宮城県「蔓延防止等重点措置」実施前に、滑り込みで映画「レンブラントは誰の手に」を見た。
感想を言わせてもらえば、題名は原題の「My Rembrandt(私のレンブラント)」にした方が良かったと思う。「レンブラントは誰の手に」だと感想も「ビミョー」と言うしかなくなるからだ。
なぜならば、ストーリーは3つの「私のレンブラント」をめぐる物語が交互に語られるもので、超サクッとまとめれば…
- バクルー公爵偏愛の所蔵作品のお屋敷内移動のお話。
- 画商ヤン・シックスによるレンブラント(?)作品鑑定・落札・出し抜き問題。
- ロスチャイルド男爵所蔵作品売却に伴うフランスとオランダの入手競争と落着。
- ちょこっと:アメリカの成金富豪のレンブラント・コレクション事始め。
すなわち、それぞれのレンブラント愛が語られるわけで、お金や名誉(個人も、国家も!)が絡むとややこしくなるのは当然と言うべきか、その辺をカメラは追うわけだが、「みんなのアムステルダム国立美術館へ」と比べると、どうも立ち上る皮肉やユーモアの冴えがイマイチなのだった(スミマセン)。
多分、扱う対象が「みんなのアムステルダム…」では館員や市民であるのに対し、「私のレンブラント」では所有者・研究者・画商・国家等の利害関係者であり、前者(みんなの)と後者(私の)ではその位相が異なるためだと思うのだ。敢えて言わせてもらえば、その奥のドロドロへのツッコミもちょっと浅いかも、と思った。
下記↓写真は2019年2月に撮ったもので、当時、アムステルダム国立美術館に展示されていた、旧ロスチャイルド男爵所蔵「ソールマン夫妻の肖像」1対(2点)。
レンブラント《マールテン・ソールマンの肖像》(1634年)
レンブラント《オープイエ・コピットの肖像》(1634年)
ちなみに、某先生の講座でこの映画が話題になり、受講者仲間が先生に「ヤン・シックスのレンブラント(?)作品はどう思われますか?」と質問した。「なんとも言えないですね。解釈の問題になると思います。」とのことだった。
映画にはレンブラント・リサーチ・プロジェクト(RRP)のウェテリンク教授(Ernst van de Wetering)も登場するが、先生にRRPの活動や終了経緯、併せて、故ブルイン(Josua Bruyn)とウェテリンクの師弟関係、レンブラント真贋判定における複雑な諸問題なども教えていただいた。真贋判定って単純ではなく、本当に色々複雑で難しいものなのね。