京都旅行の疲れがまだ残っているのに、また旅行に出かけてしまった(笑)。いつもは大体4月に取っていた連休だが、今年は部署の組織変更などもあり、なんだかんだと6月にずれ込んだのだ。
ということで、今回は、ロンドン~ミュンヘン~ベルリンを巡る旅となった。主目的は英国女王陛下のCARAVAGGIOを確認すること、ポツダムのサンスーシ絵画館「聖トマスの懐疑」への再挑戦。なので、巡ったコースは相変わらず合理的とは言えない。自分ながら疲れるコースだなぁと覚悟していたので、土曜日に帰国し、日曜日はしっかり休むことにしていた。
さて、巡った先を紹介しながら、感想をサクっと…。
<ロンドン>
・ バッキンガム宮殿クイーンズギャラリー The Royal Collection “Italian Paintings and Drawings”
・ ナショナルギャラリー The National Gallery
さて、クイーンズギャラリーで女王陛下のCARAVAGGIO「聖ペテロと聖アンドレの召命」と「果物を剥く少年」を観た。新発見作品はモデルの顔立ちを見ていると、やはり真作だろうなぁと思う。修復のためか、ちょっとピンとこないところもあるが(白の盛り上がった筆致って、わざとらしいでしょ?)、特にキリストはナショナルギャラリーのサロメに似ているように感じた。
眺めていると登場人物の表情以上に手が饒舌に召命場面を物語っていることがわかる。ペテロの左手が中心になり、左右の人物の拮抗する心理劇としての緊張を孕む。この二人の手の向きを見れば、両手で導くキリストのベクトルの力に負けるんだろうなぁ…と。やっぱりCARAVAGGIOって凄い!発見されてから修復されたのだろうが、色彩も鮮やかに蘇った作品は左上方からの光を受けてドラマチックな場面として浮かび上がっていた。ちなみに魚の鱗の光の表現も素晴らしかった。
新発見作品の隣には「果物を剥く少年」。他のヴァージョン作品も観ているが、かなり真作っぽい(?)。テーブル上の黄味がかった果物の質感表現は「果物籠」の筆致表現に似ているのだ。CARAVAGGIOの初期作品として位置されているのだが、静物画家としての実力がしっかり発揮されているように思える。
ところで、王室コレクションのイタリア絵画はチャールズ1世がマントヴァのゴンザーガ・コレクションを購入しているのが基本になっているようだ。それにチャールズ1世は宮廷画家としてジェンティレスキ親娘を招いていたから、あのアルテミシア・ジェンティレスキ「絵を描く自画像」にも会えて嬉しかった♪ なお、この企画展には素描作品も展示されており、ダ・ヴィンチやラファエッロ作品のパワフルで繊細な表現は素晴らしいものがある。
実はかなり時間をかけて観たため、結局V&A美術館をパスして、ナショナルギャラリーのCARAVAGGIO作3作品への挨拶ぐらいになってしまった。で、「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」のサロメはやはり似ていた…と思う(^^ゞ
LNGは名作・傑作が多すぎて、機会があったらまた触れたいと思う(大丈夫かな?/笑)。
<ミュンヘン>
・ ノイエピナコテーク Neue Pinakothek
・ アルテピナコテーク Alte Pinakothek
ノイエピナコテークのゴッホ「ひまわり」はどうしても観たい作品だった。厚塗りの筆致がぐいぐいと惹きつける迫力に満ち、数ある「ひまわり」の中でも傑作なんじゃないかと思う。それと、マックス・クリンガーの異種素材を使用した大理石像「エルザ・アセニイエフ」はヴァンジ作品の先駆的作品のように思えた。
さて、アルテピナコテークではデューラーの自画像に「やぁ!」と挨拶してきた(笑)。アルトドルファー「イッソスの戦い」ではその凄さに驚いてしまたり、グリューネヴァルトの端麗な作品に意外感を持ったり、いや、もう、名品揃い。ダ・ヴィンチやラファエッロからボスにブリューゲル、ルーベンスやレンブラントまで….なるほどの目の果報だった。
<ポツダム>
・ サンスーシ絵画館 Billdergalerie
