「騙される方も悪いのではないですか?」
と、この先、このご夫婦の口喧嘩が延々と続いて行くのですが、そんな事になるとは露知らず、話題の主の女の子達は早くも施設の出口の門に続く道へと差し掛かりました。
この時、お姉さんの女の子は何気なく後ろを振り返り、施設内の広場に見え隠れする近所の男の子達の姿を目に止めました。そして、その中の1人の姿を認めると、『しめた!』と思いました。それは彼女が先程思い付いた、今傍にいる女の子を押し付けてしまおうと考えている相手、年下の子と同い年の近所の男の子だったからです。男の子達はいつの間に広場に現れたのでしょう、つい先程までは誰もいなかった広場です。彼女は彼等の人影に驚きましたが、それよりも今抱えている問題を解決出来るだろう事を嬉しく思いました。
『やったー、丁度良い所で出会ったわ。』
そう思うと、彼女は連れの女の子に一寸ここで待っていてねと笑顔で一言いい置くと、「皆んな何時の間に来たんだろう。」と呟やきながら、彼に如何話したものか、また、向こうが自分の話を引き受けてくれるかどうか案じながら、その男の子達の遊んでいる広場へと向かい1人一目散、ダーッとばかりに駆け出して行きました。それは本当にあれよあれよという間でした。
『お姉さん、速ーい。』
彼女の見た事も無い素早さと力強い走りに、私がびっくりしている間もあればこそ、彼女は建物の角を曲がって広場の向こう側へと姿を消してしまいました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます