花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

エルミタージュ美術館アムステルダム分館「Treasury!」展の感想(2)

2019-04-03 23:56:10 | 展覧会

エルミタージュ美術館アムステルダム分館「Treasury!」展の感想を続けよう。

こちらのペアは地域も時代も異なるが、 それぞれの時代のフォーマルな全身肖像画の典型だと思う。

(左)フランス・プルビュス(子)《マントヴァ公夫人マルガレーテ・ディ・サヴォイアの肖像》(1608年)

(右)作者不詳《中国清朝高官(zhenguo gong)の肖像》(1850年頃)

(左)フランス・プルビュブス(子)はルーヴル美術館《マリー・ド・メディシスの肖像》でお馴染みの画家であるが、やはり古風な画風の肖像画だ。だって、1608年って、ローマじゃカラヴァッジョが活躍していた時代だよ(ローマからの逃亡時代でもあるけど)。まぁ、サヴォイア家のマルガレータがマントヴァ公&モンセラート公(当時は世継の)フランチェスコ4世・ゴンザーガとの結婚肖像画らしいから、盛装したお堅い肖像画になるのは仕方が無いのかもしれない。それにしても、当時の流行とは言え、豪華すぎるレース襞襟で首が苦しくならないだろうか?などと心配してしまう

(右)解説には「清朝」とは出てこなかったが勝手に題名に入れた(;'∀')。だって1850年って時代的に清朝だし、道光帝か咸豊帝の時代だと思う。そうか、太平天国の時代だなぁ...。解説にはこの作品の題が「zhenguo gong(prince who protects the throne)」とされて来たとあったが、愛新覚羅の系統で当時の鎮國公って誰だ?? なるほど 皇帝の肖像画に準ずるような風格がある肖像画だと思った。ちなみに、朝服(補服)の胸には(多分)九蟒五爪(蟒五爪は確認できた)で、朝帽は紅珊瑚の頂戴と孔雀の羽で双眼。ネットで調べたら一品の大臣クラスに当たるようだ。

※参考:http://pengzi.maruzen.com/ziliao/chaopao03.htm

このペア2作品とも公的な肖像画という共通項が両者のおすましポーズとなっているが、片や西洋古典絵画における陰影のある写実の画風であり、片や東洋的(中国的)線描に基づく平面的絵画であるのが面白い。しかし、時代を遡って、ジュゼッペ・カスティリオーネ(Giuseppe Castiglione, 1688 - 1766年)による西洋風と東洋風のミックスした乾隆帝の肖像画もあるし、できたら3作が並べばもっと面白いのになぁと思ってしまった