家に帰ると、早速事典を開きます。
ぱらぱらページをめくると、一番見たかった項目を眺めます。
やはりツタンカーメンのページだったと思います。
天体や科学、有名な偉人など、思いつくままに繰ってみます。
そして後は少しずつページを開きながら、興味の湧いた場所で手を止めるとそのページや項目を読み込むのでした。
それから1週間ぐらいは事典に夢中な日々を過ごしていたと思います。
放課後が待ち遠しかったものです。
気に入った所はもちろん、新しい場所で興味を惹かれる場所を探しては読み込んで行きます。
そして、ほぼ興味のある所を読み終えると、また何時もの日常に戻って行くのでした。
只、買って貰った時の約束を覚えていました。
一生懸命勉強するから、そうです、私はせっせと勉学に励んでいました。
直ぐに結果は出なかったかもしれませんが、成績を上げたいと真面目に授業を受けていました。
しかし、今までも真面目に授業を受けていたので、そう変化が出るわけがありません。
自分でもこれ以上どう成績向上が出来るか模索してみますが、答えは出ないのでした。
授業中しっかり聞いて内容を理解する。プリントや計算をきっちりとやり上げる、しかしそれ以上はどうにも手の出しようがありませんでした。
遂に、成績を上げるにはどうしたらよいかと思案にくれるのでした。
結局、成績は上がらなくても、一生懸命勉強している事には変わりなく、約束は破っていないと妥協して、自分なりに納得するのでした。
それでも、目に見えて成績を上げることが出来ない後ろめたさが残り、それ以降私は外出を控え、家で百科事典と睨めっこ、読み残してある所に少しでも興味が湧く事がないかと丹念にページを繰り、文字を読み進めてみるのでした。