朝、歩いている途中で降って来て、
池を見て濡れて帰るも春雨か / kaeru
「春雨じゃ、濡れて行こう」という芝居の台詞を口にしてお相手がいれば、
なおのことわざとゆっくり歩いて見せるのでしょうが、なにせ 「春時雨」 と
いう冷えた雨、厚手の外套と帽子であまり感じなかったのですが、近くの
池の面にかなりの波紋、そういうことで駄句一句。
これだけでは申し訳ありませんから、この句をご鑑賞下さい。
池の面の輝き失せて春時雨 / 国守さち子
金子兜太監修の 『美しい日本の季語』 は「365日で味わう」とあるように
「一日一句」紹介の本で、3月1日は芭蕉の
春雨や蓬をのばす艸の道 / 芭蕉
(蓬=よもぎ、艸=くさ)
あわせて、今日3月1日の句。
紙風船息吹き入れてかへしやる / 西村和子
(季語・紙風船=春)
田中裕明・森賀まり 『癒しの一句』 ふらんす堂
鶯の次の声待つ吉祥天 / 加藤知世子
大岡 信 『折々のうた 三六五日』 岩波書店
梅二三黒地蔵あり梅五六 / 高濱虚子
(黒地蔵=鎌倉・覚園寺)
星野立子 『虚子一日一句』 朝日文庫