花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

CARAVAGGIO:The Final Years 展 (4)

2005-05-01 03:04:34 | 展覧会
写真はティツィアーノ「エッケ・ホモ」(ダブリン国立美術館)だが、どことなくCARAVAGGIO「キリストの笞打ち」を髣髴するものがある。

さて、レポート(感想?)を続けよう。

第2室はローマ逃亡後、故郷縁のコロンナ家領地を経て第1次ナポリ滞在時代作品が並ぶ。この中では告知ポスターにもなっている「キリストの笞打ち」が圧倒的存在感を示し、まさに今回の展覧会メイン作品とも言えよう。
サイトのナポリ展レポートでも書いたが、ナポリでは隣にティツィアーノ「エッケホモ」(個人所蔵)が並んで展示されていた。しかしここでも私的には、隣にはぜひとも同じティツァーノでもダブリン国立美術館で観た「エッケ・ホモ」が相応しい…との想いを強く感じた。何故なら、「キリストの笞打ち」では縄で縛られたキリストの右腕には縄目が食込んだ跡が赤黒い痣となり痛々しく、ティツァーノ(ダブリン作品)のキリストの縛られた手首にもこの縄目跡の生々しい描写が観られるのだ。ロンバルディア仕込みのリアリズムはヴェネツィア派の巨匠とも合い通じるのか、影響を受けたのか、果たして…?

CARAVAGGIO:The Final Years 展 (3)

2005-05-01 02:53:45 | 展覧会
第1室はナポリ展と同じく「エマオの晩餐」LNG(ロンドン・ナショナル・ギャラリー)とミラノ・ブレラ美術館作品が並び、オープニングに相応しい話題性と存在感を放っていた。今回の地味になりがちな晩年期作品群の中で、やはりLNG作品は異色ではある。
最盛期の画技と新奇性を盛り込んだLNG作品は観る者を否応なしに画面内に引きずり込みテーブルの手前に座らせてしまうが、ローマ逃亡後のブレラ作品の持つ内省的な静けさは宿屋の主人たちとともに惹き込まれながらも佇んでしまう。