「聖トマスの懐疑」は文句の無いくらいの傑作である。ああ、これこそCARAVAGGIOだ!と絵の前で佇む。黄金の淡い光が、あまりにも人間的な聖トマス達の好奇心と、「ほら」と優しそうなキリストを包んで美しい。師の傷口に汚い指(爪が汚れているのだ!)を入れるなんてねぇ(笑)。
構図は安定したピラミッド型だが、聖トマスの指とキリストの手、視線を誘う導線は傷口への集中の後、螺旋のように渦巻く。
ここの絵画館は内容の面白さに関わらず、ガイド本は無いし、絵葉書も極端に少なく、鑑賞客なんてあまり期待して無いのかもしれない(^^;;。なにしろ開館時期も5月中旬から10月中旬だけで、前回なんて知らなかったから、11月に行ってがっかりしてしまったのだ。
<ベルリン>
・ ベルリン大聖堂 Berliner Dom
・ 旧ナショナルギャラリー Alte Nationalgalerie
・ ボーデ博物館 Bodemuseum
・ 国立絵画館 Gemaldegalerie
ベルリン大聖堂は大戦による焼け焦げ跡を纏いながらも威風堂々とした大聖堂だ。地下にホーエンツォレルン家の王様の棺が並んでいるのにはびっくり!ああ、ここはプロイセン王国だったんだなぁと思い起こす。
旧ナショナルギャラリーは意外にも仏印象派が充実。以前東博に来たマネ「温室にて」にも再会した。ここのセザンヌ作品には魅了されてしまった。あ、もちろんカスパー・フリーッドリッヒやベックリン作品も多く、象徴主義の神秘性や幻想性もしっかり味わうことができる。そう言えば意表を突くように、通路壁にセガンティーニ作品もあった。
ボーデ博物館はロマネスク・ゴシックから始まる主にキリスト教彫刻を中心にした作品が多く展示されていた。中でもやはりリーメンシュナイダーは特別だと思う。四人の聖人の木彫では、本のページや皮表紙の写実的な質感描写に唸ってしまった。
国立絵画館は言うまでも無く素晴らしい!今回は3度目ということもあり、観たい作品を重点的に抑えることにした。もちろんCARAVAGGIOのアモルにもご挨拶(笑)。ちなみに前回は展示されていなかった「黄金の兜の男」もあり、大阪のレンブランント(?)話題を含め西美以来の再開を果たしてきた。で、今回の重点チェックはヤン・ファン・エイク「聖堂の中の聖母子」で、教会の窓からの光に溜息!
続きはぼちぼちとし、以上、取りあえずの旅行報告としよう(^^;;;
ということで、今回は、ロンドン~ミュンヘン~ベルリンを巡る旅となった。主目的は英国女王陛下のCARAVAGGIOを確認すること、ポツダムのサンスーシ絵画館「聖トマスの懐疑」への再挑戦。なので、巡ったコースは相変わらず合理的とは言えない。自分ながら疲れるコースだなぁと覚悟していたので、土曜日に帰国し、日曜日はしっかり休むことにしていた。
さて、巡った先を紹介しながら、感想をサクっと…。
<ロンドン>
・ バッキンガム宮殿クイーンズギャラリー The Royal Collection “Italian Paintings and Drawings”
・ ナショナルギャラリー The National Gallery
さて、クイーンズギャラリーで女王陛下のCARAVAGGIO「聖ペテロと聖アンドレの召命」と「果物を剥く少年」を観た。新発見作品はモデルの顔立ちを見ていると、やはり真作だろうなぁと思う。修復のためか、ちょっとピンとこないところもあるが(白の盛り上がった筆致って、わざとらしいでしょ?)、特にキリストはナショナルギャラリーのサロメに似ているように感じた。
眺めていると登場人物の表情以上に手が饒舌に召命場面を物語っていることがわかる。ペテロの左手が中心になり、左右の人物の拮抗する心理劇としての緊張を孕む。この二人の手の向きを見れば、両手で導くキリストのベクトルの力に負けるんだろうなぁ…と。やっぱりCARAVAGGIOって凄い!発見されてから修復されたのだろうが、色彩も鮮やかに蘇った作品は左上方からの光を受けてドラマチックな場面として浮かび上がっていた。ちなみに魚の鱗の光の表現も素晴らしかった。
新発見作品の隣には「果物を剥く少年」。他のヴァージョン作品も観ているが、かなり真作っぽい(?)。テーブル上の黄味がかった果物の質感表現は「果物籠」の筆致表現に似ているのだ。CARAVAGGIOの初期作品として位置されているのだが、静物画家としての実力がしっかり発揮されているように思える。
