宮城県美術館「ポンペイ」展を観た感想をサクッと。
考古学的発掘によるポンペイ遺跡からの出土品の数々は、2000年前の当時の人々の暮らしを今に蘇らせてくれる。それこそ漫画「プリニウス」の世界がそこに広がっており、私的に本当に興味深く眺めてしまったし勉強にもなった。
特に面白かったのは、普通、発掘された邸宅遺跡の画像を見てもあまりピンとこないものだが、会場内に邸宅の実物大再現展示があり、当時の邸宅の様子を疑似体験できたことだ。
上↑写真は「竪琴奏者の家」の中庭(ペリステュリウム)で、ブロンズの動物像で飾られた噴水も実物大で再現されている。イオニア式の円柱が巡り、軒下には釣り飾り(オスキルム)が下がっている。会場床にもモザイク床再現が施されていて、なかなかに凝った趣向で喜ばせてくれた。
ちなみに、ポンペイの家々の呼称は、その家の特徴的な出土品に由来して名付けられていることが多いとのこと。「竪琴奏者の家」は下↓写真のブロンズ像《竪琴を弾くアポロ》出土による由来のようだ。
《竪琴を弾くアポロ》(前1世紀後半)ナポリ考古学博物館
で、展覧会にはもちろん遺跡出土の彫刻や装飾品など多くの作品が展示されていたが、私的にはやはり絵画の方に眼が行ってしまい、特に眼が喜んだのは《三美神》だった。その立体的身体表現(光による陰影!)や三人のポーズ構成など、その写実的描写を含め、2000年前の作品とは思えないほどだ。
《三美神》(前15~50年)ナポリ国立考古学博物館, 「ティトス・デンタティウス・パンテラの家」出土フレスコ画
なにしろ、この《三美神》はラファエッロも参考にしてる源泉なのだから。
ラファエッロ《三美神》(1504-05年)コンデ美術館
で、私的に、おおっ だったのは...もちろん↓作品との再会だった
。ミラノ「MITO E NATURA」展以来になる。
ご参考:https://blog.goo.ne.jp/kal1123/e/b17583580537817ad330b70cd034b039
《果物のある静物》(50~79年)アナポリ国立考古学博物館 「シカの家」(エルコラーノ)出土フレスコ画
なにしろ、クセニア!!「静物画」の起源なのである!!
この写実的描写を見て欲しい!!ガラスに反射し水を透す光まで捉えており、いびつながら遠近感をも表現している。いやぁ~、今回の展覧会に出展されているのを知らなかったので私的にすっかり喜んでしまったのだった。
ということで、サクっとし過ぎの感想だったが(汗)、数々の出土品や模型等、そして為になる解説で、ポンペイの歴史や現在も発掘が続く様子も含め、本当に色々お勉強できたし、満足感のある展覧会だった。本当は16日の芳賀京子先生の講演会も聴講したかったのだが、所用が有り聴講できなかったのが残念!!
なお、会場内は「写真撮影可」で、写真も色々撮ったので、気が向いたら(続)も有り得るかも??