Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

親交 51

2019-05-08 21:12:30 | 日記

  「酷いなぁ。」

あそこの足場が悪いなら悪いと教えてくれればよかったのに、ミルも苦笑いしながら彼女に苦情を言うのでした。ここで昔馴染み同士は如何にも楽しそうに笑い合うと、親し気に明るく思い出話に花を咲かせるのでした。

 2人の昔話が一頻済むと、彼女はこの先の沢で一休みしようとミルを誘いました。朝から山歩きして乾いた喉をその場所に湧いている水で潤そうというのです。喉が渇いていたミルは勿論賛成しました。そこで2人はのんびりと沢迄降りると、昔通りに何時もの場所で滾々と湧いていた清水で、疲れと乾いた喉を癒やしました。

 「この湧き水相変わらず美味しいなぁ。」

ミルが如何にも嬉しそうに感嘆して言うと、そうねぇと彼女も同意しました。彼女は傍にあった岩に腰かけると自分の袋からカウの実を取り出し一齧りしました。新鮮な果肉が彼女の口の中に取り込まれ、その濃厚な果汁が薫り高く甘く彼女の口の中に広がりました。フフフと彼女は一人思い出し笑いを始めました。そして彼女は改まった様に彼の顔を覗き込み微笑みました。

「実は、」

と彼女は話し始めました。

 彼の帰郷する前日、彼女は彼の祖父から、この山でカウの実を集める事を頼まれたのだと話すのでした。

「カウの実は新鮮な方が良く効くもの。ミルのお祖父さんはミルの事がとても可愛くてしょうがないのね。」

彼女は目を細めてミルを見るとくすくすと笑うのでした。

「嫌だな、小さな子供みたいに言わないでくれよ。」

そうミルは照れるのですが、そうだったのか、とても助かったよ。と彼女に感謝の意を伝えたのでした。それは役に立ってよかった、散々苦労した甲斐があったというものだ、自分様様…、と冗談めかしてふんぞり返って笑う彼女に、ミルもまた、如何にもふざけて再三再四お世話になった、ありがたかった、おかげさまで…と、平身低頭してあらゆるお礼の言葉を並べるのでした。


親交 50

2019-05-08 20:38:32 | 日記

 しみじみとした気分で、とっぷりと日の暮れた頃に首を長くして彼を待つ祖父の元へと帰宅したミルは、玄関で彼を出迎える祖父ににっこりと笑って見せるのでした。懐かしくてつい時間の経つのを忘れてしまったと笑うのでした。 

 2日程してミルはまた山へ向かいました。カウの実とは違う別の木の実を取りに出かけたのです。季節は丁度この地域の実りの時期を迎えていました。彼が家から持って出た袋はすぐに目当ての木の実で一杯になりそうでした。早朝に家を出た彼は、この分なら昼迄にはこの実を家に持って帰り、早速調理して昼食に食べられそうだと考えると愉快になって来ました。興に乗った彼は山道を歩きながら、これでどの様な料理を作ろうかとあれこれと思案を巡らせ始めました。

 ざざざざざ、砂の崩れる音と共に目の前に3日前に分れたきりの彼女が滑り降りて来ました。彼女は1人で山の斜面を滑り降りて来たのです。「しくじったわ。」彼女は渋い顔をして腰をさすりながら呟きました。

「やぁ、」

「あら、」

よく会うわねと驚いた様に彼女は微笑みました。彼が見ると、彼女も手持ちの袋に沢山の木の実を詰め込んでいるようでした。おまけに彼女は、薬草らしい草の一杯詰め込まれた袋を余分に幾つも腰にぶら下げていました。

 彼は山の斜面を見上げました。高い所に彼もよく知っている薬草が生えているのが見えました。『あれが欲しかったのか。』彼は彼女にその薬草を指さしてそうかと尋ねました。果たして彼女はそうだと答えると悔しそうに薬草を見上げました。もう少しだったのに、足を踏み外してしまったのだと無念そうに薬草を見上げる彼女に、ミルは僕が取って来てあげるよと気さくに言うと、自分の荷物をその場に置いて彼女の返事も待たずにさっさと斜面を登りだしました。

 彼はすぐに薬草のある場所迄上って来ました。喜々として彼が手を伸ばしたところで、ずっ、ざざざざざーと、彼は元の山道に滑り降りて来て尻もちをついてしまいました。下では彼女が待ち構えていました。彼女は思いっきりハハハと笑うと、

「私より酷いわね。」

私は荷物を持っていたけど、あなたは手ぶらでしょう。私よりずーっと条件が良いはずなのに失敗するなんて…。宇宙艦隊の士官さんも大したことが無いのねぇと如何にも面白そうに笑うのでした。 


今日の思い出を振り返ってみる

2019-05-08 20:36:21 | 日記
 
土筆(65)

 ついポロリと口を衝いて出てしまった言葉でした。彼女は直ぐに内心ハッとして後悔したのですが、出てしまったものは仕方がない、という具合に直ぐに諦めてしまいました。『一旦口から出た......
 


 良いお天気が続きます。今週は忙しいかな。