登山中というより下山中の出来事、登りと下りで一まとめにした物を登山というのなら、それはやはり登りの時から下山まで繋がった出来事でした。だから登山中という事でよいでしょうね。
そこは多分ウルルの何処かの尾根だったのでしょう、広く平坦に近い岩場でした。足元がごつごつとした岩で起伏がそれなりにあったのは確かです。下山途中の私は少し休もうと考えて辺りを見回してみました。休憩場所を探していたのです。そして、何気なく後方を見たのでした。来し方を振り返って、来た距離や地形などの光景を見て、自分の努力の足跡を推し量りたかったのでしょう。そして、後ろの岩場に腰かけた男性に目を奪われました。
その男性は登りの途中で出会った、あの目の覚めるような奇麗な金髪の青年でした。私とはもう大分距離が離れていると思っていたので、私はひよっと驚きました。それは思いがけずにまた綺麗なものを目にしたという嬉しい驚きでした。
この時の私は、頂上まで登ったという嬉しさで気持ちにゆとりがありました。思わず彼との再会の嬉しさが顔に出てしまいました。にっこり笑っていたと思います。すると、彼は自分の座っていた左隣の赤茶けた岩をぽんぽんと手で叩き、此処においでというような素振りを見せました。
私はびっくりしました。今回も意外な驚きでしたが、直ぐに嬉しいという感情に至らなかったのは年齢のせいでしょう。当時私は中年期、彼はどう見ても30歳前後、よく行っても30歳前半の年齢に見えました。驚くというよりも、戸惑ったといった方が良いでしょう。それであれこれと思い悩んでしまいました。
私はふと気が付いて、自分の左右を見たり、後ろを見たり、彼の年齢に相応しいような女性が周囲にいないかと確かめてみました。どういう訳か私の周りには広く女性の影がありませんでした。『あれ~。』と思いました。
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