このように、一応常識的な判断で行動していても、とかくあれこれと揶揄が入るので、何かしらどうであれ、自然に事は成るように成るものです。
その後、私は何となくかー君のお家には遊びに行ってみたり、どうという事も無く図書館通いの日々が過ぎて行ったり、近所で遊んでいたり、またはかー君から誘われて放課後お家まで遊びに行ったりなどしていました。
この時期は祖母のこともあり、冬から春にかけては心此処にあらず、お友達関係はかー君に限らずあまりはっきり記憶に残っていません。
よく、学校の渡り廊下から近くの山を眺めては祖母の病について物思いに沈んでいた事だけを覚えています。
多分、4年生になった頃かと思うのですが、祖母の死の悲しみも薄らぐ頃、盛んにかー君のお家に誘われる時期がありました。
お家で何をするかというと、本読みです。読んだ本の内容をかー君に話し、お八などもらって帰ります。
そんな事が何回かあって、ある日、こっちの部屋に移ってもらった方がいいと思うの、と、誰かに言われてかー君のお店の応接室のような所へ案内されました。
中を覗くと、がやがやと賑やかです。しかもピンクにオレンジ赤という多彩な色彩の可愛い服に装おわれた女の子だらけです。
何人いたでしょうか、ざっと10人位はいたかと思います。
私は今更のようにかー君のもてぶりにびっくりしました。
案内されるままにその中に入って彼女達の話に耳を傾けていると
「かー君は私が好きなの。」
「違うは、私よ。」
など言い合っています。他の子達の間にも、私には何々してくれた、私にはこう言ってくれた、などの言葉が飛び交っています。
『やっぱりね!』
そうですよね、私が此処へ来る前から、クラスも同じ、園も同じ、園でさえ幼いとはいえ彼が女の子にモテモテだった事を私は知っていました。
改めてかー君のモテぶりへの認識を新たにするのでした。
私は目を白黒、辺りをきょろきょろと見回してみます。私のように冴えない、目立たない出で立ちの子なんて一人もいません。
蝶よ花よの女の子ばかり、
地味な自分に居た堪れなくて、当然帰る事にしました。