Jun日記(さと さとみの世界)

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土筆(240)

2018-10-29 09:36:34 | 日記

  蛍さんの方は、その様に慌てふためいている祖母の顔色には一切無頓着でした。相変わらずにこにこと、祖母の顔を見上げながら得意そうにこの話題を続けます。

「私も最初はお祖母ちゃんの様に分からなかったけれど、この前家で1人になった時に、漸くこの言葉の意味が分かったのよ。」

と、満面笑みで語る蛍さんです。

「だからお祖母ちゃんも、そんなに知らなかった事を恥ずかしく思わなくてもいいよ。きっとね。」

と蛍さんは祖母を慰めているつもりで話します。その円満な顔を見て

『まぁ、何て親子で似てる事。』

祖母は思いました。物や人の気持ち、道理を読み違えるなんて、息子そっくりの孫だ。そう思った祖母に蛍さんはとどめの様に言ったものです。

「これで、年寄りで物がよく分からないお祖母ちゃんにも、諸行無常がよく分かったでしょう。」

等と言うものですから、ええっと、驚いた祖母は、この息子親子のマイペースな状態というものが大変よく分かってきました。

「親子でお馬鹿が似るなんて、」

これが遺伝というものなんだねぇと、祖母は呆れかえると、物の本質について、きちんと上手く見抜く力が無い父娘だと、蛍さん親子の行く末を酷く案じるのでした。


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