碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

井上ひさしさん追悼公演

2010年05月24日 | 舞台・音楽・アート

女優の熊谷真実さんから、舞台の案内をいただいた。

井上ひさしさんの追悼公演『黙阿弥オペラ』である。

真実さんは、4月から行われている井上さんの<東京裁判3部作>一挙上演のうち、『夢の裂け目』と『夢の痂』にも出演している。

この評伝劇『黙阿弥オペラ』は、これまで一度も観ていない。

「月も朧に白魚の篝の霞む春の空…」あの名台詞を生み出した歌舞伎狂言作者の最後の巨人・河竹黙阿弥。ひょんなことから、そば店主とら、ざる売りの五郎蔵、噺し家の円八、不良少年の身投げ小僧、浪人者の及川孝之進らと意気投合したのは江戸も末。時は明治に移り、文明開花に巻き込まれ、世の変転に右往左往の仲間たち、ついに我等が黙阿弥にオペラを書くよう迫りだす・・・。

7月18日から8月22日まで、新宿南口の紀伊国屋サザンシアター。

まだしばらく先だ。

新国立劇場での『夢の痂』公演は6月。

その前に、先日出版されたばかりの『組曲虐殺』(集英社)も読んでおきたい。

プロレタリア作家・小林多喜二の生涯を描いた、井上さん最期の戯曲だ。

ハンク・ジョーンズの死とスイングジャーナルの休刊

2010年05月18日 | 舞台・音楽・アート

今日、新聞で知った2つのニュース。

「米国の伝説的ジャズ・ピアニスト、ハンク・ジョーンズ(Hank Jones)が、5月16日ニューヨーク・ブロンクスで死去。享年91」

「ジャズ専門誌『スイングジャーナル』が2010年6月19日発売の7月号で休刊することが分かった。5月20日発売の6月号で正式発表する」

ハンク・ジョーンズの死とスイングジャーナルの休刊。

うーん、なんだかなあ、せつないよなあ。

で、研究室から歩いて5分のジャズ喫茶「いーぐる」へ。

そりゃ、行ったからといって、いきなりハンク・ジョーンズが聴けるわけじゃないけど。

「いーぐる」のJBLの前で、両者に対して合掌。

YouTubeで評判の“就活ソング”

2010年05月08日 | 舞台・音楽・アート

YouTubeで評判の“就活ソング”があるというので、見て(聴いて)みた。

すると、画面の中で仲間と二人で歌っているのは、「テレビ局はNHKとフジテレビしか受けない」と豪語していた東大生のM君じゃないか。

採用試験の結果はすでに出ているはずだが(笑)、ストレス発散とばかりに歌う姿が笑える。


♪「エントリーシート」
http://www.youtube.com/watch?v=sfUaYfATUAU

♪「めざせ!ナイテイゲッター」
http://www.youtube.com/watch?v=4XFdKSinqLw&feature=channel


どちらも、有名なアノ歌の“替え歌”。

でも、おかしい(笑)。

まだ聴いてない学生諸君は、ぜひ、お試しあれ。

元気が出てきますぞ。

がんばれ、就活生!

