4時起床。4時半にホテルをチェックアウトし、タクシーに乗って空港へ向かう。空港に着いたのは4時45分。タクシーの運ちゃんがめちゃくちゃ飛ばしたため、あっという間に着いてしまった。しかし、おかげで早く着きすぎてしまい、まだ誰もいない。
エアバガンというミャンマーの航空会社の便を利用し、バガンへ行く。バガンは、世界三大仏教遺跡群のひとつである。飛行機は当然のようにプロペラ機。ミャンマーの国内線は遅延や欠航のオンパレードと聞いていたが、定刻通り06時20分に出発してくれた。これで一安心である。ちなみに、乗客を飛行機まで運ぶバスは、日本の中古車両が使われていた。ミャンマーで走っている自動車は大半が日本製で(トヨタ車がダントツで多い)、バスも大半が日本の中古品である。塗装や内装もそのままなので、一目瞭然だ。
楽しみにしていた機内食は、予想外に洒落たものだった。普通に美味しい。また、CAさんがこれぞというアジアンビューティーで、ついつい目で追ってしまった。彼女をナンパできるだけの英語力が欲しいと、心の底から思った。
1時間ほどでバガンのニャウンウー空港に着き、タクシーに乗ってホテルへ向かう。その途中で、「シュエズィーゴォン・パヤー」に寄ってもらった。バガンを代表する仏塔のひとつで、これまた金色が美しい。朝日に照らされて光り輝いている。こればかりは、どれだけ眺めていても飽きない。
そのままホテルに向かおうと思ったのだが、タクシーの運転手さんが「有名じゃないから普通の観光客は行かないんだけど、景色の良いパヤーがあるから」と、寄り道してくれた。バガンにはとてつもない数の仏塔や寺院があるので、全てを見て回ることはとても無理なのだが、現地の人のおすすめというのがいくつかあるようだ。実際、その仏塔の上からの景色は素晴らしく、周囲を一望することが出来た。この景色を見るだけでも、バガンへ、いやミャンマーへ来た甲斐がある。
一度ホテルにチェックイン。今回は、ちょっと奮発をして、「Bagan Thande Hotel」というリゾートホテルを予約した。これが予想を超えて素晴らしいホテルだった。部屋は個別の建物だし、部屋も広く、何と目の前には大きな川が流れている。本来なら、数日泊まってまったりしたいところだ。
ホテルで自転車を借り、散策に出かける。まずは、「ゴドーパリィン寺院」へ。中へ入ろうとしたところで、「こんにちは」と片言の日本語で話しかけられる。振り返ると、美少女が立っている。「こっちに良い写真の場所があります」と、通常とは違う入口へ案内される。このパターンは大体何かを売りつけられるので通常であれば断るのだが、美人に弱い私は思わず付いて行ってしまった。そして、彼女は一通り良い写真スポットを案内してくれた後(実際に良いスポットだった)、予想通り絵葉書を広げ始めた。絵葉書を指しながら、「ここが何々、ここが何々」と説明してくれる。そして、美人に弱い私は、これまた予想通り、その絵葉書を購入した。良い絵葉書だし、めちゃくちゃ安い値段なので何てことはないのだが、何かに負けた気がする。
彼女と別れ、お寺の中に入る。中は神聖な空気で包まれているが、仏像の顔が何となくおかしくて、ちょっと和む。色々と写真を見てもらえばわかるが、ここに限らず、ミャンマーの仏像には変わった表情をしているものが多い。こういった表情は、いったいどのような感情や想いを表現しているのだろうか。
続いては、「シュエグーヂー寺院」へ。先ほどに続き、ここでも入口でお土産屋さんの女の子に捕まる。別にスルーすればいいだけの話なのだが、見事に捕まってお寺を案内してもらう私。しかし、彼女の言うとおり、ここの上からの景色は素晴らしく、思わず「すげー」と声が出るほどだった。ちなみに、彼女が売っているのは現地の小物だったので、ここでもひとつ購入した。バガンの漆塗りの小物入れで、名刺保管に使えそうなものだ。それも全然安いからいいんだけど、やっぱり何かに負けた気がする。でも、かわいかったし、まあいっか。
ちなみに、私がお土産売りの人から買ったものは、予め買うと決めていたなど自らの意志で購入した場合を除けば、上記の2か所だけである。それは、彼女たちがかわいかったからというのもあるが、その売り方が上手だったからである。1人目の彼女は写真スポットを細かく教えてくれたし、2人目の彼女は30分ほどかけて熱心に案内をしてくれた。ただ「これを買ってよ」というのではなく、きちんと相手のニーズを満たす努力をしているのだ。それ以外にもたくさんのお土産売りにアプローチをされたが、ただ商品を持って追いかけて来るだけで、彼女たちのように上手い人は現れなかった。彼女たちはルックスに甘えることなく、しっかりと売るための戦略を立て、それに基づいた努力をしているのである。
