碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「続・最後から2番目の恋」 名物の“2人芝居”も見納め

2014年06月25日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載している「TV見るべきものは!!」。

今回、取り上げたのは、フジテレビ「続・最後から2番目の恋」です。


中年男女「2人芝居」の妙

4月から始まった今クールの連続ドラマも続々と最終回を迎えている。フジテレビ「続・最後から2番目の恋」(木曜夜10時)も今週がラストだ。

刑事ドラマや企業ドラマが乱立する中、唯一といっていい恋愛ドラマ。しかもフジテレビが得意としてきた若い衆の恋愛ではなく、48歳のテレビプロデューサー(小泉今日子)と52歳の地方公務員(中井貴一)の“大人の恋愛”である。

とはいえ渡辺淳一(合掌)ばりの熟年的愛欲シーンがあるわけではない。見どころは小泉・中井が披露する「2人芝居」。その会話の妙だ。前作から2年たっても憎まれ口ばかりの2人だが、緩急まじえた応酬の中に時折り顔を出す大人の本音と、揺れる建前こそがこのドラマの真骨頂だ。

先週、最も長い「2人芝居」は6分半もあった。人間ドックの検査で何もなかった小泉と、医師から注意を受けた中井。家族や周囲の人を気遣いながら生きてきた中井に向かって小泉が言う。「これからはね、あなたは自分のために悩まなくちゃいけませんよ」。

6分半という長丁場を支えているのは、中年男女の心の機微を汲み取った岡田惠和の脚本であり、小泉・中井の演技力だ。特に中井の“生真面目なボケ風味”は出色で代替え不能。このドラマは代表作の一つになるだろう。ずっと見ていたい2人だが、大団円の時が来た。

(日刊ゲンダイ 2014.06.24)