、バンコクエアウェイズのラウンジがとても快適で、横になって眠ることも出来たのでありがたかった。通常、この手のラウンジはハイクラスの座席を予約していないと入れないのだが、バンコクエアウェイズはエコノミー座席のお客にもこういうラウンジを開放している。これは、本当に素晴らしいサービスだと思う。

  寝不足もかなり解消したところで、スワンナプーム10時05分発のバンコクエアウェイズ941便に乗り、ルアンパバーンへ。予想通り、小型のプロペラ機である。しかし、ほとんど揺れることもなく、快適なフライトだった。

  12時過ぎにルアンパバーンに到着。これぞ東南アジアの地方空港といったラフな感じで、私たち乗客は普通に滑走路を歩いて空港の建物へ向かう。予想どおり、かなり暑い。

  タクシーでホテルに向かい、チェックインの手続きをしてから、部屋の準備がまだ出来ていないとのことだったので、昼食を取りに出掛ける。お目当ては、水牛のステーキ。「カフェ・バーンワットセーン」というレストランに入る。かなりお洒落なレストランだ。

  水牛のステーキは、期待を遥かに超えて美味しかった。脂身の少ない赤身肉で、肉そのものがかなり柔らかく、その上ジューシー。水牛独特の味や臭みなどは全くないので、事前に知らなければ普通にとても良い牛肉の赤身だと思うだろう。あまりに美味しいので、最初の1口を食べた瞬間に思わず天を仰いだほどだ。そのまま食べても、バジルバターと合わせて食べても最高。これは、一発目の食事から大当たりである。また、サラダも洗練されたビネガーソースで美味しく頂けたし、何よりフランスパンのレベルがかなり高かった。さすが、ラオス。

ミックスフルーツのスムージー。暑いところへ来ると、こういう飲み物が本当に美味しい。

  そのまま、メイン通りを少し散策する。私が滞在しているルアンパバーンの中心地は完全に観光産業のための地域になっているので、メイン通りには観光客向けの飲食店やマッサージ、旅行会社などが並んでいる。ただ、これは後述のナイトマーケットなどでもそうなのだが、現地の人たちは観光客に対してグイグイ来る感じがないので、街の雰囲気はとても落ち着いたものになっている。

  せっかくなので、道沿いに建っていたお寺(ワット・マイ)に入ってみる。この建物の形が、ルアンパバーン様式の典型らしい。遠巻きに眺めているとそれなりに地味な感じと思いきや、建物に近づくとその豪華さに驚かされる。壁全体が黄金で装飾されているのだ。これは、圧巻。日本などで黄金の建物や装飾を見るとちょっといやらしい感じを受けるが、ここの黄金色はなぜか落ち着きというか、厳かさを持っている。

  堂内で、仏様に手を合わせる。このお寺に限らず、今回の旅行で訪問した数々のお寺で私は、同じお願い事を繰り返した。どうか、叶いますように。

  メコン川沿いの道を歩いて、ホテルへ向かう。今、簡単に「メコン川」と書いたが、学校で習った世界でも有名な川を実際にこの目で見るというのは不思議な感覚である。教科書の写真ではなく、本物なのだ。川岸まで下りていって眺めると、その雄大さがよくわかる。

橋が架かっていないので、人だけでなく車も船で対岸へ渡る。

  今回宿泊したのは、「The Belle Rive Hotel」。メコン川沿いにある比較的高級な部類に入るホテルで、今回はその中でも少し背伸びをしてバルコニー付きのメゾネットルームを予約した。部屋はとても綺麗だし、ベッドも大きく、リラックスできる環境である。冷蔵庫の中の水やジュースが無料というのも、この暑いルアンパバーンではとてもありがたい。スタッフの皆さんもとても優しくて、このホテルを選んで正解だったと思う。

  部屋で少し休憩してから、再び散策に出る。ルアンパバーンの中心地は観光地化されているとはいえ、メイン通りを外れてしまえば、普通に民家が立ち並んでいる。今日は日曜日なので、子どもたちも学校はお休みのようだ。

  「ワット・セーン」というお寺に立ち寄る。メイン通り(サッカリン通り)にあるので滞在中に何度も目にすることになるお寺なのだが、建築物としてとてもかっこいい造りだなというのが第一印象で、その感嘆の気持ちは最後まで変わらなかった。

