5月4日に最終を迎えるイタリア映画を銀座のミニシアターに見に行きました。イタリア語の先生と
この映画を見たA子さんからもおすすめがあり、連休はイタリア映画を見に行こうかと・・
銀座は数年ぶりに見る多くの観光客でにぎわいを見せていました。地下鉄もまるでラッシュアワーでした。
昔の光景が戻ってきました。
II DIRITTO ALLA FELICITA
2023年3月3日(金)公開 / 上映時間:84分 / 製作:2021年(伊)
スタッフ
監督・脚本:クラウディオ・ロッシ・マッシミ
撮影:ジャンルカ・ガルッチ
キャスト
リベロ:レモ・ジローネ
ニコラ:コッラード・フォルトゥーナ
エシエン:ディディー・ローレンツ・チュンブ
収集家:モーニ・オヴァディア
この映画の最初にユニセフに捧げると出てきたので、何かあるなと思っていましたが、最後にやられました。
もしまだご覧になっていなくてこれから見る予定がある方はネタバレになるので、これから先は読まないで
くださいね。
私はLiberoまさに自由と言う名前の店主が最後にエシエンに渡した本に不意を突かれて、涙が出そうになりました。
今朝ニュースでまたウクライナのあちこちでロシアからの攻撃を受けて、市民が殺されたことを見たあとだったから
かもしれません。
移民のエシエンに本を読む楽しさを教えて、それも徐々に考えるような作品になって行くところもこちら側も
ワクワク感がありました。私が最も好きな作家に入るサン・テクジュペリやメルヴィルやジャック・ロンドンまで
出てくるのねなんて思いながら本を読む楽しさを思い出していました。今の子供たちや大人も本を読まなくなったと思い
危惧していて、電子媒体ばかりの世の中でいいのだろうかと思っている現代です。監督も紙に印刷された本の大切さと
その感覚を思い出してほしいとインタヴューで語っていました。私も最近少しずつですが、本を読む時間が増えてきました。
(ChatGPTに前向きな政府もとんでもないと思うこの頃です。日本はITの遅れを取り戻そうとしているとか・・)
本屋さんに出入りする人たちとのそれぞれに対する対応もおもしろく、Liberoが自分の人生と重ねるように読む
日記もどこかミステリアスでした。
最後に移民のエシエンに渡した本はなんと「世界人権宣言」だったのです。そして亡くなったときに用意していた手紙に
自由で幸せになる権利がみんなにあると書かれていたところに涙がたまってきてしまいました。映画のタイトルが日本語と
イタリア語で全然違っていたことに最初に気づくべきでした。
1948年12月10日 第3回国連総会で採択
第1条
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを
授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。
クラウディオ・ロッシ・マッシミ監督のメッセージ
私は本作を通して人と人の間にある、本当に大事なことは何なのか、愛とは何なのかを伝えたいと思います。
久しぶりに映画が終わってからすぐ立ち上がれない映画を見ました。イタリアってこういう映画が作れるのだと
驚きます。今こそ見るべき映画だと思いました。
1948年にこんなに立派な宣言が国際的にあるのに、この現代はなんと自由や人権が踏みにじられているのだろうと
もう一度宣言を出してもいいくらいだと思いました。
だれもが幸福になる権利を持つという言葉にあふれそうになる涙を抑えるのがたいへんでした。クレジットが
すごく長くてよかった。
映画を見たあと、混雑する銀座の中では静かになれる教文館のカフェで
少し気持ちを整えてから家に帰りました。
April 29 2023 Ginza