奈良の旅は思っていた以上に素晴らしい体験でした。
心が洗われる空気の中で過ごしました。
初めてお遍路という感覚がわかるような気がしました。
白装束で自然の中を歩き、寺を巡る。
何も持たず、すべての欲望を捨てて、浄化する。
いろいろな煩悩から自分を解き放ち、自然の中に耳を澄ます。
いつの世も人間は変わらない。
初日は室生寺と長谷寺、回れたら翌日に行く予定だった談山神社へという計画。
近鉄で室生口大野に向かう途中、灰色の瓦屋根の家が田園
風景の前に広がり、まるで安野光雅の絵のようで懐かしく感じました。
そういう風景は瞬間的に広がり、写真を撮る準備をしていないので
撮ることができないことが往々にしてありました。
晴れ女の私だったのですが、今回は天気予報、予想外の雨が降り出し、
なんとみぞれになってしまった室生寺。あわてて傘を買いました。
室生寺は3回目でしたが、以前のような神秘性は薄れましたが、
いつ行っても好きなお寺です。
隣で仏像を見ていた上品なご婦人が土門拳さんの写真ですねと
私に話しかけてきました。
横顔が美しい弥勒堂の釈迦如来坐像。横顔の方向から見れなくて残念でしたが
素晴らしい仏様です。
金堂では十一面観音像を何回も見ました。お気に入りの仏像です。
中世の芸術の気品を感じさせます。
五重塔も変わらず美しくそこにありました。
今回京都でなく、奈良を選んだのも、そんなそぎ取られたピュアなものを
求めていたからではなかったかと思いました。
1か月前くらいにスィッチ・インタビュ-という番組に能楽師・観世清和が
出ていて舞を舞ったのですが素晴らしく、祝福をまきながら去っていく
羽衣という演題だったかと思うのですがその表現と慈悲を人間に
投げかける仏像が重なりました。
今さらながら日本のいいところがたくさんあると思いました。
午後に向かった長谷寺では運がよく、法要とかさなり、その力強い宗教に
驚きました。一歩一歩の回廊を煩悩を捨て去りながら登り、本堂に向かいます。
手にお香を塗ってもらい、観音様との縁結びの五色の紐を手にブレスレットのように
結んでもらいました。
その優しい外観に反してパワーのすごくあるお寺でした。
肖像画や彫刻もみましたが、基礎を築いた徳道上人像が
印象的でした。当時は仏教を追及する僧侶が一番情熱が
あったのではないかとこの頃思っていますが、
その知的で力のある表情に畏敬を感じます。
その日に談山神社を入れるのは難しいかと思いましたが
同じ方向だったので、最初の計画に戻して桜井からバスで
向かいました。
途中の田園風景はどこかすごく懐かしく、そして非日常の風景でした。
川のふちに小さな柿の木が数本並んで、少しだけ実をつけていました。
こういう風景はあまり見たことはなかったと思いますが、懐かしくて
たまらなくなりました。もしかするとDNAの中にあるのかも知れません。
懐かしくもあり、この世のものでもないようにも思い、黒沢明が映画に
撮りそうな風景でもありました。
談山神社の帰りはバスを暗い中で結構長い時間待たなくては
ならず、神社の前の店でお茶でも飲んで待っていようかと思っていましたが
ライトアップをするという割には店もどんどん閉まって、明かりのない
世界になっていきました。あたたかいこんにゃくだけを買ってゆず味噌がついて
おいしかったけど・・・
山の上の真っ暗な世界というのもまた普段は体験できない世界でした。
奈良にやっとついてホテルが駅の近くと思い込んで、地図も打ち出さずに
きて、やはり迷って結構歩き回り、ぐったり疲れたけれど
素晴らしい奈良の初日でした。
2日目は朝興福寺や春日大社あたりを散歩して、かわいい鹿さんを
見たりしましたが、春日大社の狛犬の前で狛犬に少し似た感じの
台湾か中国の婦人が狛犬と一緒に写真を撮っていたので
ちょっと笑ってしまいました。
春日大社から戻り、予定通り正暦寺に向かいました。
これも臨時バスでしかも最後は細い山道となります。
空気が澄み、今回のお寺や神社はみな山深く、自然の中で
自分自身を清めるようなそんな場所です。
清々しく、自然が美しくこの山奥で当時はもっと建物もあり、
多くの僧が学んでいたとのことです。
錦の里と言われているとのことで、紅葉は素晴らしかったです。
着くとすぐ、金平糖とお茶を出していただきました。
ここに来るバスで前に若いカップルがいて二人とも小さなデジカメを
首から下げていました。話しているのを見たら、手話でしたが
その表情があまりにも美しく感動しました。
奈良駅に戻り、最後に談山神社を前の日に回したので京都によることにしました。
選んだのは醍醐寺。一番紅葉がきれいな東福寺はすごく混むとの予想です。
秋の醍醐寺は行ったことがなく、数日前TVでライトアップの中中継が
あったからです。醍醐寺ものどかな田園を過ぎた自然の中です。
そこでは迷子の放送があって70歳のおじいさんで笑ってしまいました。
最初は名前だけだったのですが、見つからないらしく、次は八つ橋の袋を持って
からし色のコートと詳しい情報のアナウンスが入りました。
Sとみつかったかなと心配しながら、醍醐寺を去りました。
醍醐寺の風景はやはり京都なのか雅で幽玄でした。
2日間命の洗濯をして、また大切なものが見つかったような旅でした。
また、行きの新幹線の中から歴史の中に入っていくのだと思いましたが、
室生に行く近鉄に乗っても、五十鈴川行きとか伊勢につながっているのですね。
京都、奈良、大阪とやはりすごい文化圏の中です。
さよなら京都
Nov.29-30 2013 Nara, Kyoto
