Reflections

時のかけらたち

海よりもまだ深く ・・・ after the storm

2017-06-20 23:59:55 | movie


この映画の英文タイトルは直訳ではありませんでしたが、
映画のタイトルなので訳にはしませんでした。

是枝監督の私にとって初めての映画です。今までスカパーをほとんど利用していなかったので
今慌てて元取っています。なんとルイサダのコンサートの後、家に帰ってから見ました。

以前TVで「海街ダイアリ」をやっていたのですが、あまり面白くなかったので
途中で見るのをやめてしまったことがあります。

「海よりも深く」はどこにでもいるような人を描いて、まるで映画ではないような映画です。
小津の感じに似ているのかな・・・





スタッフ
監督 是枝裕和
原案・脚本 是枝裕和
音楽 ハナレグミ

キャスト
阿部寛 良多
真木よう子 白石響子
小林聡美 中島千奈津
リリー・フランキー 山辺康一郎
池松壮亮 町田健斗
吉澤太陽 白石真悟
橋爪功仁 井田満
樹木希林 篠田淑子
中村ゆり
高橋和也
小澤征悦
峯村リエ
古舘寛治
葉山奨之
ミッキー・カーチス

この映画で一番素晴らしかったのは樹木希林。この人を多くの監督が使いたがるのがわかります。
ものすごい存在感と、セリフが自然に本人から出てきたセリフのようなの。

この映画は
「みんながなりたかった大人になれるわけじゃない」をテーマにして、嵐の後にやっと次に向けて
出発することができる主人公を描いています。樹木希林も息子夫婦が元に戻ってくれることを
心から願っていたと思うけれど、過去と未来の間で苦しんでいる息子に対して、
今を愛することができれば幸せになれると語る。
「なんで男は今を愛せないのかねえ」「海より深く人を好きになったことなんてないから生きていける」
小説家としてかつて賞を取った主人公はまだ小説を書き続けることを夢見、奥さんには愛想をつかされて離婚。
過去にこだわらず、未来に夢を見すぎずにいれば幸せになれるのにと。
息子に嵐の中で、思っていた自分になれなくても、夢を持っているのと持っていないのとは
全然違うと語る主人公。やっと最後に過去を振り切れた主人公にそこまで行くのが
大変だったろうけど、すがすがしさを感じた。海よりも深く人を愛せばそこを抜け出すことが
難しくなる。樹木希林の言葉は最初逆説的かと思ったけど、そうではない。

是枝監督のインタヴューより

第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門に選出された是枝裕和監督の最新作「海よりもまだ深く」が、5月21日から全国で公開される。
9歳から28歳まで住んでいた東京・清瀬市の旭が丘団地で撮影したオリジナル作品に込めた思いについて...

阿部さん演じる息子をはじめ、母親や別れた元妻も「こんなはずじゃなかった」という思いを抱きながら、夢見た未来とは違って
しまった今を懸命に生きています。そして、映画の主な舞台になる団地も、建設された当時とは、いろんな意味で違う着地に
たどりつきつつある。そうした登場人物と団地の人生を重ねられたら面白いと思ったんです。


是枝裕和が影響を受けた映画のまとめをブログ「映画に狂って」から引用させていただきました。
「Sight&Sound」の「映画監督が選ぶ史上最高の映画(2012)」より抜粋

ラルジャン ロベール・ブレッソン
恋恋風塵 ホウ・シャオシェン
浮雲 成瀬巳喜男/岡本喜八
ケス ケン・ローチ
旅芸人の記録 テオ・アンゲロプロス
シェルブールの雨傘 ジャック・ドゥミ

・「Lifestyle」の「新作『海街diary』が公開。時間と家族を端正に描き続ける是枝監督のこだわりとは?」より
稲妻 成瀬巳喜男
めし 成瀬巳喜男
父ありき 小津安二郎
大人の見る繪本 生れてはみたけれど 小津安二郎

「是枝監督が溝口作品への思いを語る。カンヌ・クラシック部門『残菊物語』」より

近松物語 溝口健二
東京物語 小津安二郎/今村昌平
山椒大夫 溝口健二
残菊物語 溝口健二


・「誰も知らない“是枝先生”」インタビュー」で語っていた監督・作品

フェデリコ・フェリーニ
フランソワ・トリュフォー
黒澤明
小津安二郎
成瀬巳喜男
溝口健二

ケス、旅芸人、シェルブールと私の好きな映画が入っていて嬉しかった。
挙げた監督の名前は納得。
コメント
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