発売中の「サンデー毎日」最新号に、フジテレビに関する記事が掲載されました。
この中で、解説しています。
年末年始もコケたフジテレビ
「最後の秘策」はコレしかない!?
低視聴率に喘ぐフジテレビが、年末年始の特番視聴率でもコケた。大みそか午後9時から放送された「ワンピース」劇場版と、元日の「オールナイトハワイナイトフジ」が低視聴率で「目もあてられなかった」(芸能記者)との声が挙がっている。
上智大文学部の碓井広義教授(メディア論)は嘆息する。
「ワンピースはアニメ界のビッグブランドですが、子どもとマニア向けで視聴者の幅が狭すぎ。正月のオールナイト~は中途半端なバブリーさで出演者と作り手だけが楽しんでいるようでシラケました。こんな番組を編成したセンス、視聴者との溝は埋めようもなく深いことが問題です」
「東京ラブストーリー」や「ひとつ屋根の下」など次々ヒットを飛ばし、2011年まで7年連続の視聴率3冠を達成した王者フジだが、視聴率競争から脱落して久しい。
「フジは『若々しさ』を標榜し、若者をターゲットにしてきたのですが、私が教えている大学生に聞いても、フジに限らずテレビはほとんど見ていない。申し訳ないけれど、あなたたちの考える若者はどこにいますか、というくらいテレビ離れが激しい。届けようとしている人に届いていない現実を認識していない気がするんです」(碓井教授)
では、フジに秘策はあるか。碓井教授はこう言う。
「フジは、絶好調の『テレ東』のように丸ごと中高年シフトする必要はない。しかし視聴者の幅は広げるべき。若者をターゲットにした恋愛ドラマを作ってもいいが、一方で40代も視野に入れる。最近のドラマでいえばキムタクの『HERO』が初回視聴率で26・5%をマーク、上戸彩の『昼顔』もヒットした。40代以上の世代は、自分たちの日常とリンクした物語が展開されることに安心感や共感を持つのです。そんな番組をもっと送り出すことですね」
放送評論家の松尾羊一氏は「トレンディードラマ」に徹せよと訴える。
「言葉は悪いが『よそ者、若者、バカ者』がテレビの原点。フジはそれで視聴者を獲得してきた。今の若い人は何を求めているのか。現代版トレンディードラマを作るべき。原宿や湾岸でなくて下北とか立川などを舞台に、シェアハウスに住んでブランド志向を嫌う若者の生態を描く。それなら80代の私も見てみたい。『月9』復活です」
今年、フジは正念場だ。
(サンデー毎日 2015.1.25号)