ジャズ喫茶「いーぐる」の後で

2010年05月02日 | 舞台・音楽・アート

ジャズ喫茶「いーぐる」初体験、無事終了。

あ、そういえば後藤さんらしき人がいたけど、ちゃんと見なかったなあ(笑)。

研究室に戻って、後藤さんの本を取り出す。

『JAZZ百番勝負』もどこかにあるはずだが、見つからない。

『ジャズ喫茶四谷「いーぐる」の100枚』をパラパラめくりながら、連休が明けたら、また行こう、これからはいつでも行けるんだ、と思うと嬉しくなった。


ジャズ喫茶「いーぐる」で

2010年05月02日 | 舞台・音楽・アート

いつかそのドアを開ける時が来るだろうと、ずっと楽しみにしていたジャズ喫茶「いーぐる」。

それがついに来たんですねえ(笑)。

ああ、この看板、この文字。

階段を下りていく。地下ってのがいいよね。

ドアを開け、店内に入る。

おお、ジャズが流れている(当たり前だ)。

これが噂の「いーぐる」の音。「いーぐる」のJBLの音か。

お客さんが点在している。

奥へと進む。ほとんどスピーカーの前の席だ。

木のテーブル。木の椅子。グリーン系の座席。

コーヒーをお願いする。

ジャズ喫茶自体、久しぶりだ。新宿以来。

ああ、ピアノが気持ちいいなあ。

誰だろう、まあ、誰でもいいや。「いーぐる」のJBLの前で聴いているんだから。

コーヒーがくる。やや苦め。結構です。ジャズ喫茶のコーヒーは苦くなくちゃ(笑)。

曲がサックスに変わったぞ。

誰だろう、まあ、誰でもいいのだ、今日は。

ついに、あのジャズ喫茶「いーぐる」に来たのだから。

ジャズ喫茶「いーぐる」へ

2010年05月02日 | 舞台・音楽・アート

「いつか行きたい」と思っていて、しかも行く気になれば可能で、それでもずっと行かないで、いわば“とっておいた”場所がいくつもある。

たとえば、映画『男はつらいよ』シリーズの舞台である、葛飾柴又。

参道も帝釈天も、すでに数十年も“とって”ある(笑)。

四谷のジャズ喫茶「いーぐる」もその一つだ。

私は、ごく普通レベルのジャズファンだけど、お店の名前は、遥か以前から知っている。

場所も分かっている。

マスターである後藤雅洋さんの本だって、何冊も読んでいる。

ずっと行きたいと思っていた。

でも、これまで足を運ばなかった。

やはり、お楽しみとして、“とっておいた”のだ(笑)。

まさか、「いーぐる」から徒歩数分の所が、自分の仕事場になるとは思っていませんでした。

一日遅れで加藤和彦さんの誕生日を祝う

2010年03月22日 | 舞台・音楽・アート

昨日(3月21日)は、昨年秋に亡くなった加藤和彦さんの誕生日だった。

1947年生まれの団塊世代。

お元気であれば63歳になっていたはずだ。

KAWADE夢ムック文藝別冊『<総特集>追悼・加藤和彦~あの素晴らしい音をもう一度』(河出書房新社)を入手した。

加藤さんへのロングインタビューやエッセイ、小田和正や細野晴臣との対談、何人もの追悼文、論考などが集められている。

インタビューが行われたのは6年前の今日(3月22日)だ。

その中で、「常々、僕言ってるんだ。全部任せられるプロデューサーがいたら任せたいって。いないから自分でやってきたわけで」と語っているのが印象的。

確かに、加藤和彦をプロデュースできるプロデューサーは、探すのが難しい。

というか、加藤和彦を加藤和彦以上にプロデュースできるプロデューサーは、なかなかいないだろう。

それくらい音楽に関して“一筋縄のひと”じゃなかったわけで。

「世の中は音楽なんて必要としていないし。私にも今は必要もない。創りたくもなくなってしまった。死にたいというより、むしろ生きていたくない。生きる場所がない、という思いが私に決断をさせた」(一般向け遺書)

加藤さんは、ずっと自分の「場所」は自分で創ってきたから、やはり誰かが用意したそれではダメだったかもしれないなあ。

自分の仕事、生活に関して、細部に至るまで“完璧主義のひと”だったと思うが、自身の「これから」についても完璧であろうとしたのかもしれない。わからないけど。


一日遅れですが、加藤さん、誕生日おめでとうございます。

ラッパ屋の新作『世界の秘密と田中』がいい

2010年01月11日 | 舞台・音楽・アート

新宿・紀伊国屋ホールで、ラッパ屋の新作『世界の秘密と田中』を観てきた。

入口に立ち、温厚な笑顔で観客を出迎えていた鈴木聡さん(脚本・演出)にご挨拶。

鈴木さんにお会いするのは、前回の公演『ブラジル』(やはり紀伊国屋ホールだった)以来で、ちょうど1年ぶりになる。

昨年の暮れに、朝日新聞紙上で<「小劇場再興」宣言>と題された鈴木さんのインタビュー記事を読んだ。

ラッパ屋の公演を、年2回(これまでは1~2年に1回)に増やして、「中高年にもアピールしたい」と語っていた。結構なことです。

さて、『世界の秘密と田中』である。

都内のアパートに住む39歳のサラリーマン・田中(福本伸一さん)と、同じアパートの住人や恋人や家族など、彼を取り巻く人々の群像劇。

木村靖司さん、おかやまはじめさん、俵木藤太さん、三鴨絵里子さん、大草理乙子さん、岩橋道子さんなど、いつもの面々も大車輪だ。

特に、40歳、60歳(定年でもある)という、世の中でなんとなく“区切り”と思われている年齢を目前にした人たちが軸となる。

彼らの、「自分の人生、なんでこんななんだろう」「思い描いていた人生と違うような気がするんだけど」「このまま終わっていくのかな」といった焦燥感や苛立ちや諦念が噴出するのだ。

