この紙面は今日の「しんぶん赤旗」の「文化欄」です。
俳人・高野ムツオさんの執筆になる一文の冒頭は、「昨年9月、宮城県俳句協会
の事業として東日本大震災句集 『わたしの一句』 を刊行した。」とあります。
この冒頭に続いて「大震災があった直後から、俳句など作っている場合ではない、
俳句ではこのような時事、事件を詠えないなどという声がずいぶん聞こえた。 同時に
俳句を作ったり、読んだりすることで、心が癒されたり、生きる力を貰ったという声も数
多くあった。」
そして、「大震災の俳句を残す試み」がなされ、全国から1261句寄せられたとのこ
と。 年齢は10歳から90代まで、この紙面に記されている6句をここに書き置きます。
生きてゐるものは生きよと春の星 / 森田美智子
風死すや命日同じ墓ばかり / 齋藤朗笛
気仙沼去らぬ父祖等に朝の海 / 稲葉千尋
テレビ見てまた妻が泣く波と雪 / 内山思考
雪掻きをすべき家なく雪積もる / 三田村栄子
ひめむかしよもぎ破船を陸に置き / 谷ゆう子
俳句に関心をもつ者として次の言葉が嬉しい。
≪どんな立場、どんな経験、どんな方法からも、たとえ巧拙はあれ、俳句は、今生きてある
現実を詠うことができる表現の器だと確認できたのである。
俳句は沈黙の器。ものは言えない形式と言われている。しかし、俳句でなければ伝えられ
ないことが実はある。この一集は、そう私たちに呼びかけてもいる。
(「言葉の〆に」 この一集を一人でも多くの人に読んでいただきたいと切に願っている。≫
『わたしの一句』 申込先 宮城県俳句協会
〒982-0034 仙台市太白区西多賀5の7の78 中村孝史方
FAX 022-243-0766