Reflections

時のかけらたち

KEW王立植物園公式画家の山中麻須美さんの講演会へ・・・lecture by Masumi Ymanaka

2022-04-05 23:59:09 | people

4月3日

小雨が降る小石川植物園でボタニカル・アーティストの山中さんの講演を聞きに午前中出かけました。
昨日は一日家にいたのですが、どうしても聞きたい講演会だったので、坂道、階段はできるだけ避けて
休みながら気を付けて歩きました。 

小石川植物園で植物画教室があり、申し込んだのですが、申込者多数のため抽選に落ちてしまい
山中さんが落ちた人を対象にして講演会を企画してくださり、人数が多かったので4回に分けて行われ
今日が初日だったと思いますがオンラインでも開催されていてたくさんの質問が届きました。

講演は植物画の歴史とかイギリスでの歴史が中心で、講演の後、簡単に描き方の
デモンストレーションがありました。サイエンスとアート、キューガーデンとボタニカルアートの
歴史など話が多岐にわたりワクワクが止まりませんでした。

 

私が桜の花に見とれてほんの数分遅刻して小さな会場に入ったら、空いていたのは一番前・・
そこに座ってお話を聞いていて、パッと頭の中に電気がついたのが、シドニー・パーキンソンの絵を見せて
いただいたとき。そこからメモを取り始めました。それまでのボタニカルアートの分類や、キュー王立植物園
(キューガーデン)の歴史とかメモを取っていればよかったと思いました。特に植民地時代のインドの画家による
カンパニースクールの絵やキューにまつわる人たちについても・・

カーティス・ボタニカル・マガジンのウィリアム・カーティス、ウィリアム・フッカーとジョセフ・フッカー親子、
ダーウィンも出入りしていたフッカーの家や、リヴィングストン、クックなどが持ち帰る珍しい植物。

ジョセフ・バンクスに仕え、キャプテン・クックとともにエンデヴァーで探検に行き、伝染病にかかり26歳で
ジャカルタで亡くなったシドニー・パーキンソン。

  切手にもなっているパーキンソン

 

 

シドニー・バーキンソンの絵はこちらへ

他に印象に残ったエピソードはベアトリックス・ポッターはキノコを専門に描いていてキュー・ガーデンに
絵を送っても見てもらえず、採用されなかったとのことで、もし採用されていたら、植物画の画家になっていて
ピーター・ラビットは生まれていなかったかもという話。

今キュー・ガーデンにギャラリーがあるシャーリー・シャーウッドという画家のことも紹介されました。
とても印象に残ったのはマーガレット・ミーという画家。彼女はアマゾンの自然を研究し、アマゾンの熱帯雨林の探検
を続け、地球環境の保護運動も行っていました。しかしイギリスに帰国中に交通事故で亡くなってしまったとの事です。
あんなに危険なアマゾンで生きていたのに。マーガレット・ミー財団では植物画の勉強がキュー王立美術館でできるという
恵まれた制度があるのだけれど、自然保護に尽くすことが義務化されているとのことです。

キュー・ガーデンはマダガスカルにも拠点があり、そこでの自然破壊もすごいとのことです。ものすごい勢いで
森林がなくなっているとか。先生もそこに滞在していたことがあるそうです。コロナのおかげでプロジェクトが
ストップしていて、今小石川に来て小笠原の絶滅危惧種の研究とかできるとのお話でした。

最後に先生がおっしゃったことは植物が地球環境を支えている、ひとつの植物が絶滅すればそれが昆虫や他の動物等にも
多くの変化が起こるので地球環境の破壊を食い止めることに少しでも役立ちたいと思うということ。
そして美しいだけでなく、植物の役割や科学性も表したいと。植物画という芸術と科学が重なったジャンルです。

講演が終わってたくさんの質問が出ていましたが、私がふとデモンストレーションの準備のためにスタッフが作業
している間に、日本人がキュー・ガーデンの専属アーティストになかなかなれないと思うけどどうしてなったのかと
質問したら、その答えがすごくおもしろかったです。やっぱりなかなかなれるものではないらしい。まず居住していないと
だめで、以前は居住権を簡単に取れたとのことです。食器のデザイナーだった彼女はロンドンに駐在して、ガンを発病して
お見舞いの花に癒されたのが花との出会いで、再発した時にやりたいことをすることに決めて、仕事をやめて、家を買って
植物画の練習をしたとのことです。キューのデザイナーに絵を見てもらいたくて何度もトライして、とうとう彼女の家まで
行って見てもらい、勉強したかったらキュー・ガーデンの図書館の図録を見なさいと言われ、図書館に通いつめ、図書館の
引っ越しの時に手伝っているうちに図書館の不法滞在者となってしまったそうです。コンテストにも入賞して、先生たちに
依頼されるようになり、ついにキュー王立植物園の専属デザイナーの一人になってしまったそうです。チーフは最初に
絵を見ていただいた方です。

参考)
山中麻須美
コロナ禍のイギリスとドイツからのお便り
「キューガーデン 英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート」が東京都庭園美術館で開催
キューガーデン英国王室が愛した花々 シャーロット王妃とボタニカルアート 山梨美術館
博物画家シドニー・パーキンソン

山中さんがボタニカルアーティストになった過程が書かれていました。
今までキャプテンクック探検航海と『バンクス花譜集』や大英自然史博物館展とかいろいろやっていたのですね。
大英自然史博物館にはシドニー・パーキンソンの絵もたくさん保管されています。

いろいろな展覧会があったのに気が付かずに残念でした。キューガーデンはやっているのは知っていましたが、王立植物園を何やら
イングリッシュ・ガーデンのように軽く考えていました。昨年の科学博物館での植物展は少し期待外れでした。

山中先生は奈良でも万葉植物のプロジェクトを進行中で、展覧会のことも教えていただきました。
この展覧会はこの後昭和記念公園でも開催されるとのことです。

 

講演会に出席するため、正確な交通手段を使って、いつものバスはやめてJR+地下鉄で
茗荷谷の駅からゆっくり歩きました。

播磨坂は桜まつりの開催中。

 

 

長く続く播磨坂、この坂は帰りには登れないと他の交通手段を考えながら、下って行きました。

坂道沿いの家も花がきれいです。

 

 

 

 

 

久々の小石川植物園に入りました。

 

 

桜を見ながら、会場の柴田記念館へ向かいます。

 

 

April 3  2022  Koishikawa

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