  メイン通りを歩いていくと、ナイトマーケットの準備が始められていた。私はその横を通り過ぎ、「プーシー」という小さな山へ登る。それほど高い山ではないのだが、なにせ暑いのでかなり体力を消耗する。

  山の上からは、ルアンパバーンの街を一望することが出来る。文句なしに、素晴らしい景色である。更に、ここから見える夕日が素晴らしいと聞いていたのだが、それを目的にどんどん人が増えていき、しかも日本人が結構いて、日本語で喋っていたり、私が日本人だとわかると話しかけてきたりするので、夕日は諦めて下山する。なぜ海外まで来て、わざわざ日本人同士でつるもうとするのか、意味がわからない。

  下山する頃には、ナイトマーケットの準備が着々と進んでいた。その入口の所にあるフルーツスムージーの屋台で、店員さんお勧めのパッションフルーツと何かもうひとつのフルーツを合わせたスムージーを購入。氷と一緒にミキサーにかけているのでキンキンに冷たく、フルーツの甘みや酸味がガツンとやってきて、美味しい。

  休憩がてら、「レモングラス・サウナ&トラディショナル・マッサージ」で、薬草サウナに入る。サウナの中は薬草の蒸気で溢れていて、香りが良いのでとても気持ち良い。現地の人たちも入りに来ており、色々と世話を焼いて効果的な入り方などを教えてくれた。お茶が飲み放題なので、サウナに入っては外の空気で身体を冷やしながらお茶を飲み、またサウナへ、ということを繰り返す。夕方になると外もかなり涼しくなってくるので、熱々のサウナから出て風に当たると気持ち良い。最後にシャワーを浴びると、驚くほどすっきりして身体が軽くなった。普通のサウナとは一味違う爽快感があった。

結構ちゃんとしたロッカーもあるので、安心。タオルやサウナ着もちゃんと貸してもらえる。

一応、サウナはきちんと男女別になっている。ただ、ロッカーは共用で、一応更衣室もあるが、女性は少し抵抗があるかも。

  サウナを出る頃には、ナイトマーケットが本格的に始まっていた。今日はまだ初日なので、偵察がてら1周回ってみることにする。織物や衣類、小物などを中心に、お酒や絵画、工芸品、珈琲やハーブティーなど、様々なものが売られている。お土産に買いたいようなものは、ほとんどここで揃うだろう。しかも、強引な営業が全くなく、せいぜい笑顔で「サバイディ―」(こんにちは)と声を掛けてくるくらいなので、ゆっくり見て回ることが出来る。子どもたちが店番をしていることも多く、お菓子を食べたり、携帯ゲームをやったりと、自由な雰囲気だ。これくらい商売っ気が薄くて緩い空気が流れていると、こっちも気楽に買い物が楽しめる。

  ナイトマーケットから1本横道に入ると、屋台が立ち並んでいた。今日の夕飯は、ここで食べることに決める。何かわからない料理が大量に並んでいていろいろと目移りする中、店先で焼いていた魚と鶏肉がとても美味しそうだったので、両方頂くことにする。そして、これが大正解。特に魚がふっくらと焼きあがっていて、脂ののりも良く、美味しかった。味付けは(おそらく)塩だけというシンプルなものだったが、それが逆に魚の美味しさを際立たせている。あの真っ茶色のメコン川で獲れた魚がこんなに美味しいなんて、ちょっと予想外である。ちなみに、鶏肉は良くも悪くも日本で食べるものと変わらなかった。

  ナイトマーケットの通りへ戻り、今度は屋台で食後のスイーツを食べることにする。たこ焼きを焼くような機材で作られているココナッツパンケーキを買ってみたところ、思っていた以上にココナッツの風味と甘さがあって驚いた。屋台なのでひとつひとつに焼き加減の差があるのはご愛嬌といったところだが、この味は日本でも普通に人気が出るような気がする。

  ホテルへ向かって歩く。メイン通りはとても明るいのだが、1本道を逸れると一気に真っ暗になり、少し怖い。また、途中のお寺で夜のお勤めが行われており、外に漏れ聞こえてくるお経が心地よかった。

  ホテルに戻ってシャワーを浴びてから、ゆっくりと本を読む。今回、文庫で4冊シリーズの小説を持ってきた。旅行先でこのような時間を持てるのが、とても幸せなことだということに最近ようやく気付けた。