ところで、王室コレクションのイタリア絵画はチャールズ1世がマントヴァのゴンザーガ・コレクションを購入しているのが基本になっているようだ。それにチャールズ1世は宮廷画家としてジェンティレスキ親娘を招いていたから、あのアルテミシア・ジェンティレスキ「絵を描く自画像」にも会えて嬉しかった♪ なお、この企画展には素描作品も展示されており、ダ・ヴィンチやラファエッロ作品のパワフルで繊細な表現は素晴らしいものがある。
実はかなり時間をかけて観たため、結局V&A美術館をパスして、ナショナルギャラリーのCARAVAGGIO作3作品への挨拶ぐらいになってしまった。で、「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ」のサロメはやはり似ていた…と思う(^^ゞ
LNGは名作・傑作が多すぎて、機会があったらまた触れたいと思う(大丈夫かな?/笑)。
<ミュンヘン>
・ ノイエピナコテーク Neue Pinakothek
・ アルテピナコテーク Alte Pinakothek
ノイエピナコテークのゴッホ「ひまわり」はどうしても観たい作品だった。厚塗りの筆致がぐいぐいと惹きつける迫力に満ち、数ある「ひまわり」の中でも傑作なんじゃないかと思う。それと、マックス・クリンガーの異種素材を使用した大理石像「エルザ・アセニイエフ」はヴァンジ作品の先駆的作品のように思えた。
さて、アルテピナコテークではデューラーの自画像に「やぁ!」と挨拶してきた(笑)。アルトドルファー「イッソスの戦い」ではその凄さに驚いてしまたり、グリューネヴァルトの端麗な作品に意外感を持ったり、いや、もう、名品揃い。ダ・ヴィンチやラファエッロからボスにブリューゲル、ルーベンスやレンブラントまで….なるほどの目の果報だった。
<ポツダム>
・ サンスーシ絵画館 Billdergalerie
「聖トマスの懐疑」は文句の無いくらいの傑作である。ああ、これこそCARAVAGGIOだ!と絵の前で佇む。黄金の淡い光が、あまりにも人間的な聖トマス達の好奇心と、「ほら」と優しそうなキリストを包んで美しい。師の傷口に汚い指(爪が汚れているのだ!)を入れるなんてねぇ(笑)。
構図は安定したピラミッド型だが、聖トマスの指とキリストの手、視線を誘う導線は傷口への集中の後、螺旋のように渦巻く。
ここの絵画館は内容の面白さに関わらず、ガイド本は無いし、絵葉書も極端に少なく、鑑賞客なんてあまり期待して無いのかもしれない(^^;;。なにしろ開館時期も5月中旬から10月中旬だけで、前回なんて知らなかったから、11月に行ってがっかりしてしまったのだ。
<ベルリン>
・ ベルリン大聖堂 Berliner Dom
・ 旧ナショナルギャラリー Alte Nationalgalerie
・ ボーデ博物館 Bodemuseum
・ 国立絵画館 Gemaldegalerie
ベルリン大聖堂は大戦による焼け焦げ跡を纏いながらも威風堂々とした大聖堂だ。地下にホーエンツォレルン家の王様の棺が並んでいるのにはびっくり!ああ、ここはプロイセン王国だったんだなぁと思い起こす。
旧ナショナルギャラリーは意外にも仏印象派が充実。以前東博に来たマネ「温室にて」にも再会した。ここのセザンヌ作品には魅了されてしまった。あ、もちろんカスパー・フリーッドリッヒやベックリン作品も多く、象徴主義の神秘性や幻想性もしっかり味わうことができる。そう言えば意表を突くように、通路壁にセガンティーニ作品もあった。
ボーデ博物館はロマネスク・ゴシックから始まる主にキリスト教彫刻を中心にした作品が多く展示されていた。中でもやはりリーメンシュナイダーは特別だと思う。四人の聖人の木彫では、本のページや皮表紙の写実的な質感描写に唸ってしまった。
国立絵画館は言うまでも無く素晴らしい!今回は3度目ということもあり、観たい作品を重点的に抑えることにした。もちろんCARAVAGGIOのアモルにもご挨拶(笑)。ちなみに前回は展示されていなかった「黄金の兜の男」もあり、大阪のレンブランント(?)話題を含め西美以来の再開を果たしてきた。で、今回の重点チェックはヤン・ファン・エイク「聖堂の中の聖母子」で、教会の窓からの光に溜息!
続きはぼちぼちとし、以上、取りあえずの旅行報告としよう(^^;;;