ナンニ・モレッティ監督のイタリア映画「チネチッタで会いましょう(Il sol dell'avvenire)」を見た。
https://child-film.com/cinecitta/
主人公の映画監(モレッティ監督自身が演じている)が撮っている映画は、1956年のハンガリー動乱に対してのイタリア共産党員の政治的ジレンマ&恋愛ドラマ(?)なのだが、現実の主人公(監督)はと言うと、めんどくさい性格が災いし(?)妻から突然別れ話を切り出されたり...。物語は同時進行的に過去の二人(と思われる)のラブストーリーやら、「泳ぐ人」の映画化話やら、映画を取り巻く諸々の問題の発生もありで...果たして映画は無事に完成するのか??という波乱万丈のストーリーなのであった。
まぁ、ナンニ・モレッティらしく皮肉と風刺がたっぷりと効いた映画だが、まるで監督自身の映画論も織り込んだような台詞も多々あり、私的には監督の映画への愛が満ちているように思えた。サーカスが出てくるところなんてフェリーニへのオマージュのようだし、面白かったのは、建築家のレンゾ・ピアノがカメオ出演したり、ティツィアーノ《聖愛と俗愛》が出てきたり、なにより笑えたのはNetflixとの会議。なにしろ190カ国!だから
https://www.youtube.com/watch?v=_gM5Y7aI_Ck
ちなみに、イタリア語の先生曰く、原題の「Il sol dell'avvenire」は左翼的な言い回しだね、と言っていたが、うーん、なんだか皮肉を込めた「明るい明日(未来)」のような気もするのだけど。というよりも、明るい明日が来てほしいという希望なのかもしれない。
ということで、撮影している映画の中ではトリアッティの名が何度も出るのだが、字幕では「書記局長」(多分)になっていた。パルミーロ・トリアッティ(Palmiro Togliatti, 1893-1964)は、当時のイタリア共産党の指導者である。
撮影映画の中での共産党員のジレンマの原因は、1956年のハンガリー動乱において、トリアッティがソ連の介入に対して支持的な態度を示したことにある(プラハの春(1968年)においては、ソ連の介入に対して批判的な態度を示したけど)。現在はウクライナ侵攻...。
まぁ、イタリアの近現代史も色々とあったようで....
レナート・グットゥーゾ 《トリアッティの葬儀(I Funerali di Togliatti)》(1972年)ボローニャ近現代美術館
ボローニャは古くからの大学都市であり、政治的にはやはり左翼系が強い。なのでグットゥーゾのこの大作がボローニャ近現代美術館に展示されているのも何やらわかるような気がした。