笑ってばかりもいられない話なのだが、そこはラッパ屋というか鈴木さん、笑わせながら深いところを突いてくる。

この芝居、オーバーに言えば、“生きることの意味”“人生の意味”といったものに触れたような気がするのだ。

これは全くの独断だけれど、この作品で、ラッパ屋(そして鈴木さん)は一歩も二歩も進化というか、深化というか、もしくは新たな段階(次元)へと踏み出したのではないか、と思う。

じゃあ、「世界の秘密」とは何か。

まあ、それは観てのお楽しみにしていただいて(笑)。

観終わって、鈴木さんの言う「人間の心理のアヤ」「世間の機微」について考えながら新宿の雑踏へと入っていく時、周囲の風景や歩く人たちが、来る時とはちょっとだけ違って見えた。

(公演は17日まで紀伊国屋ホール。その後、大阪、北九州)

今年の”聴き初め”は、昭和の音と音楽

2010年01月01日 | 舞台・音楽・アート

弟が、ブログを立ち上げた。

タイトルは「浪漫紀行」。

「昭和のなつかしいメロディを、当時のオーディオ機器で鑑賞します」と説明がある。

で、これが結構充実の内容。

趣味で集めた古いオーディオ機器、特に昭和のレコード・プレーヤーを公開しているのだ。

歯科医師としての腕を生かし(笑)、壊れていたものを修理して、実際に使えるように再生。

さらに、当時のレコードをかけて、聴かせてくれる。

動画なので、懐かしいプレーヤーが動き、曲が流れる様子を目と耳で楽しめるのだ。

かなりマニアックですが(笑)、よかったら、立ち寄ってみてください。


浪漫紀行
http://keiai1515.blog51.fc2.com/


というわけで、今年の”聴き初め”は、昭和の音と音楽でした。

「ラッパ屋」の新作がやってくる

2009年12月23日 | 舞台・音楽・アート

劇団「ラッパ屋」の公演案内が届いた。

鈴木聡さん書き下ろしの新作は「世界の秘密と田中」だ。

これまでも、「斉藤幸子」だの「凄い金魚」だの、いつも人を喰ったというか、とぼけたようなタイトルで煙に巻くのが鈴木流。

それにしても「世界の秘密」って何?「田中」って誰?(笑)