心が洗われる空気の中で過ごしました。
初めてお遍路という感覚がわかるような気がしました。
白装束で自然の中を歩き、寺を巡る。
何も持たず、すべての欲望を捨てて、浄化する。
いろいろな煩悩から自分を解き放ち、自然の中に耳を澄ます。
いつの世も人間は変わらない。
初日は室生寺と長谷寺、回れたら翌日に行く予定だった談山神社へという計画。
近鉄で室生口大野に向かう途中、灰色の瓦屋根の家が田園
風景の前に広がり、まるで安野光雅の絵のようで懐かしく感じました。
そういう風景は瞬間的に広がり、写真を撮る準備をしていないので
撮ることができないことが往々にしてありました。
晴れ女の私だったのですが、今回は天気予報、予想外の雨が降り出し、
なんとみぞれになってしまった室生寺。あわてて傘を買いました。
室生寺は3回目でしたが、以前のような神秘性は薄れましたが、
いつ行っても好きなお寺です。
隣で仏像を見ていた上品なご婦人が土門拳さんの写真ですねと
私に話しかけてきました。
横顔が美しい弥勒堂の釈迦如来坐像。横顔の方向から見れなくて残念でしたが
素晴らしい仏様です。
金堂では十一面観音像を何回も見ました。お気に入りの仏像です。
中世の芸術の気品を感じさせます。
五重塔も変わらず美しくそこにありました。
今回京都でなく、奈良を選んだのも、そんなそぎ取られたピュアなものを
求めていたからではなかったかと思いました。
1か月前くらいにスィッチ・インタビュ-という番組に能楽師・観世清和が
出ていて舞を舞ったのですが素晴らしく、祝福をまきながら去っていく
羽衣という演題だったかと思うのですがその表現と慈悲を人間に
投げかける仏像が重なりました。
今さらながら日本のいいところがたくさんあると思いました。
午後に向かった長谷寺では運がよく、法要とかさなり、その力強い宗教に
驚きました。一歩一歩の回廊を煩悩を捨て去りながら登り、本堂に向かいます。
手にお香を塗ってもらい、観音様との縁結びの五色の紐を手にブレスレットのように
結んでもらいました。
その優しい外観に反してパワーのすごくあるお寺でした。
肖像画や彫刻もみましたが、基礎を築いた徳道上人像が
印象的でした。当時は仏教を追及する僧侶が一番情熱が
あったのではないかとこの頃思っていますが、
その知的で力のある表情に畏敬を感じます。
その日に談山神社を入れるのは難しいかと思いましたが
同じ方向だったので、最初の計画に戻して桜井からバスで
向かいました。
途中の田園風景はどこかすごく懐かしく、そして非日常の風景でした。
川のふちに小さな柿の木が数本並んで、少しだけ実をつけていました。
こういう風景はあまり見たことはなかったと思いますが、懐かしくて
たまらなくなりました。もしかするとDNAの中にあるのかも知れません。
懐かしくもあり、この世のものでもないようにも思い、黒沢明が映画に
撮りそうな風景でもありました。
談山神社の帰りはバスを暗い中で結構長い時間待たなくては
ならず、神社の前の店でお茶でも飲んで待っていようかと思っていましたが
ライトアップをするという割には店もどんどん閉まって、明かりのない
世界になっていきました。あたたかいこんにゃくだけを買ってゆず味噌がついて
おいしかったけど・・・
山の上の真っ暗な世界というのもまた普段は体験できない世界でした。
奈良にやっとついてホテルが駅の近くと思い込んで、地図も打ち出さずに
きて、やはり迷って結構歩き回り、ぐったり疲れたけれど
素晴らしい奈良の初日でした。
2日目は朝興福寺や春日大社あたりを散歩して、かわいい鹿さんを
見たりしましたが、春日大社の狛犬の前で狛犬に少し似た感じの
台湾か中国の婦人が狛犬と一緒に写真を撮っていたので
ちょっと笑ってしまいました。
春日大社から戻り、予定通り正暦寺に向かいました。
これも臨時バスでしかも最後は細い山道となります。
空気が澄み、今回のお寺や神社はみな山深く、自然の中で
自分自身を清めるようなそんな場所です。
清々しく、自然が美しくこの山奥で当時はもっと建物もあり、
多くの僧が学んでいたとのことです。
錦の里と言われているとのことで、紅葉は素晴らしかったです。
着くとすぐ、金平糖とお茶を出していただきました。
ここに来るバスで前に若いカップルがいて二人とも小さなデジカメを
首から下げていました。話しているのを見たら、手話でしたが
その表情があまりにも美しく感動しました。
奈良駅に戻り、最後に談山神社を前の日に回したので京都によることにしました。
選んだのは醍醐寺。一番紅葉がきれいな東福寺はすごく混むとの予想です。
秋の醍醐寺は行ったことがなく、数日前TVでライトアップの中中継が
あったからです。醍醐寺ものどかな田園を過ぎた自然の中です。
そこでは迷子の放送があって70歳のおじいさんで笑ってしまいました。
最初は名前だけだったのですが、見つからないらしく、次は八つ橋の袋を持って
からし色のコートと詳しい情報のアナウンスが入りました。
Sとみつかったかなと心配しながら、醍醐寺を去りました。
醍醐寺の風景はやはり京都なのか雅で幽玄でした。
2日間命の洗濯をして、また大切なものが見つかったような旅でした。
また、行きの新幹線の中から歴史の中に入っていくのだと思いましたが、
室生に行く近鉄に乗っても、五十鈴川行きとか伊勢につながっているのですね。
京都、奈良、大阪とやはりすごい文化圏の中です。
さよなら京都
Nov.29-30 2013 Nara, Kyoto