東京国立博物館「正倉院の世界-皇室が守り伝えた美」展(前期&後期)を観た感想をサクッと(^^ゞ
https://artexhibition.jp/shosoin-tokyo2019/
本当は奈良の「正倉院展」を観るべきなのだろうが、如何せん仙台から奈良は遠く、宝物の一部とは言え、東京への引越展は嬉しかった。併せて正倉院の成り立ち(756年聖武天皇崩御供養)と歴史を、改めて勉強する良い機会でもあった。現在でも天皇の勅使が蔵の鍵を開ける儀式が行われているなんて凄いと思う。
展示は、有名な《螺鈿紫檀五絃琵琶》等の宝物から埃のような屑裂(正倉院裂の!)まで多岐に渡り、囲碁の碁石(模様付き色も鮮やかですっごく可愛い)とか、球体銀透彫《銀薫炉》(内部が巧妙!)とか、花柄のフェルト段通とか、水差し《漆胡瓶》(中国 唐または奈良時代・8世紀)とか、聖武天皇の身の回りの生活が想像されるのも興味深かった。
いうことで、まずは、その成り立ちを語る資料から。前期の展示だったので記憶が朧げなのだが、多分《東大寺献物帳(国家珍宝帳)》だと記憶している(間違っていたらごめんなさいっ💦)。光明皇后が「思い出の品を寄進するので、どうぞ聖武天皇が阿弥陀菩薩になれますように」と、仏教で国を治めようと努力してきた聖武天皇を本当に理解し応援していたんだろうなぁと、夫である天皇への深い愛情が切々と伝わって来る書面で、なんだかじーんとしてしまったのだ。
さて、今回の東京展の目玉は何と言っても前期展示の《螺鈿紫檀五絃琵琶》(中国 唐時代・8世紀)だろうと思う。
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000010076
長い時を超えた螺鈿細工の美しさはひと際オーラを放っていた!背面の螺鈿装飾が豪華!! この極めて貴重な琵琶の再現模造品も同時に展示してあり、制作過程の映像を見ると、一層昔日の匠たちの技術力に驚き、尚且つ、現代における再現挑戦をした現代の匠たちの存在自体も有難かった。
上記↑は展示室最後を飾っていた明治期に作られた《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》(1899年)
同じく螺鈿の美しさが際立つ《平螺鈿背八角鏡》(中国 唐時代・8世紀)にも当然!魅了された。鏡という道具を超えた美術品だと思う。できたら我が家にお持ち帰りしたいと思ったほど!!
有名な《黄熟香(蘭奢待)》(東南アジア)はその大きさに驚いてしまう。足利義政や織田信長などの切り取った跡が生々しく時代を映しており、権力者をも魅了してやまない香りの魔力をガラス越しに「見た」ような気がした(前期では展示室に良い香りが漂っていたが、もちろん蘭奢待ではないハズ)。
で、私的今回一番押しの宝物は《白瑠璃碗》(ササン朝ペルシア 6世紀ごろ)。
http://shosoin.kunaicho.go.jp/ja-JP/Treasure?id=0000011989
めちゃくちゃ私好みのガラスボウルだった!!透明な丸い切子の中に更に小さく丸い切子が刻まれており、光が当たると、小さな光が乱反射してきらきらと輝くのだ。ずっと見ていても見飽きないほどで、このボウル欲しいっ!!と切に思ってしまった
展示室の最後の方には、正倉院の一部実物大(?)模型がド~ンと設置されていて、大型映像とともに正倉院の全容も知ることができたし、尚且つ、現代でも正倉院を開けるには天皇の勅使による勅書が必要であり、その鍵を開ける儀式も映像で見ることができた。
上↑ は昔学校で習った校倉造り高床式倉庫よね。臨場感あり
上↑は勅書が折り込まれた正倉院の封印と錠前の再現模造品。
展示室の最後は先に画像を紹介した明治期に作られた再現模造品《模造 螺鈿紫檀五絃琵琶》と《模造 螺鈿紫檀阮咸》が展示されており、写真撮影ができるコーナーになっていた。
上↑は明治期に作られた《模造 螺鈿紫檀阮咸》(1899年)
今回、正倉院宝物の一部だけでも目にすることができたのは目の果報であり、当時の美意識やそれを支えた職人技、そして「正倉院」という類まれな保存装置(?)に心から感謝したくなった。世界に誇るべき日本の宝だよね