まあ、それはきっと1月の公演を見れば分かるんでしょう。楽しみにしておきます。

思えば、1993年の舞台「アロハ台風」が私の「ラッパ屋」初体験で、以来16年も“追っかけ”をやっている。

70年代の「つかこうへい事務所」を除けば、一番ごひいきの劇団になってしまった。

つかこうへい脚本・演出の、三浦洋一・加藤健一・平田満らによる「熱海殺人事件」の衝撃は今も忘れられない。


「世界の秘密と田中」は、1月9日~17日、紀伊国屋ホールで上演される。

ラッパ屋といえば新宿「シアタートップス」というイメージだったが、今年の3月に閉じてしまった。寂しいねえ。

いやいや、そんなことを嘆いていても仕方がない。紀伊国屋ホールもまた、ラッパ屋にとっては馴染みの小屋になっている。

正月早々、ラッパ屋が見られるだけでも嬉しいじゃないの。大いに期待しよう。

舞台『蛮幽鬼』を観た

2009年10月24日 | 舞台・音楽・アート

新橋演舞場で、舞台『蛮幽鬼』を観てきた。

劇団☆新感線だ。

例によって美術、音楽、照明のケレン、メリハリがかっこいい。

さらに、映像も有効に使って、見せ場もたっぷりだった。

主演は、毎度ごひいきの上川隆也さん。復讐の鬼となって、大迫力だ。

堺雅人さん。映画もいいけど、舞台もよかった。笑いながら人を殺しまくる役がドンピシャ。

稲森いずみさん。いやあ、美しゅうございました。難しいはずの舞台で、大健闘。

早乙女太一さん。これまた、妖しくも美しく。殺陣も上手い。

途中、休憩をはさんでの大作は、ナマの舞台の醍醐味でありました。

観てよかった。

「方言指導」担当の舞台『君愛せし山河』を鑑賞

2009年07月11日 | 舞台・音楽・アート

新宿駅西口近くの「スペース107」で、阿木翁助・上條逸雄 7thメモリアル公演『ラジオドラマ 青いカナリア』&『君愛せし山河』を鑑賞。

特に「方言指導」を担当させていただいた『君愛せし山河』は、自分の演出作でもプロデュース作でもないのに、観る前から結構緊張した。これも初体験だ。

ロビーで、演出の嶋田親一先生にお目にかかったが、ご挨拶していても、まだどきどきしていた。

しかし、一旦幕が開いてみれば、もうそこはプロの役者さんたちの独壇場。

むしろ稽古の時よりも流暢な信州弁を聞くことができた。

私も少しはお役に立てたようだ。

霞優子さん演じるヒロインの久子をはじめ、出演者全員が、それぞれの人物と化している。

一途に人を思う女ごころ。少年時代の仲間たちの友情。彼らの胸の中で生き続ける恩師の言葉・・・。

ああ、やはり舞台はいいねえ。

生身の人間が、ナマで演じているのを、リアルタイムで観させてもらうことのゼイタクさ。

『ラジオドラマ 青いカナリア』もよかった。

巨匠・阿木翁助のシナリオもさることながら、本来は音だけで表現される世界を、目の前で作り出している役者さんたちもすごい。

昭和20年代の作だが、人情というか、人の気持ちというのは、そう変わるものではないのだ。

8日に始まったこの「阿木翁助・上條逸雄 7thメモリアル公演」は、12日(日)までだ。

7/11(土) 14:00 / 18:30
7/12(日) 14:00
※開場は開演の30分前。

チケット料金:
全席日にち指定自由席(一公演200席限定)
前売・予約 4,000円 / 当日 5,000円
お問合せ・チケット予約:
TEL:090-3468-6868(後藤まで)

