日刊ゲンダイに掲載された、元TBSアナ・吉川美代子さんの「女子アナ批判」に関して、コメントしました。
「新・週刊フジテレビ批評」
元TBSアナ吉川美代子が「女子アナ総本山」で吠えた!
古巣への苦言と正論
「『私の笑顔でみなさんを明るくしたい』
…だったらタレント事務所に入りなさい」
元TBSアナ吉川美代子が「女子アナ総本山」で吠えた!
古巣への苦言と正論
「『私の笑顔でみなさんを明るくしたい』
…だったらタレント事務所に入りなさい」
「私は“女子アナ”という言葉は絶対に使いません」――。笑顔でこう断言したのは、今年5月にTBSを定年退職した吉川美代子氏(60)。
発言の場は「“女子アナ”の本場」ともいえるフジテレビだったから物議を醸している。
28日放送の「新・週刊フジテレビ批評」に出演した吉川氏は、法大・稲増龍夫教授と「女子アナ」を巡って討論。間にMCで局アナの西山喜久恵(45)と渡辺和洋(38)を挟む構図で始まった。
女性アナウンサーが“女子アナ”と呼ばれることについて「80年代半ばにフジテレビが『面白くなければテレビじゃない』(正しくは『楽しくなければテレビじゃない』)というカルチャー路線を突き進み、バブル時代も重なって“女子アナ”という言葉を写真週刊誌やスポーツ紙が使うようになり、テレビ局で働いている人たちも当然のように使うようになった」「アナウンサーが軽く見られている」と批判。
吉川氏が長年在籍したTBSでも“女子アナ”のアイドル化は顕著だそうで、「採用試験でも、アクセントや声より、華がある人とかスター性がある人を採ってくださいという形になってきた。『私の笑顔でみなさんを明るくしたい』とか言う子がいるけど、だったらタレント事務所に入りなさいという感じ」とバッサリ斬り捨てた。
「育てることをしなくなった放送局にも責任がある」と指摘する吉川氏の舌鋒に、渡辺アナは「研修を受けているような気持ちになりますね……」とタジタジだった。
上智大教授の碓井広義氏(メディア論)はこう言う。
「“女子アナ”の総本山ともいえるフジテレビの番組で発言したことに意味があると思います。これまで、女子アナ批判というのは、テレビは自分自身のことだからもちろんしないし、他のメディアが批判しても聞く耳なんて持ちませんでした。
それが、内部から“足を洗った”吉川さんが言うことでようやく明解になった。主張は至極まっとうで、女性アナウンサーをやりきった吉川さんに言われては誰も反論できないでしょう。
一昔前に比べて最近は女子アナに対する視聴者の目もクールになってきていて、『局アナ=タダで使える社内タレント』の存在を喜ぶ視聴者も減っていると感じます。そういった空気がある今、吉川さんの言葉や行動には非常に意味がある」
吉川氏の古巣、TBSでは今、2人の女性アナウンサーが話題だ。1人は“ザ・女子アナ”の田中みな実(27)がフリーに。もう1人は“美人すぎるAD”の笹川友里(23)がアナウンサーに転身。
専門職であるはずのアナウンサーに一般職からの異動は異例中の異例。しかも、笹川はアナウンサー試験では不採用だった。
当の笹川は「夢のようです。みなさんが笑顔になれるアナウンサーになりたい」と意気込んでいるが、吉川氏が「だったらタレント事務所へ入れ」と言っていた言葉そのままだからジョークとしか言いようがない。
「田中アナは典型的な女子アナの中の女子アナ。TBSを退社してフリーのタレントとしてどれだけ通用するか見ものです。笹川さんもそう。
と同時に、吉川さんの今後にも注目したい。定年後の働きによって、女性アナウンサーのロールモデルになる可能性もある」(前出の碓井氏)
吉川氏の苦言と正論をテレビ界はどう受け止めるのか。
(日刊ゲンダイ 2014.06.30)