
仲代達矢といえば私が若い頃、一番素晴らしい日本の役者さんだと思っていた俳優です。
映画は小林正樹監督のものを少し見ただけですが。
そのころ、職場の先輩が結婚した相手がダンサーの田中泯。新婚旅行で平泉か佐渡か場所をよく覚えていないのですが
写真で能舞台にいる彼を見せてもらいました。その時に、仲代に似ていると思いました。すごくすてきな顔立ちでした。
後から舞台やお宅に遊びに行ったりしてお会いしましたが。
その田中泯がいまでは舞踊だけではなく、演技者として現在一番魅力的だと思います。ご自身はブログで舞踏家、俳優という
表記は使わないでほしい、ダンサーか舞踊家としてほしいとのことでした。

仲代達矢はこれから上映される「海辺のリア」を紹介するためにか、先週の金曜日のシブ5時というNHKの番組の
ゲストに出ていて、思わずチャンネルを合わせました。

それがTVのトーク番組とかに出るときはメークをしないとのこと。

「影武者」が見たくてちょうどスカパーを今月からBS日本映画チャンネルに登録変更をしたところで、
タイムリーに「乱」を見ることができました。マンションがCSのアンテナを立てたので、スカパーを
申し込んでいましたがほとんど使っていません。チャンネルを5個だけ契約しています。
黒澤の映画はまだ幼稚園くらいの頃、映画が好きな父親に連れられて、「七人の侍」とマクベスの日本版を
見ただけでした。幼稚園の子供に何がわかるでしょうか・・ マクベスでマクベス夫人・・多分山田五十鈴だったと思うけど
が血のついた手を洗っても洗っても落ちないシーンだけ記憶に残りました。(小学生のころで記憶に残っている両親と見た映画は
フェリーニの「道」や「赤い風船」「禁じられた遊び」「穢れなき悪戯」「ベン・ハー」など洋画が多かった。)
多分、「生きる」とか「羅生門」「赤ひげ」はTVで放送されたのを見ていたと思う。「羅生門」は鮮烈なイメージが残っています。
それで、今回だいぶ後の作品だけど初めてのちの黒澤映画を見て、すべてが水準を超えていて
驚きました。音楽が武満徹(指揮岩城宏之)。この映画で黒澤監督とケンカして決裂したようです。
衣装がワダエミ。
キャスト
仲代達矢 一文字秀虎
寺尾 聰 一文字太郎孝虎
根津甚八 一文字次郎正虎
隆 大介 一文字三郎直虎
原田美枝子 楓の方
宮崎美子 末の方
野村武司 鶴丸
井川比佐志 鉄修理
ピーター 狂阿彌
なんと野村萬斎17才、本名で出ていました。
衣装が少し派手ではありましたが、素晴らしく、映画全体が古さを全く感じさせません。
テーマだって人間が愚かなことをやり続ける限り普遍です。
(悪はなぜ存在するのかと思ったり、神は人間を神に近づけたくないために
戒めで悪を残すのかと思うくらい。)
自然の描写がすばらしく美しく、また馬とかもすごく美しいのです。
隅々まで黒澤の美学に貫かれているのですね。
映画はまるでシェイクスピア劇のようでしたが、もともとシェイクスピアのリア王だから
当たり前か・・
仲代達矢の存在感はすごいけれど、原田美枝子の能面みたいな顔もすごい。
最近亡くなった根津甚八も懐かしく思い出した。
BS日本映画Chでは今月、仲代の映画の特集なので、最近の小林政広監督の「春との旅」
や久しぶりに小林正樹監督の「切腹」も見てみたい。
小林正樹監督で今までに見た映画は
切腹
いのちぼうにふろう
化石(佐分利 信、岸恵子)
上記2件はTVで見て、化石は試写会の件をもらって見に行きました。
なんだか邦画ってなかなか見なかった。映画自体それほど見ていたわけでなく。
なんと映画の世界でも原点に戻っていて、また繰り返す私。