舞台『君愛せし山河』の公演、近づく

2009年07月04日 | 舞台・音楽・アート

8日が初日となる舞台『君愛せし山河』(脚本:上條逸雄 演出:嶋田親一)の稽古が佳境だ。

稽古場での役者さんたちも、だんだん“役の顔”になってきている。

そんな稽古場の雰囲気が好きだ。


北アルプスが見える谷あいの村に、古くからある旅館「森田館」が舞台。

故・森田悠一郎は旅館の主であり、また地元の子どもたちにとっては大切な“先生”でもあった。

その悠一郎の七回忌に、かつての“教え子”たちが集まってくる。一人一人が「その後の人生」を抱えて・・・。


ドラマと演劇の違いはいろいろあるが、こうして連日稽古を積み重ねていくという作り方は、やはり舞台ならではだと思う。

嶋田先生は確か78歳になるはずだが、年齢など忘れさせるほどお元気で、その的確な指導も見事というしかない。

それは、この芝居の脚本家・上條逸雄さんが早稲田大学時代からの親友であり、これが追悼公演であることと無関係ではない。深い思い入れがあるのだ。

上條さんが手がけたドラマは、「これが青春だ」「でっかい青春」「おれは男だ!」「サインはV」「アテンションプリーズ」「積木くずし」など数えきれないほどだ。

そんな上條さんは、演劇や放送の世界に大きな足跡を残した劇作家・阿木翁助さんの”甥っ子”に当たる。

ちなみに、フジテレビの笠井信輔アナウンサーは、阿木さんの”お孫さん”だ。

そして、今年の8月は上條さんの没後7年に当たり、しかも“叔父”である阿木さんの没後7年でもある。二人は同じ2002年に、70歳と90歳で亡くなった。

まさに、この芝居の設定と同じ「七回忌」なのである。

嶋田先生をはじめとする、阿木さん・上條さんにゆかりの人たちが集まって、今回の追悼公演が行われる・・・。

“人と人の縁”を思わずにいられない。


今回の私の役割である“方言指導”は、ほぼ完了。

信州を舞台にした、信州人だけが出てくる芝居だが、上條さん(信州・諏訪の出身)が書いた脚本は全編標準語だ。

嶋田先生が選んだ「方言にすることが有効な台詞」にのみ方言を使っている。

方言指導担当者としては、できるだけ演じやすいように、主に「語尾」を変化させることで“信州弁らしさ”を出すようにした。

たとえば、「・・・ずら」や「・・・だに」。また、「・・・じゃんかい」や「・・・だでね」といった具合。

若い役者さんたちなど、耳だけで聞いていたら、なかなかの“信州人”ぶりだ。

私が次に彼らを見るのは、公演が始まってから。新宿スペース107の観客席からになる。


人と会うは幸せ!―わが「芸界秘録」五〇
嶋田 親一
清流出版

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お芝居の「方言指導」に挑戦

2009年06月29日 | 舞台・音楽・アート

まだまだ初体験というのはあるもので、今度、お芝居の「方言指導」というのをやらせていただくことになった。

放送批評懇談会や、全国広報コンクールの審査でご一緒している嶋田親一先生が演出する舞台『君愛せし山河』(作・上條逸雄)でのことだ。

この作品が信州を舞台にしており、「役者さんたちに何ヶ所かで“信州弁”を使わせたいんです」と嶋田先生。

私が信州の出身であることに気がついた先生から、「方言指導やってよ」とのご依頼を受けたのは、ずっと前のことだ。

その時は「先生のご用命なら了解です」と答えたが、もちろん冗談だと思っていた。

ところが先日、先生から舞台の“台本”と“チラシ”が送られてきて、びっくり。

その両方に、「方言指導:碓井広義」と、しっかり名前が印刷されているではないか。

あちゃー。

こりゃもう、やるしかないじゃないの(笑)。

というわけで、けいこ場にお邪魔しての“方言指導”である。

どんな具合になるか分からないけど、とにかく、やってみます。



- SPACE107 公演予定 –

7/8(水)~7/12(日)

東京コメディー倶楽部いこい座 Vol.18
阿木翁助・上條逸雄 7thメモリアル公演
「ラジオドラマ 青いカナリア」
「君愛せし山河」

「ラジオドラマ 青いカナリア」
作:阿木翁助
演出:鶴見卓三

「君愛せし山河」
作:上條逸雄
演出:嶋田親一

後援:社団法人日本演劇協会 / 社団法人日本放送作家協会

出演:
安田正利
みやけみつる
松井功
霞優子
大島安紀斗
牧浦啓子
佐久間勇 / 松野和弘 / 住吉晃典
斉藤和彦 / 笈川勉 / 石崎健二
津村英哲 / 原田治美 / 高橋明日香
谷崎裕美 / 坂尾直子 / 原田遥
永長正美 / 上川敦子

<日替わりゲスト>
明日待子
杉田康
真船道朗
菊地竜志(菊地剣友会)
笠井信輔(フジTVアナウンサー)
その他のゲスト有り

開演時間:
7/8(水) 18:30
7/9(木) 18:30
7/10(金) 14:00 / 18:30
7/11(土) 14:00 / 18:30
7/12(日) 14:00
※開場は開演の30分前です。

チケット料金:
全席日にち指定自由席(一公演200席限定)
前売・予約 4,000円 / 当日 5,000円

お問合せ・チケット予約:
TEL:090-3468-6868(後藤まで)

舞台『その男』の男たち

2009年04月25日 | 舞台・音楽・アート


舞台『その男』を観た。

池袋の東京芸術劇場に着いた途端、ロビーで、「真実ちゃん」こと女優の熊谷真実さんに会う。着物姿だった。

以前、紀行番組に出演してもらったが、会うのは本当に久しぶり。ロケで行った各地の話で盛り上がるうちに、1ベルが鳴った。

さて、『その男』だ。

池波正太郎さんの原作、「ラッパ屋」の鈴木聡さんの脚本、ラサール石井さんの演出、そして主演が上川隆也さん。

いいメンバーだ。

幕末から昭和までを生き抜いた、一人の男の物語。

激動の時代の中で、主人公の虎之助(上川)は、“流れ”に飛び込むのではなく、その流れを見つめながら生きることを貫く。

剣の戦いがあり、恋があり、笑いがあり、涙もあり、という舞台で、休憩が2度入る長丁場でありながら、飽きることもない。

素直に楽しんだ。

上川さんは、相変わらずの“舞台映え”だった。自分自身を、シリアスにもコミカルにも操ることができる技は見事。

そして、虎之助の師匠・池本茂兵衛を演じる平幹二朗さんの圧倒的な存在感。舞台に出てくるだけで、明らかに空気が変わるのだ。

鈴木さんの脚本は、長い物語を、場面転換を多用することでテンポよくさばいていた。

ラサールさんの演出は、芝居のメリハリをつけながら観客を引っ張っていた。

そうそう、よく知る「ラッパ屋」の面々が出ていたのも嬉しい。かわら版屋の福本伸一さん、和尚の木村靖司さん、遊女の弘中麻紀さんなどだ。


舞台が終わって、芸術劇場前の広場でやっていた「池袋古本市」。

その後は巨大書店の池袋ジュンク堂。

それぞれで“収穫”もあり、満足の池袋行きでした。