自らの色ボケっぷりに少しばかり言い訳をしたところで、続いては「タビィニュ寺院」へ。バガンで最も高い寺院らしい。確かに、これまでと比べて力強さがある。おそらくそれは高さだけではなく、全体的に角ばった造りとなっていることもあるのだろう。
自転車を走らせ、バガンを代表する寺院で、最も大きく美しいと言われている「アーナンダ寺院」へ。有名なだけあって、この寺院は本当に見どころが多かった。大きな仏像の存在感はもちろん、壁という壁に仏像が埋め込まれている様子が圧巻で、何とも言えない不思議な雰囲気を醸し出していた。現地の方々に混ざって仏像の前に正座をして目を瞑ると、本当に心が落ち着く。
アーナンダ寺院の前にある屋台で休憩。さとうきびのジュースを飲む。沖縄でも飲んだことがあるのだが、その時のものより甘さが強く、しかし爽やかさも損なわれておらず、結局2杯も飲んでしまった。
バガンの中でも、オールドバガンと呼ばれる地域は考古学保護区となっており、城壁で囲まれている。私のホテルはその中にあるので既に入っているのだが、せっかくなので再度自転車でタラバー門を通って中に入る。ここが、正式なオールドバガンの入口。
川岸へ移動し、「ブー・パヤー」へ。円筒形のかわいらしい仏塔で、他の仏塔たちとは少し雰囲気が違う。川沿いということもあって、開放的な空気が流れている。ちなみに、この付近から船で観光することも出来るらしい。
昼食は、道端のレストランで。家族経営のレストランで、まったりとした雰囲気が良い。メインでマトンカレーを頼んだら、とんでもない種類の副菜がついてきた。その中で、とうもろこしのようなものと、カリフラワーを卵で炒めたようなものが特に美味しかった。もちろん、マトンカレーも。更に、サービスで出してくれたバナナが、日本で食べるものとは少し違う味だった。小さな種も入っているし、甘さの種類が何となく違う。でも、美味しい。ちなみに、これだけ食べて、値段は3,000チャット(300円)。
腹ごしらえも済んだところで、一度ホテルに戻って休憩。一番暑い時間帯は、避難するに限る。
お馬さんも休憩。
昼寝をして、16時過ぎに活動再開。今度は地図を一切見ず、思いのままに自転車を漕ぐ。途中で見つけた仏塔で、私の他に誰も人がいなくて少し不安もあったのだが、中の空気が澄んでいて、とても気持ち良かった。
何の気なしに自転車を漕いでいるとそれが当然のように思われてくるのだが、遺跡以外にも、普通に景色が雄大で気持ち良い。何にもない場所で立ち止まると、自分が日本からとても遠いところに来ていることを実感する。これぞ、非日常。
日が暮れてきたところで、夕日見物の有名スポットである「シュエサンドー・パヤー」へ移動する。ここは塔の高いところまで上ることが出来て、そこからの景色が本当に絶景なのだ。日が沈む少し前から上ったので、まずは日中の景色を楽しむことが出来た。ここからの景色は特別過ぎて、現実に目の前に広がっている景色とは思えないほどである。ぼーっと眺めているだけで、幸せ。
日没が近づくにつれて、どんどん人が増えてくる。そして、夕日に照らされる遺跡群の様子は、一瞬でも目を離すのがもったいないほど幻想的なものだった。また、ここでインドネシアから来たアレンという男の子と仲良くなったり、定年度にミャンマーへボランティアをしに来ているというOさんという日本の方と知り合い、色々と話をした。こういう出会いも良いものだ。これも夕日のおかげである。
夕食は、ホテルへ戻る途中にあるレストランで。よくわからない現地のジュースを飲み、あっさりスープの麺と牛肉の炒め物を食べる。このミャンマー旅行で、唯一きちんとしたレストランでした食事である。素朴な味付けで美味しい。
真っ暗な夜道を自転車で走り、ホテルへ戻る。街灯はあるが、ほとんど前が見えない。しかし、不思議と怖さはない。
シャワーを浴びて汗を流し、バルコニーで真っ暗な川を眺めながら翌日の計画を立てる。その後、ベッドでゴロゴロして少し夜更かし。リゾート気分を満喫した。