Jun日記(さと さとみの世界)

趣味の日記&作品のブログ

夕暮れに染まる頃

2024-12-03 08:29:46 | 日記
 気付くと夕暮れが迫っていました。私は祖父とそう話し込んだ覚えがなかったのですが、雲の底はもうオレンジを帯びた黄金色にほんのり染まりつつありました。祖父はこの少し前にかつての祖母と同じ言葉を私に語っていました。その時には未だ白い雲と青い空、水色の空であったのです。

 「お前の代になったら、墓を立て直して欲しい。」

祖父はそう言ったのでした。そうしてその前に一言いった言葉も有り、その言葉も祖父と祖母は同じ物だったのです。

 「あんたのお父さんとお母さんは甲斐性が無いから、」

でした。祖父にこの言葉を言われた時は、私は亡き祖母との事を思い出してハッとしました。過去に追い遣ってしまった事、それは単なる私の記憶の中だけの事と思っていた出来事、それが今又こうして私の目の前にいる祖父から、現在の現実の言葉として私の眼前に甦って来るとは…。気儘な夢のような現世に生きていた私にとって、それは目の覚める様な現実でした。

 私は心底目覚め、現実の真っ只中に一人いる気分でした。大地に足を付け、この世、地球に根を張り足重く立っている様な気分。そんな物を感じました。この時私は改めて眼前にいる祖父を眺めました。軽い法要の為か地味で質素な背広姿をしている祖父、そんな彼が、それ迄折に触れ親身に感じていた人物とは違い、私の目の前で私に対峙する敵になってしまった、そんな気持ちにさえなりました。私は沈黙しました。

最近思うこと

2024-12-02 11:59:30 | 日記
 最近思う事。それは悩み事と言ってよく、困った事でもあります。こんな時は、私の祖父の事を思い出します。祖母との事もその先にあったのですが、これは祖母との事を踏まえつつ、祖父との関わり合いの話です。
 それは何時の事か、定かには思い出せないのですが、祖母が亡くなり、1年か2年過ぎた頃、梅雨直前か、秋が深まり行く頃か、概ね曇りの日の事でした。その日は、日差しが差すと暑く感じるくらいなのに、曇ると肌寒く感じたのを覚えています。
 私達、祖父と両親、妹と私の5人家族は、先祖の誰かの法要で、我が家の菩提寺の墓所に来ていました。大人は簡単な墓参りだけで供養を済ませる事にしたようでした。墓に線香とロウソクを灯し、父がしゃがんでお教の本を取り出したのを見ると、私はここでまた長くなるのだと悟り、辟易してしまいました。父はお盆は勿論、墓参りに来ると必ずのように自ら経本を読み、それが長々と続くのでした。
 しかし、子供とはいえ、私はもうある程度年齢が進んで来ていたので、最初幼い頃にはしゃがんで聞いていた父のお経も、その後数年の内には立ち上がって聞くようになり、それさえも耐え難く長引くようになる父の様子に抗い、今回はもうエスケープするという事を学んでいました。
 つまり、自分はあちらに行って良いかと親に尋ね、幸いな事に父の許可を得て、私は間髪を容れずに、すたこらさとその場を逃げ出していました。一応父に敬意は払ったつもりでした。
 さて、我が家の墓前を逃げたした私は、皆から10メートル程離れた鐘つき堂の側に有る、風通しの良い開けた場所まで来ると一息付き、その場にある植木や周りの風景を眺めていました。ホッとしたものです。
 すると、暫くして祖父が墓に皆を残し、時折墓の方を気にしては振り返りながら、1人で静々と私に近付いて来ました。私に話しかけてきた祖父は、何時も私が皆から離れて行くのが気に掛かるとの事でした。また、私の両親がそんな私を気にしないのが心配だ、親として自分にはそれが不思議だ、と話してくれました。
 私は常日頃、そんな気配りをしてくれる祖父が好きでした。その時には、そんな祖父の事を有り難いとも思いました。
 それから、祖父はもう夕刻近くになる空模様を眺め、私に話し出しました。